逃亡者
Vol.2-5.14-486 逃亡者
2021.5.14
リチャード・キンブル 職業・医師。
正しかるべき正義も時として盲しいることがある。
彼は身に覚えのない妻殺しの罪で死刑を宣告され護送の途中、列車事故に遭って辛くも脱走した。
孤独と絶望の逃亡生活が始まる。
髪の色を変え、重労働に耐えながら犯行現場から走り去った片腕の男を探し求める。
彼は逃げる。執拗なジェラード警部の追跡をかわしながら、現在を今夜を、そして明日を生きるために。
・・・THE Fugitive・・・
このナレーションで始まるテレビドラマ「逃亡者」である。
一話完結の、アメリカのドラマで日本では、昭和39年から3年間放送された。確か夜のゴールデンタイムに放送された人気番組でテレビにかじりついて見ていた記憶がある。この日ばかりは野球ファンの父親の不在とナイター放送が無いことを祈ったものだ。
同じ逃亡者でも新聞に躍った『逃亡外国人6年で4倍超』この逃亡記事での「逃亡者」は複雑である。
この逃亡外国人、国外退去処分を受けた後、「仮放免」で一時的に収容を解かれた隙に逃亡した外国人である。昨年末時点で420人に上るという。
この逃亡の原因だが、日本で外国人が日本在留の根拠(許可)を喪失した場合に「退去強制」や「出国命令」が出される。その際、「帰りたくない」「帰れない」「帰りたいけど帰れない」など、いろいろな事情を抱えて逃亡に至るということだ。
◆退去命令の原因
・不法に入国した者
・適法に在留したが、オーバーステイとなった
・適法に在留したが、本来の活動をせずに専ら資格外活動を行っていた者
・テロ・偽造・破壊活動などの一定の犯罪に関与したもの
などだが、強制送還するにも旅費さえない者がいる。その場合は国が負担して強制送還してしまえばいいようなものだが、そう簡単ではない。
何故か?
①出国費用を支払いたくない事を理由にわざと強制送還される外国人が増えるから
②相手国が渡航書を出さない。例えばナイジェリアのように、本人が帰る意思を示さなければ渡航書を出さないという国もある。
③帰国すれば命の危険があるという、いわば難民のケースである。
また、1度、国外強制送還として出国した場合、いろいろ条件がつく、
1、強制送還後5年間は日本に再入国できない。2度目の強制送還からは10年間。
2、強制送還ではなく特定の場合に出国命令の対象となった場合には、日本への再入国禁止期間が出国後1年間である。
政府は「入管難民法改正案」を成立させ逃亡増加に歯止めをかけようとしているが、彼らが逃亡をしてまで日本に滞在しようとする根本原因を徹底的に調査すべきだ。
入管が発表した資料では、仮放免中に逃亡した人が “ なぜ逃亡したのか ” という分析が全くない。
送還を拒否する人の圧倒的多くは、難民申請者だという。その難民認定と日本の受け入れ態勢の問題もある。現実はどうして帰れないのかまで踏み込めていないようだ。
今の日本社会、外国人の力を借りなければ回らないような経済状況を作り上げてしまった。
コンビニでは東南アジア系、インドなど多くの方を見かける。
ジイの自宅近くで建築現場がいくつもあるが必ず外国人がいる。
近くの現場でちょっと質問してみたら、まだ日本語を話せなかった。日本人が忌避している現場でも彼らは頑張っている。介護現場では東南アジア系の女性外国人はもう欠かせない存在だ。せめて同等の時給を払うようにしてあげてほしい。と個人的には思う。
たまたま見たテレビに「私が日本に住む理由」なる番組を見た。登場人物はフランス人であったが、苦労の末、外国人を日本企業に紹介する職場で働く女性だった。
流暢な日本語を話す綺麗で感じのいい女性だったが、彼女も就職をするのに2年もかかったと嘆いていた。もっともっと外国人を受け入れてほしいと要望を語った。
昔でいう3Kを日本人は忌避し、その代わりに外国人が担ってくれていると思えば、もっと優遇されていいとも思う。
入管管理、強制退去も厳しくやっていいが、真面目に働く人間には納得できる環境を提供しなければならない。
どうか、受け入れ条件を厳しくしてもいい。しかし、その代わりに受け入れたからには彼らが日本に感謝しながら働ける環境も整えてほしい。
ところで我が家には娘のお蔭で「逃亡者」全作品が “ 無期収監 ” されている。赤鬼の監視が厳しく、逃亡は不可能である。