対露制裁と日本

世界,日本,雑記

Vol.3-5.5-842   対露制裁と日本

2022.05.05

1週間前、エール大学の調査で、ロシアから撤退、事業縮小した外資企業や団体が約770に上ることを産経新聞が伝えていた。

撤退企業・・・298
事業縮小・・・363
事業継続・・・188

撤退した内
・米国企業・・・117社
・英国企業・・・65社

因みに中国企業の撤退はゼロである。

一方、日本企業は様子見の企業が多く、中でも大手ユニクロ・柳井社長の「事業の継続を表明」には批判が殺到した。恥ずかしいというか悲しい思考である。その直後であったか、フォーブス誌の世界富豪ランキングで柳井社長が日本のトップで君臨していたのにはさもありなんと思った次第だ。

日本の判断の遅れは、組織上の課題があると同志社大の太田肇教授は語る。
日本企業は海外に比べ個人の権限が曖昧で、意思決定も組織的に行われるため判断が遅くなる。

それに加え、セキュリティ会社の和田大樹氏は「戦争や紛争が身近でないこともあり、日本の経営者は地政学リスクへの意識が低い」という。

いずれにしても、これだけの企業がロシアから撤退すれば影響は徐々に出てくるだろう。

野村総合研究所の木内登英氏は「財やサービスの供給減による物価上昇に見舞われる可能性が考えられる」と指摘。英オックスフォード・エコノミクスは約100万人の失業者がでるとの見方を示した。さらにモスクワ市長は20万人が失業する可能性に言及した。

今回のウクライナのように、NATOの軍事支援もなく、挙句の果てアメリカからも早々に軍隊派遣を拒否されては、本来ならロシアの軍事力の前に玉砕である。しかし自由主義陣営からのロシア制裁と兵器支援に望みをかけウクライナは単独で戦ったのである。

その理解があれば、日本のように軍隊さえ持たない国はウクライナの実態は我が身に置き換えて支援しなければならないはずである。その日本の動きが遅いということは、和田氏の指摘のように “ 地政学リスクの低さ ” もあるかもしれないが、「平和ボケ」からくる危機管理態勢の脆弱さである。プラス、金に目のくらんだ「エコノミックアニマル根性」だ。

最近の日本人、伝統的生真面目さを血とするのはいいが、“ 潔い清さ ” も堅持してほしいものだ。

将来、それも近い将来。尖閣諸島に沖縄、あるいはロシアに最も近い北海道に、中国やロシアからの上陸がないとも限らない。中国やロシアが核の使用を躊躇しないとすれば、今回のように同盟国アメリカは集団的自衛権を行使するかどうかは実に疑わしい。

そうなれば、漫画家・やくみつるのように『中国が攻めてきたら手をあげればいい。後は毎日おいしい中華料理を食べていればいい』ということになるのだろうか。そんな人間が増えたのも事実である。

ウクライナ戦争の影響調査も兼ねたのであろう、産経新聞が主要企業119社にアンケートを行った。

その中にはウクライナの影響が中国に伝染、中国事業の見直しが静かに動き出したとある。

<中国事業に対し>昨年末 ⇒ 今春の比較である。

〇これまでよりも積極的に展開したい・・・5社 ⇒ 2社
〇これまで通り・・・78社 ⇒ 70社

中国における警戒感は、台湾有事もあるが、現在も行われている「ゼロコロナ対策」「新疆自治区での強制労働」などの人権リスクもある。

その他の影響は

1、GDP回復予想 ⇒ 年内にコロナ前水準予想が4割
2、価格転嫁について ⇒ 今年中に値上げせざるを得ないが6割
3、サイバー攻撃の被害 ⇒ 33社がサイバー攻撃が増加したと回答
4、原発再稼働について ⇒ 84社の内20社が原発再稼働を急ぐべきと回答
5、コロナ行動制限は ⇒ 制限の見直しはほぼ半数が要望

以上のように日本も世界と同様、コロナと戦争のダブルパンチを受けている。

原因の根源であるウクライナ戦争の終息はまったく見えない。すでに2ヶ月と10日である。この期に及んでもゼレンスキー大統領と国民の戦う意志はまったく揺るがない。その強固な精神には敬服するしかない。

日本としては、微力ではあるがロシア制裁に注力しながらも終息に向け何かできないか、積極的関与を模索しなければならない。

早期終結を祈りながら、復興の時こそ迅速に対応できる準備も怠ってはならない。

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