歓喜なき戦勝記念

Vol.3-5.11-848   歓喜なき戦勝記念

2022.05.11

ウクライナでの戦勝記念を高らかに謳いながら、第二次世界大戦での対ドイツ戦勝記念を同時に祝いたかったであろう。

プーチンに笑顔は見られなかった。心中は察するに余りある。悔し涙で溢れんばかりであったであろう。

本来ならウクライナ戦線に投入されている主力戦車「T80」の参加、および、空中指揮機「イリューシン80」の観閲飛行、さらには侵攻支持の象徴となっている「Z」字型ミグ29戦闘機が空中に描く編隊飛行の実施も見送られた。

理由は悪天候ばかりではない。戦車不足、ウクライナ戦線の苦戦。派手に祝うにはあまりにも惨めな侵略結果がプーチンの心を打ち砕いたのは想像に難くない。

演説は、ただひたすら自己の正当化に苦心した。

1、ウクライナ侵攻は、ネオナチがロシア攻撃を準備していたため「先制的反撃」で、唯一正しい決定だった。

2、NATOのウクライナ支援により、「ロシアは決して容認できない脅威」が生じていた。

3、ロシア軍はドンバス地域の国民と安全保障のために戦っている。

4、欧米側はロシアが提案した相互安全保障を拒否した

目新しいものは何もなく、ウクライナ侵攻を77年前のナチス打倒と同列視し、国民の結束を訴えるよりなかった。

それもそのはず、ロシアがウクライナで失った兵器と死者数である。

<失った兵器の数>

◆戦 車・・・ロシア⇒ 635 ウクライナ⇒ 154
◆装甲戦闘車・・・ロシア⇒ 342 ウクライナ⇒ 89
◆自走砲・・・ロシア⇒ 106 ウクライナ⇒ 29
◆地対空ミサイルシステム・・・ロシア⇒ 58 ウクライナ⇒ 43
◆戦闘機などの航空機・・・ロシア⇒ 26 ウクライナ⇒ 20
◆ヘリコプター・・・ロシア⇒ 41 ウクライナ⇒ 5
◆艦 艇・・・ロシア⇒ 9 ウクライナ⇒ 17

<ロシア死者数>

◇ウクライナ侵攻 ⇒ 1,5000人
(参考:第二次チェチェン紛争⇒14,000人 第一次チェチェン紛争⇒6,000人 アフガニスタン侵攻⇒14,453人)

結果をみれば、ウクライナ侵攻の長期化がいかにロシアを苦しめているかが分かる。全ての面でウクライナを上回った被害。

戦争が長期化すればするほど、経済制裁が効いてくる。ロシアの軍需産業は制裁で部品の調達がすでに滞っている。

ロシア産石油の輸入の禁止に慎重だった岸田首相も追い打ちをかけるように、ついに原則禁止すると発表した。

脱走兵がいるロシア軍と違い、ウクライナ軍の意気は一向に衰える気配はない。戦争の長期化は精神面でもウクライナに有利に動くであろう。

ただ、プーチンは謝罪と賠償問題がちらつく戦争終結を受け入れるとは思えない。どこまでも勝利宣言での終戦を模索するであろう。心配はどうにもこうにも勝利が見えないと判断した時に、核兵器を使う可能性が捨てきれないことだ。

実に落としどころが難しくなった。“ 窮鼠猫を噛む ” とは逆で猫の発狂が心配である。

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Posted by 秀木石