命がけ

世界,日本,雑記

Vol.3-3.16-792   命がけ
2022.03.16

私たちは、“ 命がけだね ” っていう言い方をする時がある。それは、捨て身や、死に物狂いで頑張る比喩として使う。しかし、今、ウクライナでは何かを為そうとすればまさに “ 命がけ ” なのである。

ブルームバーグが伝えたニュースにはびっくりした。一瞬、何かふざけているのかと思った。

『ロシアで14日、国営テレビ「チャンネル1」のスタジオからの生放送中、ウクライナ侵攻に反対する女性が映り込む出来事があった。 女性は、ニュースを読み上げるキャスターの背後で、ロシア語と英語で「戦争反対。戦争をやめろ。プロパガンダを信じるな。この人たちはあなたにうそをついている」と書いたプラカードを掲げ、「戦争やめろ。戦争反対」と叫んだ。 テレビ局が放送画面を切り替えるまで、この様子は数秒間放送された。 ロシアの反体制派ナワリヌイ氏の広報担当者はツイッターで女性の行動を称賛し、ニュース番組に映り込んだ動画を投稿すると、すぐに再生回数が260超えた。』

『人権団体などによると、反戦を訴えた女性はチャンネル1の従業員で、その後拘束され、モスクワの警察署に連れていかれたという。』

『第1チャンネルはロシア政府が支援しており、1億4000万人余りのロシア国民にウクライナでの戦争に関してプーチン大統領がメッセージを伝える主な手段の1つ』とニュースは伝えている。
 
この突然のパフォーマンスに日本の視聴者は、彼女が死を覚悟した果敢な行動であったとことを直感したであろうか。プーチン率いるロシアでタダで済まされるはずはない。

世界には命の危険を顧みず、不正に対して毅然と立ち向かう人たちがいるのだ。

しかし冷静に考えると、乱入時すぐにキャスターは気がつくはずである。それを何も起きてないかのようにニュースを読む。彼女たちも無言の支援をしていたのではと推測する。

平穏で平和に慣れきった日本人にはこの度のウクライナで起きている出来事に、大変な事態だと認識はしつつも、どこか他人事の域から出ていないのではないか。

日本の場合、何かといえば、まず「命を第一に」という発言が口をつく。そう言わなければ人権派から「総バッシング」を受けるからだ。

今回のウクライナのニュース映像を見る限り、大統領を始め、口から出てくる言葉に「命を大切に」という言葉など一度も聞いたことがない。

ゼレンスキー大統領が発した言葉は

◆「私たちは、絶対あきらめない」
◆「自由のために戦う」
◆「国土や自由が奪われようとすれば防衛する」
◆「我々は、自由のために戦い続けます。たとえ、子どもたちがシェルターの中で生まれても」
◆「自由は常に専制に勝利する」
◆「我々は、欧州の理想のために死んでいく」
◆「生きて会えるのはこれが最後かもしれない」
◆必要なのは乗り物(脱出手段)ではなく、弾薬だ
◆「我々はここにいる。国を守る」
◆武器を捨てることはない。我々の土地、国、子どもたちを守る

<全ロシア人へ宛てた大統領のメッセージは>
★プーチン大統領と話をしようとしたが返答がなかった。誰がこの戦争を止められるか? あなたたちだ
★攻撃はウクライナ市民を解放するためと言われているかもしれないが、ウクライナ市民は元々自由だ
★あなたたちは何のために、誰と戦うのか?
★あなたたちは、もし戦うのならば、何のために戦うのか
★我々は平和を望んでいる。戦争は不要だとよく分かっている。しかし、もしロシアが攻め込めば、我々の国を、自由を、命を、子どもたちの命まで取り上げようとする。我々は自分たちで守る。

大統領の言葉に1ミリのブレもない。これぞまさしく危機に立ち向かうリーダーそのものだ。

ゼレンスキー大統領の支持率は20%台だったのが戦争後90%超えた。

そして多くの人々の心を揺さぶった結果、

第2次大戦での加害への反省から紛争地域への兵器輸出を避けてきたドイツやスウェーデン、フィンランドなどはウクライナに兵器を供与することを決めた。永世中立国のスイスもロシアのプーチン大統領やラブロフ外相の資産凍結を含む制裁措置を決めた。600万人もの避難民が想定される周辺国も人道支援を発表した。

命懸けの結果である。

今回のウクライナ危機、我々日本も他人ごとではない。この戦時に11日、ロシア海軍の艦艇10隻が津軽海峡を通過している。

狂気のプーチンを考えると、不法占拠の北方領土からいつ上陸という危機が来ないとも限らない。ウクライナを真剣に考えることは、平和ボケから目覚めるチャンスである

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