4年に1度の熱狂

オリンピック,スポーツ,世界,日本,雑記

Vol.3.02.17-765   4年に1度の熱狂
2022.02.17

オリンピックには確かに魔物が棲んでいる。

4年に1度という絶妙に仕組まれたアスリートの祭典は、彼らの熱狂ドラマだけでなく、IOC、開催国、参加国家のメンツにかけての闘いも潜んでいる。

ドーピングで国家をボイコットされたロシアは2022の12月まではROC表記でしか出場できない。それでも恥を忍んでオリンピックに選手を送るには国威発揚と罪のないアスリートの夢の舞台を奪うわけにはいかないからである。

そのロシアが、まだ幼い15歳の少女を金メダリストにするためにまたもやドーピングに手を染めた。

何という残酷な国であろうか。容姿端麗で高い技術も保持する彼女にドーピングンなどする必要などなかった。彼女に負わせた傷は生涯消えないであろう。

オリンピックは魔物である。

我が日本が誇るあの羽生結弦選手でさえ、「この舞台だからこそケガを押してまで出場を決めた」と記者会見で明かした。

それがオリンピックである。

金メダルはとれなかったが、ケガをした自分に懸命なサポートをしてくれて、そんな状態の中で4回転アクセルに挑戦できたことは最高だったし、転倒したが自分の中では最高の演技だったと振り返った。

しかし、思ったより点数が伸びなかった。平野歩夢(スノボ)の2回目の演技での得点での怒りではないが、同じ思いが羽生の心の中にはあったのではないか。

完璧なサポートに、最高の演技で応えた羽生。その演技に下された思いもよらない低い採点。「これでは羽生結弦のスケートを終わらせることができない」と心の中で誓ったに違いない。その思いから将来の展望を明確にしなかったのではと推測する。

ドラマはそれだけではない。
こんな残酷なことがあるだろうか。

ジャンプ団体混交に出場した高梨沙羅だ。

個人戦で惜しくもメダルに届かなかったその悔しさを晴らすかのような大ジャンプを見せた。やっとできた大飛躍! “ やったー ” 心の中で叫んだことだろう。“ 一矢を報いた ” ほっとして満面の笑みを見せた。

よし!3位とは大差をつけた。そう思った直後である。飛躍後に行われた検査で「スーツの規定違反?」が判明。太ももまわりが規定より2cm大きかったというのだ。

“ えっ?失格?? ” 天国から地獄とはこのことだ。高梨は泣き崩れた。誰かが抱きかかえた。号泣する高梨を支える選手、映し出される映像に “ あの選手は誰 ” 衝撃の映像は一気に拡散した。高梨は一瞬にして悲劇のヒロインとなってしまった。

〈皆様を深く失望させる結果となってしまった事、誠に申し訳ありませんでした。私の失格のせいで皆んなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。(中略)それ程大変なことをしてしまった事深く反省しております〉

こんな反省文を書かせる残酷さがオリンピックにはあるのだ。

15日に行われたスピードスケート女子団体パシュート、連覇を狙った日本トリオにも悲劇は襲った。

4年前の平昌五輪金メダルの高木美帆、佐藤綾乃、高木菜那のトリオで臨んだ日本は、あと60mで金メダルが見えた最終コーナーだった。誰もが「金」を予感し手に汗握ったその瞬間である。最後尾の高木菜那が突然転倒。えっ!何?・・・信じられないようなことことが起きたその瞬間2連覇は消えた。

高木菜那は号泣である。「かける言葉が見つからなくて、、、そばにいることしかできなかった」こんな残酷なことがあるのか。

平野歩夢の怒りの金メダルもあるが、残酷極まりないシーンもオリンピックにはある。

舞台が大きければ、大きいほど、熱狂と残酷は共存せざるを得ない。歓喜の裏に同じ数だけの悲劇が生まれる。

筋書きのないドラマは、予期せぬ偶然も劇的な興奮も残酷な悲劇も容赦なく描き出す。

ああ、、オリンピック、歓喜、号泣、怒り、失望、夢、あらゆる感情のクライマックスを見せてくれる。

まさに4年に1度 “ 最高難度の祭典 ” もあと4日で幕を閉じる。

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