成人儀式

日本,雑記

Vol.3.01.11-728  成人儀式
2022.01.11

成人式が各地で行われている。街中に振袖を着た女性を見かけるのは華やかでいい。新成人は120万人で前年比4万人減ったそうだ。

成人の年齢が明治29年から続いていた成人年齢がこの4月から20才から18才に引き下げられる。飲酒、禁煙は従来通り20才。さらに少年法に守られ真に大人扱いとはならない。何とも中途半端な大人の儀式である。

ジイなどは全て同じにすべきだと思う。そこに大人になるという責任、義務なるものの重みを知り、緊張感をもっていざ出陣となると思うのだが。

以前は、バカ騒ぎをする若者もいて問題になったことがあった。全て大人扱いとなれば人生最大の儀式となり成人式も大きな意味を持つ。騒いでいる場合ではない。儀式というものは本来そういうものではないか。

成人年齢が20歳と定められたのは明治時代のこと、それ以前、日本では「元服」と呼ばれる成人の儀式が行なわれていた。

年齢は12歳~16歳までの間に行なわれた元服は、「大人になる」「男になる」儀式と言われていた。戦国時代などは一人前として闘いの最前線に立つ厳しさがあった。

因みに織田信長元服は13歳頃、名前は「織田吉法師」から「織田三郎信長」へ改名。
徳川家康元服は14歳頃「松平竹千代」から「松平次郎三郎元信」となり、「松平元康」から最終的に、徳川家康と改名。そこには名実ともに覚悟なるものを感じる。

儀式とは心の変革を自らに課す起点となるべきある。それが、現代では選挙年齢や自己決定権の拡大という民法では大人、刑法では子供扱い。20才までのあやふやな経過措置など害あって益無し、緊張感を損なういらぬ配慮である。

「明日からはすべてに大人として責任をとる」この覚悟を持たせず、選挙だけは大人として責任を果たせ!では大人でない大人、何とも間の抜けた大人である。

最も大切な責任ある年齢への儀式が単なる通過儀礼では少年自らが意識するチャンスを、大人が奪っているように思えてならない。

何を指標にして「成人」とするかは、国によって異なるが狩猟民族などのように、
• ライオンを狩る(マサイ族)
• 毒アリがたくさん入った手袋に手を突っ込む(サテレ・マウェ族)
• 素手でサメを捕獲する(パプワ・ニューギニア)
など、原始的ではあるが、彼らなりに責任、勇気、覚悟なるものを自覚させ大人としている

では、世間はこの重要な成人年齢の引き下げの転換期をどうとらえてるのであろうか。

全国の新聞の社説をざっと見てみた。

さすが、全国紙は「成人の日」を社説として取り上げていたが、地方紙に至っては成人関連記事はまれである。内容も意義深く掘り下げる社説はなく、成人年齢の引き下げに伴う制度変更を知らせる内容と、一般的なエールばかりでそれを超えるものはない。

朝日新聞などは、成人となる若者よりも大人側の見直し?という不思議な視点で書いている。
<朝日新聞>
「18歳成人」が決まった時、成人式をどうするかも話題になったが、当事者の声を聞いて反映させようという動きはあまり見られなかった。大人の側がこれまでの思考や行動様式を見直し、対等な社会の構成員として若者に向き合う。そうしてこそ、大人の自覚は醸成される。

<産経新聞>
一昨年に亡くなった評論家・山崎正和は雑誌「潮」に「令和に生きる日本人へ。」と題する論文を寄せ、混迷の時代を生きる日本人に3つの「遺言」を示した。「過去と歴史の教訓から真摯に学ぶ」「社交の技術」「読書の大切さ」だ。すなわち、過去から学ぶ視点の重要性、礼節と節度を保ちつつ人と親しく付き合う技術、人類が蓄積した知識と情報から学ぶこと―である。
ハードルは高いがまずはどれか一つから始めてみてはどうか。大人の時間はたっぷりある。

<読売新聞>
大変な時期に大人の仲間入りをすることになるが、後ろ向きに考えるだけでは展望は開けまい。未来を切り開いていくことができるのもまた、若い力である。・・・・・成人年齢は、4月から18歳に引き下げられる。親の同意がなくても、クレジットカードを作成したりできるようになる。契約内容を丁寧に確認するなど、大人としての責任が生じることを踏まえた行動が大切である。

以上の社説からも成人人間への覚悟と緊張感を伝えるものはない。

人間が人間たる道に歩みを進める大事な第一歩である。その形骸化する儀式の中でも、18才にした意義はある。このチャンスに成人式に重要な意義付けをし、儀式らしい儀式にすべきではないかと思う。

日本を背負うその第一歩を歩み出すのである。サナギから脱皮するように過酷な世間への船出がいいかげんであってはならない。今こそ、制度例外をなくし、成人人間としての船出を大切な儀式とすべきと考えるが。

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Posted by 秀木石