北方領土の日

世界,日本,雑記

Vol.2-2.8 391    北方領土の日
2021.2.8

2月7日を北方領土の日と国民の何人が認識しているであろうか。

悲しいかな、ほとんどの国民にその意識はないのではないか。過去の交渉経緯、及び、独裁色を強めた昨今のロシアに希望を抱く方がナンセンスな状況となった。

産経新聞社説は
『ロシアは昨年の憲法改正で唐突に「領土の割譲禁止」を明記した。「割譲行為は最大禁錮年、割譲を呼び掛けても最大4年」とする改正刑法も成立した。露メディアは今月1日、国家安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ元大統領・首相が憲法改正で日本と北方領土問題を協議するのは不可能になった、との認識を示し、「ロシアには自国領の主権の引き渡しに関わる交渉を行う権利がない」と述べたと報じた。日本側に一方的に「領土断念」を促す無礼千万な発言だ』・・・・
と書いたが。これがロシアの本当の姿である。

「信じた日本が幼すぎ」というのが世界の見方であろう。

ジイは過去いろんな識者のご意見を聞いたが、7日の産経新聞に掲載された、国際政治学者・グレンコ・アンドリー氏の北方領土の考え方とアプローチ論は実に的を射たもので、こんな「完璧」な論説に出会ったのは初めてだ。

日本の北方領土・ロシア担当の上席者に迎えたいほどだ。

ここで全文を紹介したい。

『日本政府は「北方領土問題を解決して平和条約を締結する。というが、そのアプローチからして根本的に間違っていると思う。

北方4島は不法占拠されているのだから、ロシアへの要求事項は「全島の返還」でしかあり得ない。「問題を解決する」などという課題設定では、「日本の4島放棄が解決策だ」だといった主張もロシアに許しかねない。

安倍晋三前首相は事実上、色丹島と歯舞群島の2島に絞った交渉を行ったが、プーチン露政権の強硬姿勢に阻まれて失敗した。これはむしろ良かった。2島返還で手を打って平和条約を結べば、国後島と択捉島について協議する機会は完全に失われる。日本人はお人よしなので2島返還ですら親露的世論が生まれ、安全保障面で悪影響が出る恐れすらあっただろう。

重要なのは、4島全ての返還を一貫して要求し、交渉期限を区切ったりしないことだ。この原則を曲げてはならない。その上で、当面の日本は経済や軍事んど総合的な国力の増強に邁進し、4島を返還させる機会を長い目で探るべきだ。

今後、プーチン体制のロシアが衰退するのは明らかで、経済や技術力での欧米との格差は広がる一方だ。結果として財政難や政治の混乱により、巨大な領土を維持するのが難しくなることは十分にあり得る。

この意味では、安倍前政権が対露経済支援と引き換えに領土交渉を進めようとしたのも誤りだった。ロシアが発展して国力をつければ、領土を手放す理由はなくなる。発展を手助けすればするほど、北方領土の返還が遠のくのは自明だ。

ロシアに歩み寄ることで中国とロシアの間にくさびを打てるのではないか、、、との見解を聞くことがある。しかし、中露はともに独裁国としての「価値観」を共有し、ともに相手を必要する互恵関係にある。プーチン政権が中国と仲たがいする可能性は皆無である。

日本が独裁国陣営のロシアと深い付き合いをする必要は全くない。逆にロシアを追い詰めて譲歩させるべく民主主義陣営の連帯を強めることが大事だ。』

これほど冷静なロシア論を聞いたことがない。日本人はどちらかと言えば、話せば分かる的ナイーブさがどうしても消えない。特に鈴木宗男氏のように感情から入ればなおさらだ。

グレンコ氏の極めてシンプルな論拠と本質をついた戦術に我々は意思統一をすべきである。と強く感じる。

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