ブタの心臓いただきます

世界,日本,雑記

Vol.3.01.23-740  ブタの心臓移植
2022.01.23

山中伸弥教授が「iPS細胞」を開発し、ノーベル賞を受賞されてからもう10年が経つ。

体のさまざまな組織の細胞になる能力がある「iPS細胞」、今もいろんな形で臨床研究が行われている。

神経や心臓に対する再生医療の研究も続いている。しかし、人間の命にかかわること、そう簡単にはいかない。安全を確認するには何年もの臨床実験を経なければならない。

一つでも確実なものが出来上がれば何人の人の未来に光があたるのであろうと思うと、一日も早い成功を祈るのみだ。

そんな中、ブタの心臓を人間に移植したというニュースを聞いた。

『米メリーランド大学医学部は10日、ブタの心臓を人に移植する手術を実施したと発表した。術後3日たつが、移植を受けた患者の経過は今のところ順調。提供された心臓は、拒絶反応を起こさないよう遺伝子改変されたブタから取り出しており、世界で初めての試み。』ということだ。

さすが、アメリカである。倫理的な問題を乗り越え、果敢にチャレンジする精神にはいつも敬服する。

57歳の男性は
「この手術は実験的でリスクと利益は分かっていない点があることを十分に説明され。今後、数週間かけて、今回の臓器移植によって生命を維持するだけの効果があるかを検証していく」

と説明されたが、手術前日、「死ぬか、この移植を受けるかだった。私は生きたい」などと話したといい、実験的手術を受け入れたという。

その後の情報はないが、移植を受けた患者の経過は順調だったという。提供された心臓は、拒絶反応を起こさないよう遺伝子改変されたブタから取り出しており、世界で初めての試みである。

しかし、ブタの心臓を人間に移植する。今まで聞いたことがなかった。

その背景にあるのはドナー不足によって年間6000人が命を落としているという現状がある。

そこで、何故ブタかという疑問だが、東京慈恵会医科大学・小林英司教授によるとブタの心臓・肺が人間に似ている。ということだ。

一般的に心配されるのが拒絶反応はないの?ということだが、拒絶反応を極力抑えるために、まずブタの体重を落として人間に近づける。同時に、人間の遺伝子を入れるなど10カ所以上の遺伝子操作が行われる。そのようにして極力人間の体質に近いブタが出来上がる。

う~ん、なるほど。何でもそうだが強く欲するところから発芽し、あくなき情熱が技術を育てて行く。凄いことだ。

そうかと思えば、今度は「ブタの腎臓、脳死男性に移植」というニュースが入ってきた。

やはり同じく米国である。米アラバマ大バーミンガム校の研究チームだそうだ。

『チームは男性の腎臓を摘出し、10個の遺伝子を改変したブタの腎臓2個を移植。人間同士の場合と同様に免疫抑制剤をつかった。1個の腎臓は23分後に尿を作り始め、3日以上維持できた。ただ、もう1個は十分尿を作らず、尿として排出されるはずの老廃物クレアチニンの血中濃度も下がらなかった』

成功しなかったということだ。しかし、このような実験の積み重ねにより、いつか人間の命を救うようになるのだろう。

今もブタは食として人間の命を支えてくれているが、今後もいろいろとお世話になりそうだ。

そう思うと、急にブタくんが身近に感じる。
『緋牡丹博徒 お命戴きます』ではないが、動物の命をいただくのである。神聖な気持ちと、「決して無駄にしない」という心の中にこそ真の技術の進歩もあると思える。、、、期待したい。

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