制御可能な紛争

世界 日本 雑記

Vol.2-12.20-706   制御可能な紛争
2021.12.20

中国が台湾周辺で、多数の軍用機を飛ばし威嚇を続けている。いかにも近い将来台湾統一をするぞ、との強い意思表示に見える。

米政府も、日本も欧州もほぼそれに近い見方をしている。しかし、米歴史学者のE・ルトワック氏の産経新聞の論説を読んで、改めていろんな見方があるもんだと感じた。

その独自の中国論だが、

E・ルトワック氏も中国の台湾進攻を否定するものではないが、
『現時点で中国には軍事力で台湾を制圧するリスクを冒す用意ができていない。まともな戦争計画もないはずだ』という。

では、中国が今にも攻めるぞと言わんばかりの威圧的行動をとる狙いである。

◆台湾の人をおびえさせ、将来の選挙で「中台統一志向が強いとされる野党の中国国民党に投票するよう仕向けること。・・・だという。

さらに、中国人の思考回路にも触れている

◆中国は、台湾の人々が自由など重要視しておらず、豊かで穏やかに暮らせさえすればよいと考えている。

◆台湾人は香港で何が起きているかも気にしていないし、自由のために立ち上がることもないだろう。

では何故中国はそう考えるのか

◆中国人自身がそういった意識の持ち主で、中国人は、他の国の人間も中国人と同じように思考し行動する、と強く思い込んでいる。

◆実際、中国では政府に抵抗して立ち上がる人は極めて少ない。天安門事件でも、抗議の学生たちに追随した一般の人々は少なかった。

欧州では、負けるとわかっていても時に人々は政府に反乱を起こす。そこが中国との大きな違いだ。・・・というのである。

なるほど、そういえばそうかもしれない。

昔、何かの本か記事で読んだことがある。中国は勝てると思う相手には徹底して強気に出る。しかし、負けると読んだ相手には絶対に刃向わないと。実に現実的な民族である。

当時、毛沢東が強大な権力を行使していたかに見えるが、その上を行くソ連につかず離れず、ある時は強気に、ある時は甘え、巧みに利用してきたのは中国毛沢東である。弱い者は容赦なく徹底的に叩いて力を誇示するが、強気には特に慎重であった。

そう言えば、国内戦で国民党に勝ったのもそうだ。自らは日本と戦わず、蒋介石の国民党をそそのかし、日本と戦わせて弱ったところで国民党を壊滅、台湾に追いやったのもその手だ。

毛沢東が回想の中で、「何故日本は南京を攻略しておいて徹底的に壊滅しなかったのかと」とその優しというか不徹底さを指摘している。その後も生涯を通じ南京について一度も口にしていない。南京大虐殺はなかったことを当事者であった毛沢東が証明している。

ところで、習近平総書記は台湾を脅しておいて本当に台湾攻撃に出ることはないのか。台湾国内では2年から4年後を危険と想定しているが。

台湾の背後には米国がいる。しかし穏健とみられているバイデン大統領。アフガニスタンの撤収をめぐる失態を「弱腰」と非難された。しかし、この汚名を挽回するチャンスは中国の台湾進攻阻止だ。米国は相当積極的に出てくると読んでいる。というのだ。

アメリカが本気になってやるような制御困難な紛争には手を出さない。これがE・ルトワック氏の読みである。

手を出して勝利を誇示できるのはインドの国境での紛争程度で限定的勝利を考えているとみている。

それに、ルトワック氏の論説記事で初めて知ったが、最近インドネシアに対し南シナ海南端の海域での石油・天然ガスの掘削中止を要求する書簡を送ったと言う。

掘削場所はインドネシアのEEZ内にあるが、中国は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する例の「九段線」を根拠に自国の領海だと訴えたのだ。

この「九段線」はオランダハーグの仲裁裁判所が中国の主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないとすでに裁定している。ところが、そんなものお構いなしの横暴である。

国際司法裁判所もなんのそのだ。中国の前では国際的秩序などあって無いに等しい。武力と金にモノを言わせ、勝てると思えば何でもあり。国益がすべてに優先するのである。

台湾海峡における危機的状況は日増しに高まっているが、米国、日本と台湾の本気度を測っているとみて間違いない。

ルトワック論に立てば、日米台3国と欧州同盟国が本気になって戦闘態勢を整えた時、中国の台湾進攻は回避できる。

ただ、最も危惧されることは、日本の中の親中派に野党及び共産党等、加えてマスコミがこぞって戦争反対キャンペーンなどと内情を理解せず騒ぎ立てることだ。戦争を煽り立ててもいけない。日本の動きを静かに見守ることだ。

かつての軍国主義・日本ではない。有事こそ冷静に団結し日本政府を信じることで戦争は回避できる。