安倍晋三 凶弾に倒る

世界,日本,雑記

Vol.3-7.9-907  安倍晋三 凶弾に倒る

2022.07.09

元首相・安倍晋三氏が凶弾に倒れた。

2022.9.8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で遊説中の最中、ろくでもない男の手製の拳銃に倒れるという、悔やんでも悔やみきれない最期となった。

映像を見る限り、警備は全く機能していなかった。

地元の警察、警視庁所属のSPもいたことだろう。警備は無きに等しい杜撰なものだった。

警備らしき人間は演説をする安倍元首相と同じ方向を向いている。まるで選挙活動の一人として安倍晋三氏の応援部隊かのような様相である。決して緊張感を持って前後左右に光らせる目はなかった。

犯人がゆっくり安倍元首相に近づく姿が映像で見られる。誰一人その姿に警戒感を示す様子はない。警護の大失態であることは紛れもない事実だ。

世界に通用する唯一無二の存在を無くした。その損失は限りなく大きい。

7年8カ月、彼のやり遂げた仕事は、歴史の節目をつけるに重大な意味を持つものばかりである。

第一次安倍内閣では懸案だった「教育基本法の改正」、「防衛庁の省昇格」を実現。さらに憲法改正の手続きを定めた「国民投票法」の成立をたった1年の間にやり遂げたことは奇跡である。

教育基本法改正で、教育の目標の一つとして愛国心という言葉を盛り込んだ他、義務教育9年の規定や男女共学の項を削除した。内閣府直属の「教育再生会議」を立ち上げ、2007年6月には教員免許更新制を導入し、教育の再生に力を入れたことは特筆すべきことである。

一度は病気で退陣を余儀なくされたが、再登板後の安倍政権は画期的な政権となった。

「積極的平和主義」を標榜し、これまでの憲法解釈を変更。集団的自衛権の一部行使を容認する「安全保障関連法」を成立させた。

「経済政策『アベノミクス』を進めながら、日米関係を基軸とした外交や安全保障政策で成果を重ね、積極的に日本と世界を牽引した。米国がTPPを脱退する中、世界を主導し立派に形にしてみせたのもその表れであった。

その後も、戦後政策の大転換とされた「集団的自衛権」の行使を可能とした「安全保障法制」や「特定秘密保護法」「テロ等準備罪」(いわゆる「共謀罪」)など法律を次々と成立させた。

中国の覇権主義を牽制する意味で、「クワッド」や「自由で開かれたインド太平洋構想」など、先見をもって国際社会に認識させたのも大きな功績である。

政権を長く維持したことにより、国際社会での信用も高まり、世界からも安倍晋三への期待は大きくなった。戦後政治において稀な事である。米トランプ大統領が強い信頼を置いたのはいい例だ。G7の会合においても議論を主導することも多々あった。

安倍氏は第一次安倍内閣から、戦後レジームからの脱却を一貫して主張、不安定さを増す極東状況において、国防のあるべき姿を常に強く問い続けた。

憲法改正への強い意欲は消えることなく、総理の座を退いてからも積極的に政治に関与し続けたのは、日本を戦後レジームからの脱却を自らの政治信条とし、首相退陣後もその意志に一分の陰りもなく成し遂げようとしたからに他ならない。

世界からも期待され影響力を持ち続けた稀有な政治家である。

安倍氏は67歳。米バイデン大統領とは一回りも違う。ジイは密かに三度目の登板を期待していた。

真の保守政治家であった。政治家の死で初めて涙した。まだご冥福を祈るという心境にはなれない。

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