原発処理水海洋放出の波紋

世界,日本,雑記

Vol.2-4.15-457    原発処理水海洋放出の波紋
2021.4.15

4月13日、政府は関係閣僚会議を開き、福島第一原発で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法を決定した。

<放出内容>
1、基準以下の濃度に薄めて、海へ放出する
2、2年後をめどに海への放出を開始できるよう設備の設置などの具体的な準備を進める
3、放出にあたっては、トリチウムの濃度を国の基準の40分の1、WHO=世界保健機関が示す飲料水の基準で、7分の1程度に薄める
4、放出前後の濃度などを監視するモニタリングを強化する
5、IAEA=国際原子力機関の協力も得て国内外に透明性の高い、客観的な情報を発信し風評を抑える
6、漁業関係者への支援や観光客の誘致、地元産品の販売促進などの対策も講じる
7、それでも生じる風評被害には東京電力が賠償を行う
8、このほか、関係閣僚による新たな会議を設けて必要に応じて追加の対策を機動的に実施する

以上が閣僚会議で決定した事項だ。

これに対し日本では
<反対派>・・・漁協・立憲民主党と野党・自民党山本卓他有志
<賛同者>・・・経済界・自民党・公明党

海外では
<反対派>・・・中国・韓国・台湾
<賛同者>・・・米国・IAEA

<放射性物質トリチウムについて>
◆汚染水は、事故で溶け落ちた核燃料がある原子炉建屋に、地下水や雨水が流れ込むことで、日々発生している。ほとんどの放射性物質を除去できる多核種除去設備で処理しているが、取り除けないのがトリチウム
◆トリチウムは化学的には水素と同じ性質を持ち、普通の水に混ざっているため、分離が難しい
◆トリチウムが出す放射線は弱く、12・3年で放射能は半分になる
◆震災前は全国の原発から毎年計350兆ベクレル前後が海に放出されていた
◆国の放出基準は1リットルあたり6万ベクレル。この水を70歳になるまで毎日約2リットル飲み続けても、被曝は年間1ミリシーベルト以下。日本で1年間に自然界から受ける放射線による被曝量と同等かそれ以下
◆タンクの水に含まれるトリチウムは900兆ベクレル近くある。海水で薄めながら何十年もかけて流すことになる

原発を持つ国は国際基準に基づいて日本と同じように放出している。

・韓  国:2016年・・・136兆ベクレル放出
・フランス:2015年・・・1京3778兆ベクレル放出
・英  国:2015年・・・1624兆ベクレル放出
・カナダ :2015年・・・495兆ベクレル放出

ここで押さえておく必要があるのが、汚染水と処理水の違いである。
「汚染水」と最終的な「処理水」とでは、健康や環境に与えるリスクが全く異なり、明確に別物である。

「汚染水」とは原子炉内で溶けて固まった燃料を冷却するために使用した後の水、及びそれらが建屋内に流入した地下水や雨水と混ざったもの。有害な放射性物質が含まれているため、そのまま海洋に放出すれば相応の「汚染」が起こる。
「処理水」とは、汚染水から有害な放射性物質を除去し、無害化させたもの。自然界のあらゆる水の中に存在するトリチウムだけは除去が難しいものの、これは適切に希釈すれば、海洋放出しても健康リスクを上昇させるような「汚染」は起こらない

上記に示す処理水は今も世界中で大量に海洋放出されている。

福島第一では、さらに国の基準の40分の1まで薄め放出するのだ。だがしかし、韓国と中国は強硬に反対を表明した。その意図は明らかである。靖国と同じ意味もない反日である。IAEAに懸念を伝えるというが大いにやっていただきたい。その前に、我が身を振り返りやぶ蛇にならぬように自国の汚染水をしっかり調べることをお勧めしたい。

それにしても、自民党の一部や、野党の反対はなんという不見識か、自ら研究し理にかなった反対論ならともかく、国家としての重大事にやみくもに反対する中国・韓国と足並みを揃えるとはどういう魂胆であろうか。

それよりも福島が本当に再起できるように風評被害をどう抑えるか、福島県人が歓喜するような画期的な案を出すか、福島のみならず国家として納得できる提案ができなければ政権は遠のくばかりだ。

自民党も頼りない。強さと品格を備えた野党を期待したいが、夢のまた夢。
原発処理水は日本の脆弱な精神基盤をもあぶりだした。

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