世界で分かれる原発の動き

世界,日本,雑記

Vol.3.02.15-763   世界で分かれる原発の動き
2022.02.15

つい先日、フランスが原発14基を新設すると大統領が発表した。

世界が脱原発で2分する中、フランスがこの方針を発表したのには少々驚いた。

過去には
1979年・・・米スリーマイル島原発事故
1986年・・・チェルノブイリ原発事故
2011年・・・福島第一原発事故

これらの事故から脱原発の動きが活発になったのは事実だ。スウェーデン、イタリア、べルギー、ドイツなどは相次いで脱原発を決めた。新設に踏み切ったフランスでさえ、75%から50%に依存度を減らしている。

フランスの動きは、もちろん昨今の地球温暖化対策で2050年には温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にする目標があるからだ。しかし、フランスのみならず、欧州で原発再評価の動きが出てきたのも事実だ。

とはいえ、すでに原発離脱を決めた国もあってすべてがその方向に動いているわけではない。デンマークなどは現在、風力と太陽光だけで、電源の50%を占めており、将来は100%再生エネルギーで賄えると言う国もある。

しかし、そのデンマークですら、「浮かぶ原発」を開発中である。不安定な自然エネルギーの補完的意味合いがあると思われる。

開発責任者は「安全性に優れ、沖合に設置するので、地震や津波にも強い。2026年には第1号を完成させると意気込んでいる。

開発者によれば、
「原子炉はウランなどの核物質を溶融塩に溶かし、液体燃料にして使う。溶融塩は大気に触れると、固まって核物質を閉じ込める。放射性ガスが空気中に飛散せず、爆発しない。だから、事故の危険を抑えられる」という。

「小型モジュール炉」というミニ原発は造船所で仕上げるなど3年で完成。経費節減の海に浮かぶ「ミニ原発」として自信を示す。

ところで、現在の欧州の原発依存度はどうなっているのか、
・フランス・・・・71%
・フィンランド・・34%
・スイス・・・・・33%
・スウェーデン・・30%
・スペイン・・・・22%
・英国・・・・・・15%
・ドイツ・・・・・11%

・日本・・・・・・2.8%(2018)

<原発離脱派>オーストリア・ドイツ・イタリア・デンマーク
<原発推進派>フランス・英国・ポーランド・チェコ

<今後のエネルギーへのスタンス>
◆スペインなどは、脱原発を掲げながら、当面の電力確保には原発が必要との考えだ。
◆スウェーデンは、原発の増設、維持を求める人が77%
◆イタリアは、国民投票で全原発を廃炉にしたが、最近では51%が再開を支持した
◆ベルギーも「100%再生エネルギー」を目標に掲げているが、過渡期には原発は必要との考え
◆米国は、ビルゲイツ氏が原発ベンチャー企業を設立。次世代型のナトリウム冷却高速炉建設を目指す
◆中国は、海南島で多目的小型原発の実証炉建設に着手する
◆ロシアは、世界初の洋上原発船をすでに稼働させた。

このように、世界は温暖化対策上、原発は効果的なエネルギーと知っている。それでも事故の危険性から回避する動きと、当面は必要という維持派に分かれる。

ただし、消極派にしても、再生エヌルギーの安定的確保の目途がつくまでは、原発容認姿勢である。

翻って日本は、東日本大震災の災害による福島第一原発の事故の影響もあってか、たとえ「過渡期であろうが即廃炉にしろ」というヒステリックな動きでしかない。忌避意識は極端である。

世界は今、福島第一原発の教訓から、小型化で安全性の高い原子炉の研究に没頭している。

日本もつい最近、小型化の高温ガス炉(HTTR)を開発した。
①黒鉛のブロックで中性子の速度を落として核分裂を進める
②水蒸気の代わりに熱で膨張したヘリウムガスで発電タービンを回す
③外力に強く、核分裂生成物も被膜の内側に密封される
④事故時、制御棒、水を不要とし、自然に冷温停止する
⑤事故時水を必要としないので、山の中、砂漠でも建設できる
⑥炉心溶融などの過酷事故には至らない高度の安全性

人類は、手痛い経験をしながらもへこたれず、新たな技術を開発してきた。原発は事故を想定すれば100%安全とは言えない。本来あるべき理想は確かに、自然エネルギーであろう。しかし、地球上には原子力が開発された以上、危険だからといって地球上から一気に消せるものではない。また、つくるなと言っても作る国がある。

さらに兵器として今も、原爆で脅しをかける国がある。それらの国への抑止力を保持す意味でも、原発の技術開発はやめるわけにはいかない。

人類が開発した革新的技術に苦しめられる不条理を思わざるを得ない。

しかし、現実である。今後、原発に代わる無害の最強エネルギーなど開発されるであろうか。ジイなどは昭和の穏やかな生活を思い、ゆったりいこうじゃないか、と思うが世界はそうはいかない。

そこでジジイも考えた。強烈な光を放つ太陽と、地球のど真ん中にあるマグマを利用することだ。

そのどちらも今は太陽は⇒太陽光発電、マグマは⇒地熱発電、だが太陽光はシリコン半導体をつかったものだ。たとえば、子供のときレンズで光を集め黒い紙があっという間に燃え上がったのに驚いたが、そんな方法でエネルギーを凝縮する方法はないのかと考えたりする。研究者はそんなこととっくに考えているだろうなあ~。

いつか、原発に優る理想のエネルギーができるだろうか。
一般人が宇宙へ行ける時代だ。期待したい。

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