説諭に託す改悛の情

Vol.3-3.6-782  説諭に託す改悛の情
2022.03.06

3月4日の産経新聞・産経抄に説諭の話があった。

コラムには、裁判官が判決を言い渡した後、被告人の少年2人に、「さだまさしの『償い』という歌を聴いたことがあるだろうか」と問いかけたことが紹介されていた。

裁判官が判決を言い渡した後、被告人に対して行いを改めるよう諭すのがいわゆる「説諭」である。

2002年2月19日、東京地裁 山室惠裁判長は、東京・三軒茶屋駅で男性に対して殴る蹴るの暴行を加え、頭部打撲により相手を死亡させ、傷害致死容疑で起訴された18才の少年2人に対して裁判長は。

『唐突だが、君たちはさだまさしの『償い』という唄を聞いたことがあるだろうか。この唄のせめて歌詞だけでも読めば、なぜ君たちの反省の弁が、人の心を打たないかわかるだろう』と諭したのである。

さだまさしの『償い』は、やさしくまじめな “ ゆうちゃん ” が、ある日突然、交通事故の加害者となり、自分の犯した罪を償うために被害者の妻に毎月、働いたお金を送るという実話が基になっている。

ジイは不勉強でこの歌を知らなかった。

司法ジャーナリストの長嶺超輝さんは
「人ひとりの命を奪ってしまったことに対し、加害者の少年たちは『申し訳なく思います』『反省しています』『深くお詫びします』などの謝罪の言葉を述べたものの、態度は淡々としており、事の重大さを正面から受け止めているとは言い難いものでした。そのため、裁判長は『償い』を口にしたのだと思います」と語る。

裁判官が具体的な曲名を挙げる説諭は異例で、新聞やテレビでも大きく取り上げられたというが、ジイは思い出せない。

長嶺さんの話によれば、
「判決の翌日、東京拘置所にいる加害者の1人の少年の元に叔母から、歌詞を書き写した手紙が届き、少年たちは控訴することなく、実刑判決が確定た」という。

もう一つは現役判事の事件である。
SNSへの投稿で殺人事件の遺族を傷つけたなどとして訴追された岡口基一・仙台高裁判事の弾劾裁判が始まった。

この事件は最近のことなのでよく覚えている。

東京高裁がウェブサイトに誤って載せた殺人事件の判決文を引用し、自身のツイッターに「首を絞められて苦しむ女性に性的興奮を覚える性癖を持った男」「そんな男に無残にも殺されてしまった17歳の女性」と投稿。その後も遺族を誹謗する発信を続けるという、判事としてあるまじき行為を繰り返した男である。

自身とみられる半裸画像も投稿していたというから言う言葉もない。

裁判では、「深くおわび申し上げたい」と述べたが、遺族の心に届くような言い方ではなかったようだ。

弾劾裁判は裁判官役を国会議員14人が務める、ということを初めて知った。

審理は公開で行われ、関わった議員のうち3分の2以上が辞めさせることに賛成すれば裁判官の職だけでなく、法曹資格も失わせる。判決はその場で確定し、退職金も出ないということだ。

その岡口判事を守ろうという大学教授が80名近くいて、さらに弁護士他多数賛同者がいるというから驚く。

この2つの事件の被告人に共通するのは、謝罪の言葉は形だけ、改悛の情がまったく見られないことだ。

遺族にはわかるのだ。心からのお詫びであるか、言葉だけの詫びなのか。まさしく、山室惠裁判長ではないが、償うという気持ちの在り方に彼らは向き合っていないのである。

昨日初めて、さだまさしの「償い」を聴いた。心を揺さぶられた。

~ 償い ~ さだまさし

月末になるとゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑ってもゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

僕だけが知っているのだ彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった彼はその日とても疲れてた

人殺しあんたを許さないと彼をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣き乍ら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった

それから彼は人が変わった何もかも
忘れて働いて働いて
償いきれるはずもないがせめてもと
毎月あの人に仕送りをしている

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣き乍ら走り込んで来た
しゃくりあげ乍ら彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えてようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

「ありがとうあなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました
だからどうぞ送金はやめて下さいあなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのですあなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」

手紙の中身はどうでもよかったそれよりも
償いきれるはずもないあの人から
返事が来たのがありがたくてありがたくて
ありがたくて ありがたくて ありがたくて

神様って思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの
やさしい人を許してくれてありがとう

人間って哀しいねだってみんなやさしい
それが傷つけあってかばいあって
何だかもらい泣きの涙がとまらなくて
とまらなくて とまらなくて とまらなくて

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日本,雑記

Posted by 秀木石