悲願のマスターズ優勝

スポーツ,日本,雑記

Vol.2-4.13-455     悲願のマスターズ優勝
2021.4.13

“ Hideki Matuyama ” マスターズ優勝おめでとう

12日早朝、テレビにかじりつくように見た。
まさに歴史的瞬間である。世界のゴルファーが憧れるマスターズで日本人が優勝するなんて、誰が想像したであろう。

苦節10年とは、昔から言い古された言葉だが、19歳でマスターズに挑戦して10年目、2013年プロに転向してからもアメリカに拠点を移し、ただただ、メジャー勝利を夢見た挑戦が始まった。

多くのプロが跳ね返される中、決して諦めることなくアメリカツアーに挑戦し続けた。メジャータイトルに一歩のところで涙を飲んだ苦しい経験もした。しかし、決して日本に帰らず挑戦を諦めなかった。

同胞の悲願。その苦労を知るからだろう、解説を務めた中島常幸も青木功も丸山秀樹などの日本のトッププロがこの優勝に涙したのだ。

実況アナウンサーは泪で声が出なかった。マイクから中島常幸氏の絞り出すような涙声を聞いた時、如何に長い間果たせなかった日本の夢だったのかを実感しないわけにはいかない。

優勝の瞬間に天を突きあげるようなガッツポーズを期待したが、パーパットを外した後のカップインは松山選手にふさわしい静かな勝利だった。

スタンディングオベーションを受けるなか、早藤将太キャディがピンをカップに挿した後、帽子を取ってコースに深々と頭を下る姿を見て多くのアメリカ人が感動した。

元世界ランキング1位のリー・ウェストウッド(イングランド)は「これまで目にしたゴルフ、スポーツにおいて、おそらく最も敬意があり、相応しいことだ。ヒデキ、彼のキャディ、そして日本は素晴らしかった」と投稿した。

パトロンが喜ぶ、優勝の瞬間の派手なガッツポーズはなかったが、松山の涙しかり、日本人らしく、誇らしい優勝に花を添えるエピソードだった。

海外ツアーでいくつかジイの記憶に残っているものがある
昭和52年(1977)樋口久子・全米女子プロ優勝
昭和55年(1980)青木功・全米オープン準優勝
昭和58年(1983)青木功・ハワイアンオープン優勝
昭和62年(1987)に岡本綾子・全米女子賞金女王
平成31年(2019)渋野日向子・全英女子オープン優勝

昭和55年6月、青木功、全米オープン。ジャック・ニクラスとの死闘で惜しくも2位になった試合も凄かった。同じく青木功、昭和58年2月ハワイアンオープン。最終日最終ホールの奇跡のイーグルショットでの逆転優勝も記憶に残る。

岡本綾子選手もメジャー優勝ではないが、アメリカで長く参戦し、昭和62年に賞金女王になったのだが、賞金女王になった日、多くのアメリカ選手に騎馬戦の旗手のように皆に持ち上げられ祝福された映像が忘れられない。

近年ではやはり渋子選手の全英オープン、シンデレラスマイルは素晴らしかった。

などいろいろあるが、今回の優勝の感動はやはり松山英樹10年の挑戦と日本の悲願達成というプロセスの重みが、感動を倍加した。

松山英樹選手は東北福祉大学出身で、東日本大震災の時にマスターズに招待選手と送り出してくれた因縁がある。

あれから10年、まさしく大震災から10年である。この年にマスターズ優勝は震災との因縁を思う。

2013年大学を卒業後プロに転向、いきなり4勝を上げ、賞金王に輝いた。2014年からは本格的にアメリカPGAツアーに参戦。ツアー5勝を上げながらもメジャータイトルはなかった。今回、マスターズ挑戦10度目での快挙。男子日本人として初、アジア人としても初である。

最終ラウンドは4打差のダントツでのスタートであったがハラハラドキドキが最終ホールまで続いた。

18番465ヤード・パー4、第一打。とりあえずフェアウェイに飛んでくれと祈らずにはいられなかった。バンカーショットは2mほどを残した。入れてパー、ボギーでも優勝だ。

最後となるはずの一打がわずかに外れた。まさに薄氷を踏むような最後18番だった。上がって見れば1打差だ。

あのパーパットが入って入れば、ガッツポーズの一つも出たかもしれない。しかし、控えめな松山にふさわしい最後のカップインだった。

多くのファンはスタンディングオベーションで祝福したが、歓喜であるべき勝利のプリンスは控えめな笑顔で応えた。

クラブハウスに引き上げる途中、多くの応援者からのハグに合う中で、松山選手は込み上げる涙をようやく拭った。

その静かなプリンスとは裏腹に解説者が感極まって涙声で解説したのにはかえって見る方の涙を誘った。

全米のファンも、こんな静かな勝利のプリンスを見るのは初めてだったであろう。サムライ日本の男子をまさに地で行くような勝利の瞬間であった。

松山が夢にみたマスターズの勝利、知る人ぞ知る松山苦節10年。言葉少ないチャンピオンだからこそ、涙した方も多いのではないかと思う。

最後1打差まで追い詰められたことでその勝利の大変さが実感できる勝利であった。

“ ほんとうにおめでとう ”

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