日米新時代の幕開け

世界,日本,雑記

Vol.3-5.25-862    日米新時代の幕開け

2022.05.25

バイデン大統領が就任以来初めての日本訪問である。

就任して1年4か月、今回初めて日本を訪問する最大の狙いとは、

ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が続く中で、中国を中心としたインド太平洋地域へ引き続き関与を明確に示すことによる、地域の安定化と中国包囲網の確立である。

今回は、日本よりも韓国を先に訪問した。ギクシャクする日韓関係を念頭に、未成熟な韓国の国情を考慮したのではないか。

アジア歴訪は日韓だけではない。クワッドの開催、IPEF(洋経済枠組み)の立ち上げと一気に日本集中的開催である。

今回の、アメリカ主導で発足する東南アジア13ヵ国を含むIPEF(洋経済枠組み)の立上げ表明は、中国の一対一路で債務地獄に陥る東南アジア諸国の救済と、自由主義陣営への取り込みである。

ただ、この盛りだくさんの会議や表明を日本で開催する深謀遠慮である。

アジアのリーダーとしての位置づけである。日本も防衛費の増額を決断した。憲法改正も前向きになってきた。信用できるアジアの国は日本である。これからはアメリカの保護国ではなく、両輪の一角を担ってもらおうという深謀である。

今回は敢えて中国には訪問せず、かつ中国の隣の日本でアメリカ大統領、インド、豪州、4首脳が集まって「自由で開かれたインド太平洋」の話をするのも中国牽制だ。

とりわけ、岸田首相と共同記者会見の場で、特段のサービスか? “ YES ” は大きかった。

「中国が台湾に侵攻した際に米国が台湾防衛に軍事的に関与するかと問われ、「YES。それが我々の誓約だ」と答えた。このインパクトのある “ YES ” は日本はもとより、中国にも大きな衝撃を与えた。

日本にとってはこの一言だけでも大統領が来た意義があった。

歴代の米政権は中国が台湾に侵攻した際、米国が台湾を防衛する意思があるかどうかを明らかにしない「あいまい戦略」を取ってきた。バイデン氏の「台湾防衛」の意思を明確に示したこの発言は、歴代米政権の「あいまい戦略」を踏み越えたとの評価がある。

自民党の佐藤正久・外交部会長は「最高の失言をされた。これまでの台湾に対する曖昧戦略から一線を越えた」と歓迎した。

さらに、佐藤氏はまた、「バイデン氏がここまで発言をした以上、日本自らが外交力、防衛力を車の両輪としてさらに強化することが極めて大事であり、われわれ政治家も覚悟が求められている」と語った。

多くの日本国民もテレビでこの「イエス」を聞いたことであろう。

この言葉の持つ意味の受け取り方は人それぞれ違うであろうが、ウクライナへの対応とは明らかに違うと理解できるのではないだろうか。ロシア以上に中国を警戒しているということだ。

さらに言えば、台湾有事は同盟国日本も戦争に巻き込まれることを前提に、集団的自衛権発動の前触れであり、今から「台湾有事の際は、日本も覚悟を持って対応するように」との強いメッセージだと認識する。

憲法9条を守ろう!などと国会前で徒党を組んで叫んでいる場合ではない。日本国民全員が、いつ尖閣有事が起ってもおかしくない状況であることを認識しなければならない。

岸田総理がどんな言葉を使って国民に危機を訴えようが、大統領の “ YES ” に優る強いメッセージは出せない。日本政界も強く認識したであろう。

もちろん中国牽制の役割も十分すぎるほど考えられたものであるが、日本への期待である。

岸田首相は23日、東京都内でアメリカのバイデン大統領と会談後、共同記者会見に臨み、バイデン大統領が「改革された国連安保理」において、日本が常任理事国になることを支持するとの表明があったと明らかにした。

ロシアのウクライナ侵略に国連は無力であった。日本は軍事や武器で支援できない代わりに国連改革の先頭に立つことをゼレンスキー大統領に約束している。

日本が常任理事国になってこそ改革もできる。その第一歩を踏み出すきっかけができたことはよかった。

安保・経済の両面で、アジア重視にかじを切ったバイデン大統領にとって、日本は対ロシア・中国・北朝鮮で最前線に立つ同盟国だ。

岸田首相は国会で「あらゆる選択肢を排除せず」と強調した。

外交筋は「脅威は確実にリアルな状態。過去20年間で最も重要な会談だ」と話したように、アメリカは真の同盟国としてただの理解者ではなく日本が牽引車としての役割を期待したのだ。

日米両首脳は、ロシアのウクライナ侵攻に対し、対ロ制裁での結束を確認すると共に、アメリカが、核や通常戦力で日本を守る「拡大抑止」を強化し、日米両国で抑止力と対処力を高めることを確認した。

岸田首相は防衛費の増額を求める自民党の提言を踏まえ、日本の防衛力を抜本的に強化する決意を伝えた。

いよいよ日本はアメリカの保護国ではなく日米が両輪として役割を果たす、日米新時代の幕開けである。

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