英BBC放送禁止の行方

世界 日本 雑記

Vol.2-2.16-399   英BBC放送禁止の行方
2021.2.16

中国の放送当局は、英BBCのワールドニュースの放送を禁止した。

おそらく、3日にBBCが放送した、ウイグル族らの監視・統制を目的とした同自治区の再教育施設で、組織的な性的暴行や拷問を受けたとする女性らの証言を報道したのがきっかけである。

それ以外に香港人の英国移住希望者にたいする優遇措置など、人権に対する英国の厳しい姿勢への対抗措置であることは間違いない。

豪州が昨年、コロナ発生源の調査の必要性を提起しただけで嫌がらせを受けたが、内政への介入は絶対に許さないと言う一貫した中国の姿勢である。

自由主義陣営が共有する、法の下での自由民主主義と人権という共通の価値を持ち合わせない中国にとって、不要な介入以外の何物でもない。

価値観の違いと言うのは恐ろしいものだ。ただ、人間の命さえも犬、猫と同等となれば、もう理解の限界を超えている。水と油どころの話ではない。

かつて英国は1898年に香港を99年間の租借地とした。その香港を1997年7月1日に香港の主権を中華人民共和国に返還し、香港は中華人民共和国の特別行政区となったのは記憶に新しい。

そうか、香港が英国の統治下にあったことに気づいた。植民地時代の残滓をついに清算したか、というような気がしたが、香港はすでに自由で世界有数の金融都市であった。

その時、主権は中国に返還するものの、香港の経済や政治体制は50年間は変更させない、という一国二制度をとることを約束したのである。

その時の<英中共同声明>の主な内容である。
1. 返還後の香港は中華人民共和国香港特別行政区とする。
2. 返還後の香港は一国家二体制を維持すること。
3. 返還後の香港は、50年間は資本主義体制を保証すること。
4. 中国の現行憲法では存在しないストライキ権が香港では保証されること。
5. 香港の最高責任者である香港特別行政区長官は選挙または協議によって選出され、中央人民政府が任命する。、、、などである。

しかし、習近平体制になった2017年「一国二制度」から「一国」重視に変わった。
2019年6月 逃亡犯条令改定案を発表。
2020年6月30日 香港国家安全維持法を可決。即日施行。
50年の約束は守られず、28年を残して反故にした。

戦うならいつでも戦うと言う構えである。14億と0.7億の人口差、核兵器数・英国 – 215、中国 – 320。かつ中国は1億の死を何とも思わない国である。すでに戦いにならない。

共産独裁国家に国際条約など紙切れなのである。
英国がどんなに怒ろうが、そもそも思想の土台が違う。独裁国家にとって人間の命はそれほど重要ではない。独裁・共産党体制の維持が大事なのである。

英国は4日に中国国際テレビ(CGTN)は共産党の支配下にあるとして放送免許を取り消したが、その報復でもある。

ラーブ英外相は11日、「中国本土でBBCワールドニュースを禁止する決定は、報道の自由を奪うもので受け入れられない」と批判し、「中国はメディアとインターネットの自由に世界でも最も厳しい規制をかけている。国際的な中国の評判を傷つけるだけだ」と指摘したが、中国にとって何を言われようが “ へのかっぱ ” である。

中国の放送当局はBBCの放送禁止を決めたことについて、「報道が真実で公平でなくてはならないという要件を満たしておらず、中国の国益と民族の団結を損なう」と説明した。

英国は一時、中国主導のアジアインフラ投資銀行に先進7カ国で真っ先に参加を決めるなどかつては蜜月関係にあった。

しかし、2020年に中国が香港国家安全維持法を制定したことなどをきっかけに、香港市民向けに英国の市民権を取りやすくする特別ビザの発給や、華為技術(ファーウェイ)を高速通信規格「5G」から排除を決めるなど対中姿勢は厳しくなった。

やっと中国の脅威に気が付いたのか、最近は日本にファイブアイズへの招待を持ちかけた。現在、米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランド五カ国から構成され、政治的、軍事的な情報を共有する同盟である。

中国海軍の太平洋方面への進出においては、地形上、日本はその障害にあり、中国の膨張を考えると日本はシーパワーとしての役割もある。

2020年12月、既に、日本は「ファイブアイズ加盟国とのインテリジェンスを含む情報に関する協力を一層強化する」との姿勢を再確認しているが、同盟を固めるにはいいチャンスではないか。

対中国対策は一筋縄ではいかない。共有の価値観を持った同盟国同士の紐帯強化を戦略的に図らなければならない。

クリントン-オバマ時代からだろうか、米国だけに頼ることはできない時代に入ったと、自由陣営は強く認識しなくてはならない。