中立を装う偽善者
Vol.3-6.2-870 中立を装う偽善者
2022.06.02
ウクライナ戦争、、、当初は、話し合いにも応じないロシアの強引な侵略に、ほとんどの論評は “ 悪者・ロシア ” で一致していた。
ところが、日が経つにつれ、ボツボツと中立論が出始め、今では百花繚乱とまではいかないが、かなりの「中立を装う偽善者」が続々と出現している。
月刊誌Hanada・7月号に「偽善者に騙されるな」と銘打った、飯山陽氏のコラム記事があった。
その要点である。
「2月末にロシアがウクライナに軍事侵攻して以来、「中立を装う偽善者」が続々と出現している。
「世界には様々な価値観があり、人の数だけ正義がある。中立な立場に立てば、どんな問題も『どっちもどっち』という結論に至る。」
「この日本中に広まる『中立はいいこと』という『特殊な価値観』をうまく利用している人たちがいる。・・・映画監督の河瀬直美氏はその代表例である。」
「例えば『ロシア』という国を悪者にすることは簡単である。・・・・・一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?誤解を恐れずに言うと『悪』を存在させることで、私は安心していないだろうか?」
「という河瀬氏の主張は、どっちもどっち論の典型である。正義も善悪も相対化するこの主張は、ロシアに向けられる批判をうやむやにし、結果的にロシアを利する。」
「では、なぜロシアが得するような論点のすり替えをしてはならないのか。」
「それは、ロシアが国際法に違反しているという現実を糊塗する役割を果たすからである。ロシアは世界秩序の維持に努めるべき国連安保理常任理事国でありながら、国際法を犯し主権国家に軍事侵攻した。批判されるべきはロシアのこのルール違反であり、ロシアの正義ではない。ロシアがどんな正義を掲げようとロシアの自由である。ただし、それは、国際法を遵守する限りにおいてである。」
「このルールに違反したロシアを放置することは、武力増強によってではなく国際法遵守によって安全を保持している日本にとって致命的な不利益となる。武力をもつ強者は己の正義のために他者を蹂躙してもいいということになれば、日本はたちまち主権国家としての存立を脅かされ、そして失う」
「(千葉大・酒井啓子教授は)毎日新聞で、
米国のアフガン侵攻とロシアのウクライナ侵攻には『大国が他国に軍事介入し現状変更を試みたという共通点』があるのに、国際社会が前者を善として後者を悪と決めつけているのは二重基準だと批判し、『ロシアにとっては、帝国期からソ連時代に至るロシア文明圏の維持が、あるべき “ 現状 ” なのだと擁護し、『私たち』即ち日本人に『反省しろ』と促した。」
「しかし、アフガン侵攻当時の第一次タリバン政権は国際的に承認されておらず、米国はロシアのように領土拡張を目指したわけでもない。タリバンがアルカイダを匿ったように、ウクライナがロシアで大規模テロを実行し、数千人のロシア人を殺したテロリストを匿ったという事実もない。そこには大きな差異がある。酒井氏の主張は明らかに詭弁だ。」
「中立を装う彼らは善人などではない。巧みに詭弁を弄し人の弱みに付け込むことで、ロシアが侵略戦争を行っているという事実を曖昧にし、ロシアを利する彼らは、日本侵略を狙う隣国をも利する亡国の偽善者なのである。」
と結んでいる。
ジイは、飯山陽氏の意見に同調するものであるが、不思議なのは彼らは、事件が発生した当初は静かなのである。ある程度の時間経過を見計らってやおら出てくるところに共通点がある。
河瀬氏や酒井教授だけではない。放送大学名誉教授・高橋和夫氏や世界的イスラム法学者・中田考氏も「お前だって論法」で日本を責める。皆、反米で一致する。
ジイも自分が正しいと思い込んでいる。意見を異にする上記の者から見れば “ 親米=悪者 ” 扱いにされるのだろう。しかし、「世界秩序を維持すべき国連の常任理事国が国際法を違反して軍事侵攻した」事実。この一点において「悪」としなければ、ロシアの非法文化を容認することになる。
しかし、この単純な論理ですら、ある一定のタイムラグと、巧みな「お前だって論法」という “ ふりかけ “ をかければ “ 魔法 ” に変身してしまう。
ジイのようなナイーブな人間はすぐに騙されてしまう。
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