中国 共同富裕の背景

世界 日本 雑記

Vol.2-9.13-608    中国 共同富裕の背景
2021.9.13

習近平国家主席が突然、「共同富裕」というスローガンを掲げた。

貧富の格差を解消して社会全体を豊かにするために大企業などに寄付を要求したのだ。
驚くことなかれ、大企業は競うように資金提供を表明したというのだからすごい。
アリババ集団は<約1兆7千億円>、IT大手のテンセン、ネット通販大手のピンドゥオドゥオなどがすでに拠出を表明した。

習政権はアリババなど大手企業への統制を強化しており、習主席の方針発表に敏感に反応したということだろう。

大手企業も中国の置かれた環境から習主席の真意を読み取り、早速に反応することが生き延びる条件と心得ているのだろう。それもお付き合い程度では逆効果、我が身を少々切って血を流すほどでないと中国では生き伸びることはできない。

アリババの1兆7千億円はそんな額なのである。中国の独裁、恐るべしだ。

中国は来年秋、第20回党大会で習主席3期目に入る。求心力を高めることに心を砕く。経済成長は達成したが、格差の拡大で不満が蓄積し民衆の爆発が恐い。人気俳優を脱税で摘発したのも民衆の不満を押さえるためだ。

この共同富裕には批判の声もある。「政府の関与が多くなるほど、中国は共同貧困に向かう」とネット上での指摘はあっという間に削除された。

中国共産党の場合、危機を察知するとスケープゴートを仕立て、徹底的にたたくことにより、恐怖心をあおり、求心力を高めてきた。

反日を盛り上げ、14億の民の不満を日本に向け日本のデパートなどが被害にあったのもその例だ。その都度手法は違うが、今回は世界的に広がる所得格差の背景に莫大な利益を稼ぐ大手企業を標的としたようだ。

世界第二位の経済大国になった中国、多くの中国企業が世界のベストテンに入ってきた。この膨大な利益を中国の大企業が独占していることが所得格差の要因の一つとし、その利益を巻き上げ、14億の民に分配することにより不満を押さえようというのだ。

14億の民の暴発こそが中国にとって最も恐ろしい政治不安要因であると自覚しているからである。

習近平総書記の演説に敏感に反応した大企業は、そのことをよく理解し自らの身の安全からの寄付の申し出であり、企業からすれば自社存立の保全料のような感覚ではないか。

さらに、教育格差も視野に子供の教育に関する通知も出している。
1、小中学校の宿題を減らすこと。塾など、学校以外の負担を減らす。
①小学1年生には、筆記式の宿題を禁止
②学習塾の新設は認めない
2、18歳未満の未成年によるオンラインゲームは、金曜日~日曜日までの3日間は、1日あたり1時間までと制限がかけられた。

これらによって、塾の株価は下落、経営が悪化する企業が出てきた。さらにゲーム関連の株も暴落したということだ。

所得格差も、教育格差も中国だけに限ったことではない。しかし、明確なスローガンを打ち出さないと巨大な14億の民を動かせないという事情がある。

日本のように穏やかな民主主義では政権を維持できない。とりあえず方針を出して走りながら考えるのが中国流。理屈や制度は後から作ればいいというやり方は、中国だからこそできること。

しかし、この夏、矢継ぎ早に出した方針は何故か。

中国を取り巻く環境は厳しい。対米との経済対立。ウイグル自治区の人権問題。アフガン問題。香港・台湾の革新的利益、さらには冬季北京オリンピックを控える。

国内暴動などあれば国は暴発する。中国の危機意識はかつてないほど緊張に包まれているといっていい。

日本よ、ゆめゆめ中国のためになどという甘い考えは捨てるべし、中国リスクに冷徹な目をもって臨まなくてはならない。