真の平和とは

世界,日本,雑記

Vol.3-3.30-806     真の平和とは

2022.03.30

戦後75年、戦争を理解できる年齢を仮に終戦当時15歳とすれば、今の年齢で90歳になる。

世界最高齢国になった日本、90歳以上が200万人、内男性が50万人だ。後、10年もすれば日本人から戦争体験者はなくなる。

戦争を知らない国になることは実に喜ばしいことだ。しかし、今、政治を担い日本を導く指導層はすでに戦後生まれ、誰も戦争を語れる人間はいない。

戦後の平和憲法と言われる9条を守護神のように崇め奉ってきた人間ばかりになった。

二言目には『平和を』と口にし、何よりも『命が大事』と、戦争とはよほど無縁の国がこの2つを呪文のように唱える。

ウクライナに侵略し、「特別軍事作戦」という自国に都合の良い理由で無差別に攻撃するロシア・プーチンの悪行は戦争ではなく、「ジェノサイド」という国家虐殺行為である。

幸いにも、ウクライナのゼレンスキー大統領の強いリーダーシップで何とか持ちこたえているが、民間人を含めた犠牲者は夥しい数に上る。

しかし今も、大統領の下、全国民の結束は固く「決して諦めない」という強い意志に貫かれている。

戦後75年、平和と自由の中で何不自由なく過ごしてきた日本人が、「命が何より大事」などという発言を軽々に出来るものではない。

道徳人ぶった有名人が、頭で論理立てた平和主義を振りかざし、まるで教科書のように「平和と人命第一主義」を語ったところで、過酷な歴史を生き抜いてきたウクライナ人にとってみれば、平和ボケのたわごとにしか聞こえず、耳障り以外の何物でもないだろう。

国を奪われ、自国の言葉を奪われ、言いたいことも言えず、やりたいことも出来ず、民族の尊厳を奪われた生活を強いられたことがあるのですか?と問われた時、私たち日本人は答える術を持たない。

本当に欲しい言葉は、「できる援助は何でもする。決して負けるな!」という、強いメッセージである。

確かに、日本も敗戦後、占領されたことはある。発言の自由を奪われ過去の歴史の修正を余儀なくされた。しかし、それも7年で全てが解放された。今も呪縛が解けないのは日本人自ら洗脳を解こうとしないだけだ、自虐史観という衣を脱ぎ去ることさえできないでいる。

ウクライナの歴史は厳しい。近代以前のウクライナは侵略、分割、支配下に置かれた厳しい時代を経て、1917年のロシア革命を機にウクライナはかろうじて独立を宣言をする。しかしすぐに内戦状態に陥った。その後もウクライナ・ソビエト戦争、1918年からはポーランド・ソビエト戦争に巻き込まれ主戦場となったのはウクライナ地方である。

その後もウクライナ国内での分割、併合、内戦を繰り返す中。ロシア共産主義の圧力を受けついに独立できず、ソビエト連邦に組み入れられる。

1941年ナチス・ドイツとソ連が開戦。スターリンの恐怖政治におびえていたウクライナ、一時的に解放への期待が高まった。しかし、ウクライナ人の警察部隊が結成され、独ソ戦では、ウクライナも激戦地となり500万以上の死者を出してしまった。彼らの目的であるウクライナの政治的・文化的独立は、ソ連・ドイツの弾圧もあり、またもやはかなく消えてしまった。

それどころか、ウクライナ人は「劣等人種」とみなされ数百万の人々が、「東方労働者」としてドイツへ送られて強制労働に従事させられるという、まるで日本のシベリア抑留と同じ過酷を味わっている。

ウクライナは第二次世界大戦において最も激しい戦場になった。ここでもソ連政府はこの地域の戦線を「ウクライナ戦線」と命名し、ウクライナ人を前線へ投入した。

1991年8月ソ連の崩壊によりようやくウクライナは独立したが、あまりにも長い長い過酷な国の歴史である。

しかし、その後もロシアの軍事圧力は終わらず、2014年クリミアを奪われたのはつい8年前のことだ。ロシアの侵略の手はやむことなく、ウクライナのNATO加盟はロシアの安全保障の脅威と位置づけ、さらにウクライナ東部でのロシア人虐殺というありもしない理由をでっち上げ、プーチンは突如侵略を始めた戦争が今のウクライナ戦争である。

この歴史を見る限り、果たしてウクライナに平和の時代があったのかと思ってしまう。

日本が経験した江戸270年の平和、戦後75年に及ぶ平和、何という幸せな日本であろうか。このウクライナの壮絶な歴史、今も国家主権と独立、自由を守るため、明日の命を顧みず戦う人間に日本人は何を言えるのか。

何が「平和だ、人命第一だ」。彼らにとっては「おとぎの国のたわごと」にしか聞こえないだろう。

ゼレンスキー大統領とウクライナ国民には長い苦難の歴史の血が脈々と流れているのである。日本の国会演説に子供に語りかけるように気を使って優しくした。それを、なめてかかって足を投げ出し、あくびをする外務大臣。もう子供以下である。

大統領に命を惜しむ気持ちなどさらさらない。

ウクライナを理解するとすれば、己の心を真っ白にして、相手の歴史に寄り添い、ただ黙してウクライナ人の言葉に耳を傾けることである。、、、そして、「決して諦めるな」と物資両面の支援を約し、“ ウクライナの尊厳を共に守る ” ことこそ、ウクライナが目指す「真の平和」を勝ち取ることになるのではないか。

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