エネルギーと国益

Vol.2-8.3-567     エネルギーと国益
2021.8.3

昨年10月、菅首相は所信表明演説で、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を宣言した。

それから1年も経たずに、この7月21日、政府は第6次エネルギー基本計画の素案を示したのだ。それは驚くべきスピードでの再生可能エネルギーへの傾斜だった。

これに対し国基研代表の櫻井よしこ氏は疑問を呈した。

櫻井氏の心を代弁すれば、亡国へただ一直線にひた走る暴走機関車のように思えたのではないか。

柱となる3点の指摘だ。
1、2030年度時点での再生可能エネルギーを36~38%を再生エネルギーで賄う。
2、原発は現行維持、可能な限り減らし、新設も建替えも考えない。
3、火力発電は現行目標値の56%を41%に落とす。

これに対する櫻井氏の指摘である。
① 現行計画の50%以上の増加。実現不可能な目標値の設定
② 大規模な自然環境破壊につながる危険性がある
③ 我が国の産業を根こそぎ潰して製造業の空洞化を招く
④ 国民の経済的負担が大きく、わが国は中・長期的に衰退する

確かに、再生エヌルギーは人間に優しそうなイメージを抱く。しかし、田んぼ、畑、山、があの無機質な太陽光発電の広大な設備で覆われれる光景は自然の中の異物、人間に与える影響は決して小さくない。

わが田舎に帰った時、自宅前の田んぼのほぼ300坪部分にこの太陽光のパネルが張られていた。春の水田の青々とした緑も、秋の黄金色に染まるはずの田んぼはこの無機質はパネルにさえぎられ風景は一転した。

こんな風景が、田に畑に、山に張り巡らされたとしたら、田舎に帰る気にもならなくなる。たまにゴルフに行くが、隣接に広大な太陽光パネルが張られていた。2度目に見た光景は、自然災害で破壊され、無惨な姿を晒していた。災害への弱点克服も大きな課題だ。

秋田県の海岸線だったか、果てしなくつづく風力発電のプロペラが数キロにわたって建てられたそうだが、風景の破壊はもちろんだが、低音騒音に住民が悩まされているという話を聞いた。

あの、福島の災害がなければこれほどまでに再生可能エネルギーに急激に傾斜することもなかったと思われるが、トラウマとなった原発への忌避意識はかなり深刻である。

この10年、原発の安全性は飛躍的に高まった。本来ならこの原発を利用しながら経済力を落とさず、国民に負担をかけず、徐々に再生エネルギーへシフトして行くのがベストと思われるが、小泉環境相の性急すぎる転換政策は根本的矛盾を含んでいると櫻井氏は指摘する。

太陽光発電は主に午前10:00~午後4:00までしか機能しない。1日の25%しか機能せず、天候を勘案すると設備稼働率は13%しかない。さらに、太陽光発電は同規模の補充電源が必要で、87%の空白帯で電力を供給しなければならない。

この空白地帯に他国は原子力や火力を当てているが、小泉環境大臣はこの問いには答えていない。この無責任さもさることながら、櫻井氏は根本的に矛盾するというのだ。

我が国はすでに世界一の密度で太陽光パネルを設置している。1平方キロ当たりの太陽光発電システム導入に換算すると、中国の8倍、米国の23倍で世界一だという。それをさらに4割近く増やそうと言うのだから、日本を歩けば、そこかしこに太陽光パネルを目にするという風景になるのかもしれない。

これだけ増やしても、二酸化炭素は減らない。補充電源の火力発電が必要だからだ。再生可能エネルギーの補填で電気料金は高くなった。さらに高くなるばかりで個人、企業ともども経済的な合理性はない。

高い電気料金は環境問題を超えた国家の命運を左右する産業競争力の戦いであり、安全保障に関わる重要な問題である。
過去10年間、日本の産業は衰退し、一人あたりのGDPは世界30位に落ち込んだ。

この10年とは東日本大震災後の日本である。間違いなく原発を止め、何が何でも再生エネルギーという暴走が今の日本の衰退につながっている。

日本にはCO2排出を17%も削減できる優秀な火力発電技術がある。原発を持たない国にこの技術を輸出し利益を上げればいいと思うが、政府はこの輸出も止めてしまった。原発もしかりだ。

原発も火力もやめる。自然エネルギーにわき目もふらず邁進する、小泉環境大臣と菅総理。自然環境を破壊しながら国益無視の暴走に櫻井氏は強い懸念を示している。

櫻井氏のいうように根本的矛盾を、国民がなるほどと理解できる説明ができ、そのことが国益に叶うものであるか。その確信の下に進めなければ国家は衰退するとの見解は素人目でもわかる。

原発を忌避する国民がいるのは事実である。しかし、今は小型の原発で限りなく事故発生を起さない安全性の高い原発が開発されている。火力発電もしかりだ。

日本政府は国益と言う観点で鈍感である。オリンピックの舞台で、福島は汚染されていると喧伝する韓国の無作法に、強く抗議する程度のことができなくて日本と福島を守ることはできない。

政治家はもとより、多くの優秀な経営者、シンクタンクの代表者がごまんといるが、ジイは櫻井氏ほど国家・国益を堂々と口にするジャーナリストを知らない。

政治の中枢に櫻井氏のような、真の愛国者が5、6人でもいたなら、こんな体たらくな日本にはならなかったであろうにと思う。

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日本,雑記

Posted by 秀木石