変わる葬儀と墓地
Vol.3-01.19-736 変わる葬儀と墓地
2022.01.19
少子高齢化、だけではない。デフレが20年以上も続けばお金に関する考えも変わる。
昨今の冠婚葬祭事情は大きく変わりつつある。デフレに関して言えば、何年も給料も上がらず余分なものに金をかけたくない。田舎ならともかく近所付き合いも希薄、お隣さんさえどこに勤めているか分からない。そんな世の中、葬儀は身内だけでこじんまりと済ますケースは多い。
病院で亡くなればなおのこと近所が知る由もない。何か月も経って、ひょんなことからひと月前に亡くなっていたことを知る。なんてことは都会では間々あることだ。
社会事情も変わった。会社を退職して何十年も経っていればお付き合いも年賀状のみというケースもある。それも会社によっては社員間の中元・歳暮、賀状はやめようという会社も多い。
退職後何年も経っていれば、わざわざ来ていただくのも気が引ける、 “ ご迷惑をかけたくない ” そんな理由で知らせないケースもある。
したがって、年末になって喪中のハガキをいただいて初めて知るのである。
かなり大きな会社で重役までお勤めになった方が家族葬で済ませたとの連絡をいただき驚いたという方がおられたが、世の中は急激に変わりつつあることを実感する。
ただ、葬儀をやるとしても “ 家族葬 ” や “ 小さなお葬式 ” に代表されるように身内だけ、あるいは極力小さく、極親密な方だけで済ます “ 身内葬式 ” はデフレという経済縮小に端を発したと言えるかもしれない。
田舎などではまだまだ、祭りや神社、お寺を中心とした村の行事などからのつながりでそれなりの葬儀が行われているが、それでも2代目、3代目と代が変わると家族だけで済ませてしまうということも決して少なくない。
そんな中、「樹木葬」が注目を集めている。
墓石の代わりに樹木や草花を植える「樹木葬墓地」である。
跡継ぎを必要としない永代供養であるため家族に負担をかけなくてすむ。一般墓地と比べ安価、宗教、宗派を問わない。将来的に誰も墓参りに来る人がいなくても花が植えてあるので寂しくないということだ。
お墓参りも公園を散策する感覚で来られる。
「核家族化で墓は代々受け継ぐものではなくなった。家族に経済的・精神的負担をかけたくない。といって樹木葬など永代供養を求める人が増えて行く」と業者はみている。
ある情報サイトの会社が、直近購入した墓地の種類を調査したところ
1、樹木葬・・・46.5%
2、一般墓地・・・26.9%
3、他・・・26.6%
その他の中には、ロッカー式やマンション型などの「納骨堂」がある。都会の中にあり便利である。17年、33年など、一定期間個別で管理された後は合祀されるものが多い。
いずれにしても昔ながらの墓地よりもほぼ半分以下の費用ですむ。
時代は変わりつつある。死んでしまえば灰になるだけという考え方もある。
正直、何が良いのか分からない。東日本大震災で多くの方が亡くなったが、未だ遺体が見つからない人がいる。今も海岸を探す人の気持ちを察するに、如何に遺骨の存在が大きいかがわかる。それが生きていた証だからだ。
確かに弔う気持ちと、遺骨さえあればどんな形式でもいいのかもしれない。
幸い、我家には墓がある。ここに入るんだと思うと何故か安心感のようなものがある。我が子や孫や、時に赤鬼?が墓前に手を合わせる姿が想像できるというのは、生きながらにしてあの世を生きているような気分になる。それも心休まり楽しいものだ。
ただ、後継ぎもなく天蓋孤独となれば、悲しいかな墓より樹木葬墓地の方が年中木々に囲まれて嬉しいかもしれない。
時代の流れだ。千差万別、その人に合った墓ができたというのはいいことなのだろう。
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