世界秩序の崩壊

世界,日本,雑記

Vol.3-3.22-798    世界秩序の崩壊
2022.03.22

世界秩序は崩壊した。

崩壊という言い方は正確ではない。もともとイデオロギーの違う国が表面上いくら繕っていても、目ざす国家像、世界観に相違があれば、いつか表面化せざるを得ないことは分かりきっていたことだ。

国連は、米ソが軍事力において均衡し緊張状態を保っていた時はそれなりに国連が緩衝地帯となり機能していた。

今回、はからずもプーチンという独裁者個人の国家野望の暴発により、その秩序の脆弱さを露呈した。機能すべき国連はあまりにも無力、無惨な姿をさらけ出した。

国連は、第二次世界大戦の戦勝国により主導された組織であることは誰もが認めるところである。その目的は「国際の平和と安全を維持する」目的で創設されたものだ。

しかし、国連の決議事項に、戦勝国から選出された常任理事国5か国(米国、ロシア、中国、フランス、イギリス)の全員一致を条件とした。すなわち、付加された拒否権のおかげで1国でも反対すれば決定されないとう不条理がある。

国家危機を前に重大な決定がされようとする時、考え方の土台が違う者同士、ルールが正常に機能するわけがない。独裁国家と自由民主主義が同じ土俵で同じ結論が導かれるなどありえない。

世界は、戦後の混乱期に十分な議論がないまま、当面の国際社会の安定と平和を維持する形作りが必要だったのだろう。

国連には大きな6つの機能を有しているが、ウクライナ戦争は多くの矛盾、不条理、限界を露呈した。今まさに、平和と安全を掲げた国連がその危機に面し在り方そのものが問われている。

誰もが認識している。東西冷戦時代、緊張はあったが力の均衡の中にバランスを保っていた。ソ連の崩壊はヨーロッパ小国の独立を促し、民主化を促進したことは良かった。しかし、緊張の1角が崩れてから中国の台頭を誘発し今日の混沌に発展していった。

世界の自由主義陣営は、米国1強となり世界の警察の役割を自覚し世界の安定へ覚悟を持ってくれればよかった。しかし、オバマ大統領は世界の警察的役割を放棄した。

その発言は、台頭する中国と、再度ソ連の夢をもう一度とするプーチンが、覇権への野望を抱いたとしても不思議はない。

2022年、国連は77年を迎える。世界196カ国の内193カ国が加盟している。ほとんどの国が加盟国である。

解体するにはもったいない。しかし6つの主要機関があるが、機能しない機関が2つある。

その一つが「安全保障理事会」である。
常任理事国(米国、ロシア、中国、フランス、イギリス)に付加された拒否権のおかげで、ロシアの不法侵略の非難決議一つ決められない。

もう一つが「国際司法裁判所」だ。

国際司法裁判所は、国際法に基づく裁判で国家間の紛 争を平和的に解決することを任務として、国連で 選ばれた15名の独立・公平な裁判官により構成されている。しかし強制力はまったくない。

近年ではフィリピンが提訴し中国の南シナ海における力による現状変更に国際司法が断罪を下した。しかし、「こんな紙切れ」といって破り捨てたように。全く名ばかりで何の力にもならない。この組織も不要である。

独裁国家ロシア、中国に対して発しても何の効力もない。この2国は馬耳東風、全く聞く耳をもたない。強制力を持たないものを他の国だけに強制力を発揮するわけにはいかない。つまり機能しない機関なのである。返って逆効果、誰も従わないなら、司法裁判所などとせず、『悪業・悪徳国家任定機関』とした方がよほどよい。認定して詳細を世界に広報するだけである。そのことによって取引も敬遠するようになれば一定の制裁効果はある。

国家間の紛争は当時、最終手段として戦争もあった。今もある。但し、戦争法でお互いルールを決めて、戦った。それが、戦争法といわれるものだ。

その戦時国際法が改定・拡張され、今日に至っているが。交戦者の定義や、宣戦布告、戦闘員・非戦闘員の定義、捕虜・傷病者の扱い、使用してはならない戦術、降服・休戦などが規定されている。しかしロシアはそれさえ無視。

この期に及んで、世界が改めて気づいた紛争の抑止力とは、最強の兵器と最強の軍隊というシンプルで残酷な現実である。

もし、ウクライナがNATOに加盟していれば、ロシアは攻めてこなかったのは明らかである。相手はアメリカを含む29ヵ国との戦いを前提としなければならない。それも核保有国が3ヵ国もいるのである。

かつて最強の国が東西に君臨し、均衡が保たれている時は世界にニラミが効いた。しかし、その一方が崩壊、もう一方も世界の警察の役割を放棄した時、頼りは、国連に託された。

その国連が無法者に無力を露呈した。世はシンプルな原理に戻った。腕力の強きものがすべてを支配する。その独裁者が地球上の総意で作ったルールさえ無視するとすれば、世界はカオスと化す以外にない。

国連にイデオロギーを超える力はない。イデオロギーの違う中国や、ロシアに9条を売り込めば世界は平和になると思い込むのと同じように、ナンセンス極まりないことだ。

ベラルーシのように親ロシア国家は別として、民主主義を標榜する小国家はNATOという軍事同盟に入ってこそ防衛が果たせるのである。

自由主義陣営は国防に関して、NATOの世界版を創設し、「国際自由主義軍」という国連軍に代わるものを創設する必要がある。中国、ロシア、北朝鮮、などの独裁国家と対峙できる、NATOをさらに大きくした軍事同盟を創設するのが一番いい。

アメリカ、ソ連の冷戦時代を現代に置き換えた、地球全体を仕切る「自由民主国家」と「独裁国家」枠組みである。

紛争はこの2つのグループによる話し合いで決着をする。2つが激突になれば当然核戦争になり地球は汚染され人類滅亡となる。それが、抑止力となり最後の一歩を踏み止ませるのである。

であれば、「核兵器禁止条約」の進展も見られるかもしれない。

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