大坂なおみ・全仏棄権の波紋

スポーツ 世界 日本 雑記

Vol.2-6.3-506   大坂なおみ・全仏棄権の波紋
2021.6.3

“ 大坂なおみ ” 初めて日本名を聞いた時、えっ、と思った。

名前は日本名だけどアメリカで生活し、日本語の話せない日本名のアメリカ人。
ちょっと不思議な感情の中で、とにかく日本名であることに親近感を持ったのが最初の出会いである。

彼女の試合を何試合か見ていて、いつも不安な表情が気になっていた。コーチが必死にマインドコントロールしている姿を思い出す。誰もが通る成長過程なのかと思いながらも若干、子供が見せるようなナイーブな表情に少々不安を感じたのも事実だ。

しかし、試合後に日本のインタビューに笑顔をたたえ、たどたどしい日本語で話すなおみ選手には一瞬にして日本のファンを引き付ける魅力があった。

その後、2019バインコーチを突然解任したのには驚いたというより、そうか、とある意味納得したようなところがあった。

解任理由はいくつかあったのだろうが、その一つに、
『テニスのキャリアで成功しようと考える自分にはなりたくない』というのがあった。

今回の大坂なおみ選手、全仏オープン開幕4日前の「今大会では、会見は一切やりません」の声明文には驚くとともに、とっさに彼女の人間的未熟が頭に浮かんだ。

多くの選手も、彼女に一定の理解を示しつつもプロテニスプレーヤーとして“ わがまま ” である。というのが一致した見解だった。

大会規約にもあり、誰が見てもそう感じるのが常識的感情である。
全仏オープンは困惑を見せ罰金を科した。

その後の大坂選手のツイッターでの投稿である。

『皆さん、こんにちは。私が数日前に投稿した時には想像したり意図したりしていなかった状況になっています。トーナメントや他の選手、私の健康のためにも、今は私が棄権し、みんながパリでのテニスに集中できるようにするのが一番だと思います。

私は決して邪魔にはなりたくありませんでした。タイミングが理想的ではなく、もっと明確なメッセージを出せたかもしれません。重要なのは、私はメンタルヘルスを矮小化したり、その言葉を軽々しく使ったりしてはいないということです。

2018年の全米オープン以降、長い間うつに苦しんでおり、その対処に本当に悩まされてきたというのが真実です。私を知る人は誰でも私が内向的だと知っています。大会で私がヘッドホンをしているのに気づいた人もいると思いますが、それは不安を和らげるのに役立つからです。

 テニスの記者の皆さんはいつも私に親切でした。ただ、私は人前で話すのが苦手で、世界のメディアに向かって話す前には大きな不安の波に襲われます。本当に緊張しますし、出席して、自分にできる限りの答えを出そうとすることが、いつも大きなストレスになっています。

ここパリでは、すでに弱気になり、不安を感じていたので、自分を大事にするために記者会見するのはやめた方がいいと思いました。それを先に発表したのは、ルールにかなり時代遅れな部分があると感じていて、それを強調したかったからです。大会主催者には個人的に謝罪の手紙を出し、大会中は大変なので、大会後に話ができたらうれしいと伝えました。

しばらくコートから離れますが、時期が来ればツアーと協力し、選手やメディア、ファンにとってより良くするための方法を話し合いたいと思っています。とにかく、皆さんが元気で安全でいることを願っています。皆さんを愛していますし、また会いましょう。』

このコメントが出た時。ジイはある理解をした。
2018年、全米オープンでセリーナ・ウィリアムズをストレートで下し、20歳でグランドスラム初優勝を果たした時の優勝コメントだ。

いかにも恥ずかしそうに、優勝者にふさわしくない子供のようなナイーブなコメントに、ファンは彼女の魅力として捉えた。ところが大坂選手にとっては、グランドスラム保持者にふさわしい人間にならなければ、相応しいコメントが言えなければ、と自分にプレッシャーをかけることになったと想像する。

急激に特別な選手となった自分に心が追い付かない。これからはトップ選手としてコメントを求められる。真面目で控えめな大坂選手は極度のプレッシャーを感じたとしても不思議はない。 “ うつ ” を誘発した原因と思える。

若干落ち着きを取り戻したところで、ツイッターで正直に発表したことは良かった。

もう一つ気になるコメントがコーチ解任の時の
『テニスのキャリアで成功しようと考える自分にはなりたくない』という言葉だ。今回の騒動を考える上で重要なポイントがあるような気がしている。

テニスプレーヤーにとってキャリアは重要であるはずだ。そのキャリアを手に入れつつある彼女。テニスのキャリア以外の何を求めているのか、言葉の深層を知りたい衝動にかられる。

今の彼女は、無名の彼女ではない。世界のトッププレーヤーの言葉だ。影響はとてつもなく大きい。テニス界というよりスポーツ界に投じた一石は大きな波紋となった。

いつの世も、世の中を動かす一石というものは、考え抜かれたものより純粋な心の発露から出たものだ。不思議なものだ。Bigになるということは凄いことだ、たった一言で世界が動くのだ。

結果はわからないが、復活した彼女を見てみたい。

2019年までは日米二重国籍だった彼女、22歳の誕生日を迎えるにあたり日本国籍を選択選手登録は日本となった。無名時代の日本のサポートが決め手となり、嬉しい発表となった。

好きな料理は日本食で、特に鰻、焼肉、寿司をあげる大坂選手に親しみを感じるのは当たり前、応援しないわけにはいかない。

どうか、良い方向に展開することを望むだけだ。
自らの発言の影響力の大きさを経験した彼女は、また少し強くなってカムバックしてくれることを期待したい。