中国・国内暴動の危険

世界,日本,雑記

Vol.3-7.22-920  中国・国内暴動の危険

2022.07.22

最近の中国がどうもおかしい。

テレビニュースで流れていたのは、建設中の分譲高層マンションが立ち並ぶ街だ。そのマンションを建設をしている業者の資金繰りが苦しく、建設がストップしているという。

ところがである。多くの顧客がローンを組み、すでに支払いが始まっているのだ。中国の場合、建設途中でもローンが組め、返済が始まる。怒った購入者がローンの支払中止を求め金融機関に大挙押しかけ、混乱が生じているというニュースである。

10日には複数の地方銀行で、総額8200億円規模の預金が引き出せなくなって大規模デモが発生した。

中国人民銀行前には抗議者が3000人に上り、警官や私服刑事が暴力的手法で排除を開始、流血の事態になった。

中国国内で金融機関の取り付け騒ぎや、ローン返済トラブル、暴動やデモが頻発しているにもかかわらず、金融トラブルに何故タイムリーな手が打てなかったのか不思議である。

Yahooニュースによれば、
「中国河南省鄭州市では7月10日、約3000人の市民が中国人民銀行鄭州支店の前で「習近平の『中国の夢』は破れた」、「李克強総理は金を返せ」などとの横断幕を掲げて、デモ行進や集会を実施していたところ、白ずくめや黒ずくめの服を着た暴漢が市民に殴りかかり、多数の負傷者が出るという事件が起こった。

市民らは地元銀行などの預金が凍結され、引き出せなくなったことから抗議行動を起こしたが、騒ぎが大きくなったことを危惧した省幹部らが地元の暴力団組織である「黒社会」メンバーを雇って、市民らを襲撃させ、騒ぎを納めようとしたという」情報もある(米政府系報道機関(RFA))

河南省では今年4月下旬、河南汝州新民生村郷銀行、浙江黄海村郷銀行、上蔡恵民村郷銀行、開封新東方村郷銀行の4行の預金者約41万3000人、預金総額で約400億元(約8000億円)分が事前の連絡もなく凍結された。預金者は銀行に問い合わせや抗議をしたが、事態は一向に改善されなかった。

その後、これら4行だけでなく、中国の大手銀行である中国招商銀行、工商銀行、建設銀行、農業銀行などでも、多数の市民への預金凍結措置が発覚したことで、市民の怒りが爆発し、7月に入って大規模な抗議行動に発展した。

これに対して、警察側では大音量のスピーカーを使って「この集会は違法だ」と群衆にその場を離れるよう求め、「撤退せず、秩序を乱し、社会の正常な秩序に影響を与えるならば、法に基づき措置を取り、重大な行動を起こすだろう」と警告した。

多くの銀行が多くの預金者の預金凍結措置をとった背景には、銀行側が不動産業者に貸し付けた資金が焦げ付いたことから、銀行の余剰資金が欠乏し、一般預金者への支払いができなくなったことがある。RFAによると、「中国の住宅販売件数は11ヶ月連続で減少しており、1990年代後半に同国に民間不動産市場が誕生して以来、最大の減少幅を記録するなど、中国の不動産セクターは大きな課題を抱えている」と伝えた。

不動産不況がもたらした混乱、習近平政権はどのように収束させるのであろうか。

もう一つ中国を象徴する事件があった。
中国政府系機関「中国国家情報センター」が運営するウェブサイト「信用中国」は6月1日に、航空機や鉄道の利用を拒否された計169人のブラックリストを公表した。

中国では2014年からこれまでに数百万人が航空機への搭乗および列車の乗車を拒否されている。

中国では社会秩序維持などの面では個人が厳しく管理されるようになっており、政府の意に沿わない国民は基本的人権すら無視されるのは中国なら当たり前。

マナーが悪質な市民や納税義務を果たしていない企業関係者らに対して、中国当局が厳しい姿勢で臨むことを明確にしたといえる。

航空機のブラックリスト掲載者のうち、86人が航空機内や安全検査でトラブルを起こしたり、他人に暴行を働いたり、ライターなど持ち込みが許されない物品を隠し持って搭乗しようとしたマナー違反者。民間航空輸送を担当する政府部門である民用航空局がリストアップしたらしい。

列車への乗車拒否者は、列車内での喫煙や無賃乗車、乗り越し精算を拒否した者なども入っている。

人民よりも、国家よりも中国共産党の安泰が必要なのである。小さな火種が共産党を揺るがしてはならない。警察を使おうが暴力団を使おうが、共産党体制維持のためにはどんな手段も厭わない。

12日、世界的に有名な米フォーチュン誌が、中国上場企業のランク付けを発表した。それによれば上位500社で中国経済が支えられていることがわかる。

上位50社の内40社が国営企業、石油、建築、金融、保険、鉄道関連である。さらにその上位10社のうち9社が独占的な地位にある国営企業。

評論家・石平氏は、民間企業10社のうち4社が不動産関連、次にアリババやテンセンとなどのIT企業。問題は不動産開発が沈没している中で、習近平政権の民間大企業イジメで傾きはじめているという。

中国の国営企業が栄えようが一向にかまわないが、民間企業のイジメには理解できない。

国営企業以外は敵と言う感覚か。暴動も最後は力づくで何とかなると思っているのか。秋の党大会で習近平3期目を目指し、確実に実現するのが最大の関心事である。今はそのことしか頭にないのか。暴動の行方が気になる。

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