非難のない決議

世界,日本,雑記

Vol.3.02.02-750   非難のない決議
2022.02.02

じらして、じらして、じらしてやっと決議された「人権決議」。決議されたのはいいが、当初案にあった「非難」をとったただの決議になった。

まるで気の抜けたビールような決議が、取り合えず、北京オリンピック開幕前に間に合わせるように衆議院で決議された。

その全文である。()内は当初案。

『新疆ウイグル等における深刻な人権状況(人権侵害)に対する(非難)決議

《 近年、国際社会から、新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港等における、信教の自由への侵害や、強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている(人権侵害が発生している)。人権問題は、人権が普遍的価値を有し、国際社会の正当な関心事項であることから、一国の内政問題にとどまるものではない。

この事態に対し、一方的に民主主義を否定されるなど、弾圧を受けていると訴える人々からは、国際社会に支援を求める多くの声が上がっており、また、その支援を打ち出す法律を制定する国も出てくるなど、国際社会においてもこれに応えようとする動きが広がっている。そして、日米首脳会談、G7等においても、人権状況への深刻な懸念が共有されたところである。

このような状況において、人権の尊重を掲げる我が国も、日本の人権外交を導く実質的かつ強固な政治レベルの文書を採択し、確固たる立場からの建設的なコミットメントが求められている。

本院は、深刻な人権状況に象徴される力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識するとともに、深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう、強く求める。

政府においても、このような認識の下に、それぞれの民族等の文化・伝統・自治を尊重しつつ、自由・民主主義・法の支配といった基本的価値観を踏まえ、まず、この深刻な人権状況の全容を把握するため、事実関係に関する情報収集を行うべきである。それとともに、国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施すべきである。》

以上である。

「非難決議」が ⇒ ただの「決議」になり
「人権侵害」が ⇒ ただの「人権状況」になり、
「人権侵害が発生している」が ⇒ 「人権状況への懸念が示されている」に変わった。
「弾圧を受けていると訴える人々」とは、訴えている段階で、弾圧が確定されていると断定できない。と読める。
「事実関係に関する情報収集を行うべき」・・・もう10年以上も続く侵害をこれから情報を収集する?

なんという腰の引けた、まるで独立国家からは程遠く、恥ずかしいほど中国に気を使った決議文である。

太字部分はどうも、公明党からの差し金で修正が行われたようである。人権と平和を愛する公明党においても中国には平身低頭、決してあなた様にはタテをつきません。という姿勢である。

その公明党のご意見を、“ ハイ、わかりました ” と聞く岸田政権。さにあらん、岸田=林外務大臣は親中派である。特に林外務大臣についてアメリカでは「別次元の親中政治家」とみなされている。

フリージャーナリスト・山口敬之氏によれば、
岸田政権発足当初アメリカは、安倍ラインであり安心感もあった。ところがある時点から岸田不信が始まった。

その始まりは「林芳正氏が外務大臣になった時」である。林大臣は親中派とみなされているが、「別次元の親中派」との認識だという。

決定的となったのが、「ホワイトハウスが北京五輪を外交的ボイコットを発表する直前、岸田政権にその方針と発表のタイミングを伝えてあった。バイデン政権は時間を置かず同じレベルでの外交ボイコットが発表されるものと思っていたようなのだ。

安倍とは違う。予測不能の男と認識を変えた瞬間である。

一方、林外務大臣。2021年、新年の挨拶を交わす賀詞交換会で、日中友好議員連盟の会長であった林氏は、
『中国のコロナ対策や経済成長の成果を積極的に評価し、北京オリンピックに協力し、両国の世論基盤を改善して、友好事業を絶えず新たに発展させ、良好な雰囲気で2022年の日中国交正常化50周年を迎えたい』と述べ、外交ボイコットを骨抜きにした林氏を、予測不能で不気味な男とみている。・・・というのだ。

同盟の米国、近所で経済の恩恵にある中国。どっちつかずの外交がまるでダッチロールのように見える。

日本は顔の見えない国と言われて久しいが、「人権・自由・法の支配」を言いながらやることからは漠然として何も見えない。国語辞典から「毅然」という言葉はなくした方がいいかもしれない。

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