二人の嘘

日本,,雑記,見城徹,高倉健

Vol.2-8.17-581   二人の嘘
2021.8.17

将来を嘱望される美貌の女性判事と、命がけの偽証で未来を棒に振った殺人犯。

恋で終われば、この悲劇は起きなかった。

二人の嘘     一零ライオン

ここまで読んで、何のコマーシャルか分からなかった。
書籍なのか映画なのか、舞台劇なのか、、、
ジイの頭機能は空転した。

出会いは、法廷。10年に一人と言われる天才女性裁判官が裁き、5万円を盗んで雇い主を殺した男が裁かれる。
出所してきた男が訪れるのは、裁判所の門前。
運命の糸に手繰り寄せられるように、再び出会う二人。
彼のために何をすればいいのか? 彼女のために何ができるか? 
相手の幸せをだけを考えて生きる二人。
悲劇に向かっているはずなのに、何故か不思議な幸福感に包まれる。
涙がとまらない。微笑みも止まらない。
切なくて、苦しくて、そして幸せでーーー。

読み終わった本を、抱きしめた。
ありがとう『二人の嘘』

人を殺した男。それを裁いた女。社会の片隅で黙々と生きる元服役囚が封じ込めた人生。感情を殺して生きるエリート美人判事が忘れようとした人生。

二つの人生が宿命のように交錯した時、圧倒的な小説世界が動き始める。
息を詰め、胸を掻きむしり、嗚咽しながら一気に読み終った。
こんな風に愛したかった。こんな風に愛されたかった。
40代の高倉健と30代の吉永小百合しか演じることが出来ない男と女―――。

だから映画化は不可能だ。
何というミステリー!―――編集者 見城徹

先日、新聞の広告欄下段、一面の1/3を使った書籍広告だ。

ジイは最初、『一雫ライオン』が作者の名前であることすら理解するのに相当時間がかかった。「うん、彼か」とわかる方がおられれば相当のBOOK通だ。

油の切れたジイの脳がやおら反応し、『一雫ライオン?』という作家が書いたミステリー小説なんだな、とやっと理解に至った。

見城徹氏、そう言えば数年前、正確には2015年に見城氏の「たった一人の熱狂」という単行本を買ったことがある。

本の題に惹かれて買った。
帯びには
<僕はよく女子プロゴルファーに言います。「その年、一番苦しい努力をした人が、その年の賞金女王になると考えた方がいい」と。「あなたが35位なら、あなたの苦しい努力は35番目だったんだ」と。「結果が全ての世界なんだから、そう考えるしかないよね」と。>

面白い人だなと思った。情熱常時200%、若いときならともかく今なら毎日会うには疲れるかなとは思う。

この広告を見て、その時の思いが甦った。

売らんとするためにどんなキャッチコピーがいいのか、徹底的に考え抜いた末の広告だったと推察できる。

「40代の高倉健と30代の吉永小百合しか演じることが出来ない」と不可能を知りながらも、二人の固有名詞を出す。
ジイはここに同質の価値観を見い出し嬉しくなった。ターゲットを絞った戦略なのだろう。この広告記事が記憶に残った。
読者は勝手に高倉健と吉永小百合の映像を頭に描くだろう。かの「動乱」か、あるいは「冬の華」か「駅・STATION」かもしれない。その映像から、この小説に置き換えて行く。緊迫感漂う法廷劇が脳裏に浮かぶ。年配者のワクワク感を掻き立てる巧みな戦略だ。
  

ジイも読んでみたいとつい思った。
キャッチコピー一つにしても手を抜かない。見城氏のアツアツの情熱は今も健在なりを思った次第だ。

我が家の教養費?にはかなり厳しい現実がある。
見城氏のお知恵を拝借したいところだ。

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