核燃料サイクルの必要性

日本 雑記

Vol.2-10.4-629  核燃料サイクルの必要性
2021.10.4

2011年3月11日。東日本大震災が発生した。

津波をもろに受けて福島第一原子力発電所で発生した原子力事故。夢の電源が一転、最も忌避される電源になった日だ。

日本で最初の原子力発電が行われたのは1963年(昭和38年)10月26日で、東海村に建設された動力試験炉での発電が最初である。

あれから半世紀、二酸化炭素を出さず、夢の電源として原子力発電にお世話になってきた。しかし、たった一回の事故で最悪の電源に変わった。被害の大きさを考えれば理解せざるを得ないが、あまりにも極端な変わりようだった。

影響をもろに受けた福島の人たちの命の危険を考えれば、間違いなく人生を狂わせた悪者以外の何物でもない。

あの日から、福島の4基が2012年4月20日に廃止され、残る2基も2014年1月31日に廃止となった。新たに建設が予定されていた2基についても計画が中止。

また事故の影響により、2013年に浪江・小高原子力発電所の建設計画が中止。2019年には福島第二原子力発電所も全基が廃止された。

2015年4月27日、美浜1号機と2号機、玄海1号機、敦賀1号機の4基が廃炉。4月30日には、島根原子力発電所1号機が廃炉となった。

そのように次々と廃炉や停止が行われ、原子力発電量は、東日本大震災前と比較して半減した。54基の原発の内33基を残し、廃止・解体が決定。稼働中の原発も今日の状況からすれば、順次廃炉の道を辿る可能性がある。

このような急激な原発廃止の動きは “ 原発は危ない ” という意識を国民に強く植え付けることにもなった。

しかし、エネルギー資源に乏しい日本では、核燃料サイクルを原子力の基本として推進してきた事実がある。使い終わった燃料はそれで終わりではない。使用済み燃料からプルトニウムやウランを回収し、再利用するのが核燃料サイクルだ。

日本は原発利用に際し、軍事転用の懸念を抱かれないために、再処理によって回収するプルトニウムを発電に必要な量だけに抑えている。

世の中は原発から自然エネルギーへ急転換の流れがある。しかし、そこにはいくつかの問題ある。

1、不安定な自然エネルギーを支えるためのベース電源に原発が必要
2、自然エネルギーは「太陽光・風力」共に天候に左右される。広大な自然を必要とし、景観破壊、風力音による健康被害がある
3、2050年CO2ゼロを達成するためには、原発なしでは達成できない
4、世界の原爆は現実には安全保障上、抑止力として作用している。
5、原発技術の放棄は日本の技術力の退化につながる。
6、使用済み核燃料は再利用される前提で保管。使用済み燃料が使えなけなれば、今の原発も稼働出来ず、さらに使用済み核燃料が増え続け保管できなくなる。

私たちは、何かあると極端に走る傾向がある。何が何でも核はダメ!というのではなく日本の技術力を信じてもいいのではないか。現在では安全で小型の原発が開発されている。

高温ガス炉(HTTR)だ。
①黒鉛のブロックで中性子の速度を落として核分裂を進める
②水蒸気の代わりに熱で膨張したヘリウムガスで発電タービンを回す
③外力に強く、核分裂生成物も被膜の内側に密封される
④事故時、制御棒・水を不要とし、自然に冷温停止する
⑤事故時、水を必要としないので、山の中、砂漠でも建設できる
⑥炉心溶融などの過酷事故には至らない高度の安全性を保持

以上のように原発と聞いただけで忌避するのではなく、人間には危機を乗り越える力がある。日本原子力研究開発機構の開発だが、次世代の原発として国際的にも高い評価を得た。

自然エネルギー、確かに優しい響きだ。しかし、独立国として生きるには現実を知り、冷静かつ果敢に対峙する勇気も必要ではないか。