あんた、生涯後悔するぞ

日本 雑記

Vol.2-9.12-607    あんた、生涯後悔するぞ
2021.9.12

「あんた、生涯後悔するぞ」

暴力団トップが死刑判決を言い渡した裁判官に対してはいた捨て台詞だ。
まるで、やくざ映画そのものである。

福岡地裁は8月24日、殺人罪で問われた特定危険指定暴力団「工藤会」総裁、野村悟被告に対する判決を言い渡した裁判官に対して発した言葉が
『公正な判断をお願いしたんだけど』・・・
『あんた、生涯後悔するぞ』と吐き捨てたのである。

前代未聞、今まで聞いたこともない。

工藤會は、日本の暴力団。
2012年からは、改正暴対法に基づく特定危険指定暴力団に全国で唯一指定されている。
北九州市を拠点として2020年には福岡県内には730人もの構成員がいたというから、相当の人数である。

一般の企業や市民を巻き込む事件をたびたび起こすため放置できないとして今回一斉逮捕に踏み切った。

こんな連中に睨まれたものなら裁判官としても安心して夜道を歩けるものではない。いずれにしても相当な覚悟をもって当たらなければ職務は全うできない。

例え被告がヤクザではなくても、不当な量刑だと思えば、改悛どころか服役後もその恨みを持つ者もいるだろう。本当か嘘かはしらないが、最近読んだ小説に “ 門前の人 ” という聞き慣れない言葉が出てきた。

その「門前の人」とは、いわゆる訴訟狂とも呼ばれる人々で、裁判所の玄関前で陣取り、じぶんに不利な判決を下した裁判官の実名を挙げ糾弾する人種のことを言う。中には段ボールに不満を書き殴り、時にはスピーカーを使い延々と持論を演説する人種だ。

小説の被告人は別にスピーカーなどを使って怒鳴るわけではない。ただ、“ 毎日、同じ時間に同じ場所から裁判所を見つめて立ち去る ” 。普段、何千人、何万人と通り過ぎる門前である、ただ立つだけであれば誰も気にも留めないであろう。しかし、長い歴史の中でそういうことがあると知れば、裁いた人間は敏感に察知するものだ。

あの時の判決は果たして間違いなかったか。そんな気持ちがどこか心の片隅にあったとしら、そのさりげない立ち姿にも裁判官は気になるものだ。

ましてやヤクザとなれば命がけである。とくに今回のように言葉で脅しを受ければ冷静ではいられない。本人は死刑でこの世から消えても、その関係者として構成員730人がいる。誰かがヒットマンとなる可能性はある。

どの世にも、どこの国でも、世界中のどこにもヤクザやマフィアはいるものだ。昔、日本のヤクザは、博徒とか渡世人といわれていた。起源は室町時代にさかのぼる。

有名なのが何と言っても、清水次郎長。大政、小政に森の石松。映画に舞台に現代の娯楽のネタになったが、何といっても日本人の心を揺さぶる任侠があった。

あの広沢虎造の浪曲である。
~〽 旅ゆけば 駿河の道に 茶の香り、、、〽~ この名調子を聞けば年配者であれば情景が思い浮かぶ。
ジイも広沢虎造/清水次郎長伝 石松金比羅代参/石松三十石船道中の録音をもっているが、何とも言えない情緒と人情、ヤクザの世界にあった任侠道がなかなかいい。

果たして100年後、工藤会が浪曲のネタになりうるのか?そんなことはあるまい。昔は任侠といわれたように「仁義を重んじ、困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神」があった。今はそのかけらもない。

昭和のヤクザは地方の芸能公演を取り仕切り、芸能人の安全を確保するなど一定の役割を担っていた。今じゃ暴力だけの『何の役にも立たない』ヤクザに成り下がった。社会の中の「悪の権化」である。