韓国・慰安婦訴訟判決
Vol.2-4.26-468 韓国・慰安婦訴訟判決
2021.4.26
元慰安婦らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、今年の1月には日本政府に対して賠償命令の判決が出ている。
ところが4月21日の第2例目の判決では真逆の判決が出た。
ニュースのキャプションに
「慰安婦関連訴訟で韓国司法がまともな判断を下してしまう」
には笑ってしまうが、韓国の3権分立は名ばかりであることを露呈した。
韓国のこの迷走ぶり、最近の日本の想定外の強硬姿勢への戸惑い、韓国内に定着した反日無罪という空気の板挟みになり、さらには自国内の政治混乱も重なり正常な判断能力を失ったかに見える。
そもそも、日本政府を相手取って第1次訴訟を起した時に、菅義偉首相は「主権国家は他国の裁判権には服さない。これは決まりですから」とクギをさしている。
第1次の判決時には、茂木敏充外相は康京和・韓国外相に「国際法上の原則を否定した判決は極めて遺憾で、断じて受け入れられない」と抗議した。
第2次訴訟判決は図らずも日本の立場に添った判決となったが、韓国司法がいかに政治色を帯びているかが分かる判決となった。
何度も言うようだが、2015年慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的解決」を謳った日韓合意により解決済み。それを蒸し返したのは韓国である。
国際法上「主権免除」によって他国は裁判権に服さないということもあるが、2国間で決めた合意は今も有効であると司法が指摘していることでもわかるように、誰がみても無理な裁判を起こしているのである。
ただ、今回の判決で司法が「問題解決は日本政府との外交交渉を含め、韓国の対内外的な努力により達成されなければならない」と指摘したことである。
この期に及んでまだ、日本の譲歩と責任の一端を担わせようとの魂胆がみえるのには呆れる。徴用工問題を含め、こじれた日韓関係を修復する意図は全くないと見なければならない。
国際法を無視、国家間の約束を破る。これらの一連の韓国の行動は反日で固まった韓国国内では許されても、中国を除く諸外国は「危ない国」としてのイメージが定着してしまうのではないかと心配する。
文在寅大統領の任期が残り1年となった。
当面の懸案は今回の慰安婦裁判と昨年判決が出た徴用工問題である。
徴用工判決は日本企業に賠償を求めているが、日本は応じる必要も理由もない。韓国は資産を売却の手続きに入ったが万が一売却すれば日韓関係は破綻する。アメリカが懸念する米・日・韓の防衛協力にも影響はただちに起きる。そうなれば文政権は窮地に立つ。
この窮地を救おうと日本政府が手を差しのべれば過去の日韓国関係に逆戻りする。正常な国家関係を取り戻すには妥協は一切許されない。
国際環境は米・中関係の悪化を発端として、世界が2つのグループに区別されようとしている時だ。レームダック化した韓国をウオッチングしながら毅然かつ冷静に見て行かなくてはならない。
この一年が正念場であろう。