日米同盟で平和は守れない

世界,日本,雑記

Vol.3-4.18-825    日米同盟で平和は守れない

2022.04.18

いつも気になる論説やコラムを提供してくれるイスラム思想研究者・飯山陽(あかり)氏にが産経新聞に寄稿した「ウクライナと日本」が非常に参考になった。

寄稿文は
「ロシアによるウクライナ侵攻前、そんなことはありえないと主張する識者もすくなくなかった。」

「ウクライナ侵攻後の今も、日本の平和は日米同盟があるから大丈夫だと思い込んでいる多いのではないか」

といい、思い込みは有害であると最初に指摘した。

その寄稿文の要約を紹介する。

「日米安全保障条約に基づく日米安全保障体制は、我が国自身の防衛体制とあいまって、我が国安全保障の基軸である」(2018年「防衛計画の大綱」)。

しかし、安保条約は「約束」だ。日米両国は書かれた文言を共有していても常に認識を共有しているとは限らないし、有事の際にその約束がどの程度履行されるかという具体像は今も、そして将来にわたっても、「その時」がくるまで誰にもわからない。

日米同盟は盤石であると信じたいが、大統領も政界情勢も大きく変わった。

そして残念ながら、米国は常に同盟国の期待に応えるわけではないという厳しい現実を我々は今、中東に見ることができる。

というのだ。

《 中東を裏切った米国 》

長年米国と同盟関係にある「イスラエル・サウジアラビア・UAE」といった中東諸国は近年、彼らにとって脅威であるイランとの核合意再建を優先させている。

イランは反米国家である。その直接的攻撃対象は米同盟国である。イスラエルを攻撃し続けるヒズボラやハマス、サウジやUAEを毎日のように攻撃するフーシ派は、いずれも、資金や武器をイランから得ている。

米国はこれらの攻撃を非難しイランの関与も認めているのに、その一方で対イラン宥和政策を進めているのだ。

う~ん、これじゃ中東諸国は米国の裏切り行為と見るだろう。

米国はイランを閉じ込めて核武装させないための「箱」として15年、イラン核合意を締結した。しかし、核合意は、実際はイランを閉じ込める役割を果たさなかった。

今また核合意再建に躍起になるバイデン政権に中東諸国は裏切り者と映っている。

というのだ。

そう言えば、今回のウクライナ戦争で石油増産をサウジとUAEに働きかけた。だが、両国とも十分な余剰生産能力があるにもかかわらず応じなかった。なるほどそうか、同盟関係は相互主義的であるべきだという認識、それに米国に対する不満があったのだ。

「対イラン宥和を優先し、両国の安全保障を疎かにする米国の要請に応じる必要はないという」憤る気持ちは十分理解できる。

しかし、イスラエル、サウジ、UAEの安全保障はいずれも、米国との同盟関係なしには成立しない。だが、それはイランの脅威を退け自国の安全保障を確かなものとするには不十分だ。ゆえに彼らはロシアや中国を含むあらゆる国との協調をすすめる全方位外交を展開する。

ロシアのウクライナ侵攻、ロシアは国連憲章も、ブダペスト覚書という安全保障の約束事をことごとく反故にした。約束は守られるはずだと信じ慢心する者は愚かと映る。

残念ながら、約束では平和は守れない。あの共産党の小池晃氏ですら「9条があれば平和は守れるとは私も思いません」と発言した。

「日米同盟があれば平和は守れる」というのも、「憲法9条を生かした平和外交」に負けず劣らず非現実的な妄想だという現実を、我々は受け入れなければならない。

飯山陽様のご意見おっしゃる通り、そのまま納得するより仕方ない。日米同盟、たしかに重要ではある。だが、かつて「アメリカファースト」とトランプ大統領が叫んだように、いざという時、同盟を結んでいても、自分の国を犠牲にしてまで、他国のために命を捧げることはない。

『日米同盟だけでは日本は守れない』という冷徹な現実を日本は知らなければならない。

ウクライナの命懸けが教えたのだ。

ブログランキング・にほんブログ村へ