エンジン音が消える日
Vol.2-12.30-716 エンジン音が消える日
2021.12.30
世界は今、EV車へ一直線である。
脱炭素社会の実現に向け、世界では「脱ガソリン車・ディーゼル車」を掲げて、各国がまるで雪崩を打つようにEVシフトへ一気に進んでいる。まるで激流である。この流れを止める手立てなどこの世に存在しない、、、かのようである。
あのエンジン音がこの世から消え、ガソリンの焼けた匂いもこの世から消え去るのか。
ジイの世代が憧れたガソリン車の名車はCO2排出の悪の権化として過去の遺物ならまだしも、異物とされてしまうのか。
世代は変わりつつある、自動車を持つことが大人の証のような7、80年代。
フェアレディZ、セリカ、ブルーバードSSS、スカイラインGTR等々、、、今の若者は車を持つことも乗ることさえ、さほど興味を抱かなくなった。ダンス、SNS、にゲームに、、、趣味は多様化した。時代の流れだ。
このEV化の動きに環境活動家グレタ・トゥンベリさんはさぞかし満足であろう。喜ぶ顔が浮かぶようだ。
しかしだ、果たして本当にEVはCO2を減らし環境を改善するのか。
電気自動車のモーターを駆動させるためにバッテリーに蓄える電力は、元をたどれば、日本では80%以上が火力発電によって作られている。火力発電所からは今まで以上にCO2が排出されることは間違いない。
自動車のボンネットや屋根に太陽光発電や風車を載せ、自家発電したり、全て原発で賄うならとともかく、火力発電からバッテリーに蓄電し車に乗せるのであれば、EVはゼロ・エミッション車とは言えないではないか。
今まで以上にCO2を発生するのではないか。その検証は一向に示されない。示されるのは、ガソリン車とEV車が出すCO2の比較話ばかりだ。
例えば、
1、EV車は燃費もガソリン車の2分の1
2、排気ガスが出ないので、身体に良い
3、ガソリン車やディーゼル車のように爆発音がでないので静かだ
あるいは、
1、EV車の普及が進むと、3万点にもおよぶとされるガソリン車の部品のうち、およそ4割が不要になる
2、燃費比較だ
ガソリン車 ⇒ 1km約7円
ハイブリット車 ⇒ 1km約4円
EV車 ⇒ 1km約3.5円
暴走族減少 ⇒ 爆発音がないEVじゃ様にならない、静かな暴走族?
自動車王国ドイツなどは、原子力発電廃止の方向にある。果たしてどうするのか。
すでに世界は脱EVに動き出し、後戻りはできない情勢にある。
◇ 米国カリフォルニア州はガソリン車2035販売禁止
◇ 中国2035年HVのみ許可
◇ ドイツ2030販売禁止
◇イギリス2030販売禁止
◇フランス2040年販売禁止
◇中国2035年HVのみ許可
すでにこの流れを止めることはできない。脱炭素社会を旗印に新たな車需要を世界的に起し経済の爆発的活性化につなげようとする思惑さえジイは疑う。
EVシフトは車本体だけで終わるものではない。
蓄電池の開発、充電ステーション等のインフラ整備等々産業界は一気に活性化する。新たな車の開発競争も激化するであろう。
いずれにしてもいずれこの世からガソリンエンジンが消え、静かなる車社会が来る。最近はEV車が側を通り過ぎてびっくりすることがある。ガソリン車のように音で気づかない。いずれ危険を知らせるノイズ発生装置がつけられるのではないか。
ああ、、、あのガソリン車のエンジンを吹かす音も聞けないとすると寂しい。まさか、F1もタイヤの摩擦音だけになるのだろうか、、、、、と思いきや、、、そうだ、トヨタの究極のエコカーと銘打った“水素エンジン車”があったと気付いた。
水素エンジンは今まで通り、ガソリンの代わりに水素を使うだけだ、匂いはないとしてもガソリンと同じ爆発音はするはずだ。F1はこれに望みをかけるしかない。
すでにトヨタは水素自動車「ミライ」を製作し実験段階に入っている。水素タンク3本で合計141ℓの水素を積み、走行距離は約850kmを達成している。
今から50年以上も前だ、夢のエンジンとして当時大きな話題になったマツダのロータリーエンジンが陽の目を見るかもしれない。あるいはトラックなど大型車には多量のバッテリーを積む必要があり水素車が有利である。水素車の生きる下地はある。
そんな中、日産がレーシングカーとしてフェアレディZを復活させるというニュースが入った。EVまっしぐらの中どうしてという疑問だが、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーで小型ハイブリッド車「ノート」が最優秀賞を獲得した。EV車で自信を取り戻した日産がこの勢いでブランド力を上げようということらしい。
車ファンとしては嬉しいことだ。あの爆音とともに往年の名車が見られとすれば車ファンはたまらないだろう。
C.ゴーンのお蔭でブランド名を落とし、ずいぶん足踏みをしたが、かの勢いを取り戻し、2大メーカーとして君臨した過去の栄光を取り戻してほしい。
電気自動車の将来は2030年にはシェア50パーセントを突破するとの読みがある。しかし、まだまだ、インフラの整備、充電時間の短縮、バッテリーの小型化、車両価格、航続距離と課題は数多い。
50年先、すべてがほぼ解決され、EV一色になれば都会でも静かな月見を楽しめるかもしれない。高速道の脇に防音壁もなくなるだろう。音のない車で暴走族はどうするのだろう?、ゲーム機の車だけはガソリン車?と余計な心配をする。
車の爆音は、富士スピードウェイか鈴鹿にいかないと聞けない時代が確実にくる。
サムライが、100年後、まさか自動車を想像もしなかったように、100年後、近距離の移動手段は人間が簡単に乗れるドローンが主流になっているかもしれない。
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