祝・御嶽海V3
Vol.3.01.25-742 祝・御嶽海V3
2022.01.25
関脇・御嶽海、優勝おめでとう。
確かに今場所の御嶽海は違った。表情、取り口、気合の入れ具合すべてのヤル気度が顔に現れていた。
千秋楽、負ければ巴戦の可能性があった大一番で、御嶽海は7連敗中の横綱・照ノ富士を寄り切り優勝を勝ち取った。
ただ、手放しでは喜べない。横綱・照ノ富士が12日目の明生戦で敗れた際に土俵下へ飛び降りた。その時に古傷の膝、足首を気遣っている。
悪いことに、14日目の阿炎戦で敗れた際も土俵下に飛び降りる格好になった。明らかに右足首と膝をかばう仕草をみせ、相当悪化していることをうかがわせた。
しかし、一人横綱として明日は千秋楽、休むわけにはいかない。相手は気合・体調万全の御嶽海、照ノ富士は初場所を壊さないため戦うしか選択肢はなかった。
万全の体調で優勝決定戦を戦えなかった照ノ富士は不本意であったに違いない。それよりも来場所以降、横綱として土俵が務められるか心配である。
ともあれ不甲斐ない大関陣を尻目に、次期・大関候補として優勝したことは相撲界にとっても大きな意味を持つ、横綱への期待である。
優勝インタビューの途中に、大関昇進をはかる臨時理事会の招集があったことを告げられると、一瞬言葉を詰まらせた。かすかに目に光るものがあった。
大関への執着など全くないに見えた御嶽海であるが、内心は母や、ファンの熱い思いに応えたいという思いはあったのであろう、込み上げる涙が語っていた。
身体はすでに大関に引けをとらない。ご両親やファンのみならず、相撲協会からも大関になるのは当たり前のように思われてきた。
毎場所、毎場所いいとことまでいくが、勝ち越しが決まると気を抜いたり、あるいは詰めの甘さからの敗戦。持続しない緊張感。これらは多くの親方からも指摘されたきた。
三役は10場所連続。歴代6位となる通算在位28場所目も、これまで2場所連続2桁勝利はなし。2度優勝した場所の大関とりは失敗している。
期待されながら、期待を裏切るという意味では、貴景勝、正代と3羽ガラスだ。
※ 八角理事長からは「気力がない」「もっともっと相撲に気持ちをかけなきゃ。気持ちが、どっかに行ってしまっている」と嘆かれ。
※ 北の富士からも「御嶽海のだらしのないこと甚だしい限りである。まるでやる気が見られない」と厳しい言葉をもらい。
※ 白鵬からは稽古嫌いで知られている御嶽海に「稽古しすぎると、雪が降るぞ」とからかわれる始末だ。
稽古不足は終盤のスタミナ不足にもつながった。
そんな厳しい世界だが、やはり母は優しかった。
母、マルガリータさんは、今朝は
『気をつけて、頑張って。ケガだけしないようにお願いします』
とメールを打っただけだという。
今回は、横綱を破っての優勝で、直近3場所を三役で33勝とされる目安に達し、文句なしで悲願の大関を勝ち取った。母へ最高のプレゼントになった。
さあ、来場所からは正真正銘の “ 大関 ” である。
協会関係者、指導者からの厳しい声は期待の裏返しである。ありがたい叱咤激励の言葉をそのまま実戦すればいいことだ。
簡単だが難しいことは百も承知だ。それは本人が優勝インタビューで語ったその中にある。
「勝っている時はいつも短いなと思うけど、今場所はすごく長いなと感じて、精神的に持つかなと思っていました」。精神的強化は大きな課題だ。
母から受け継いだ優しさを胸の奥にしまい。いかに自分に厳しくなれるかだ。
それもインタビューで答えた。
『見ていてください』と力強く言い切った。今度こそ期待を裏切らない大関にならなくてはならない。そうすれば、必ずや大きな綱が見えてくる。
さあ、心技体を鍛えて、一人横綱を二人にする覚悟が必要である。
残るは、精神面の強さの源は稽古量である。今の体重を稽古でどれだけ落とせるかが勝負だ。
今年のクリスマスがくれば30才になる。相撲人生そう長くはない。この大関で一気に横綱を目指さないともうその夢は消える。
3月場所、今の体重以上であればもうすでに横綱への夢はないと思った方がいい。160kgあたりがベストではないか。
同郷で江戸時代の最強力士、「雷電 爲右エ門」二世の期待も高まってきた。
3月場所が楽しみなった。今度こそ期待を裏切らない御嶽海を見たい。
相撲界の未来もかかっている。ガンバレ御嶽海!!
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