ブレイクダンスの未来を描く
Vol.3-7.27-925 ブレイクダンスの未来を描く
2022.07.27
一昨年の1月だったと思う。
昨年のオリンピックで初の競技として採用されたスケートボード。ジイが初めて目にした選手が堀米 雄斗選手だった。新聞に何度か紹介された文面を見て、この選手は行けるぞ!、と直感した。
当時は茶髪でもなく、外見も不通。特別とんがったところもなく、ごく普通のどこにでもいそうな青年だった。落ち着いて語る内容の確かさに間違いないと改めて確信したものだ。
東京オリンピックでは期待通り、見事金メダルに輝き、自分の直観に自信を持ったことを思い出す。
「二匹目のどじょう」ではないが、2024年パリ五輪で新競技に決まった「ブレイクダンス」、注目が日本王者・半井重幸選手だ。
この選手も直感で「金メダルがとれる」と感じた。
堀米選手同様、自分が愛する「ブレイクダンス」をとことん愛し、自分のスタイルを冷静に客観視しながら明確なビジョンも持つ。
彼は2020年、世界最高峰の大会を史上最年少の18歳で制し、すでに世界に認められた実力者である。オリンピックで新競技に採用されたことを「メジャー競技になるきっかけを作ってくれた」と喜び、『世界中の人に魅力を知ってもらうきっかけになれば』と、金メダルへの獲得より、世界に知ってもらうチャンスに喜び、ブレイクダンスの認知度を高めることに心を躍らせる。まるで自分の子のデビューを待つ親のようである。
彼は “ ブレイクダンス ” の申し子かもしれない。自分の使命を認識し、その魅力を存分に発揮することに喜びと生きがいを感じている。金メダルを取りたいなどという感情は二の次、高い次元というか、ブレイクダンス伝道師の役割に燃えているのだ。
ところでブレイクダンスとはどんなダンスか、
よく路上で若者がまるでアクロバット体操のような踊りをやっているのをテレビで見たことがある。おおよそのところは想像がつく。しかし、音楽に合わせたストーリーがあるとは知らなかった。どんな演技を見せてくれるのか期待が高まる。
そこで、競技となれば採点基準が必要だが
① 立って踊る「トップロック」
② かがんだ状態で技を繰り出す「フットワーク」
③ 背中や肩など体のさまざまな部分で回る「パワームーブ」
④ 音に合わせて動きを止める「フリーズ」
パリ五輪では、音楽に合わせて1対1で踊り、技術や表現力を競うらしい。フィギアスケートによく似た採点方法になるのであろう。
半井君が大事にしているのは、ミュージカリティー(音楽性)だ。彼に言わせると「魅力は自由度の高さ。一人一人個性があるので、そこを見てもらえると楽しいと思う。僕のダンスは音楽とどれだけ合っているか、音楽をどう落とし込んでいるかに着目してもらえると嬉しい」という。
「唯一無二の存在になること」を目標に掲げる。
自分が楽しむだけではない、目線はブレイクダンスの普及にある。フロンティア精神に燃えた若き才能、この先どう変化していくのかに興味がわく。
半井選手にとって、五輪はゴールではない。
「もともと五輪競技ではないので、五輪があろうがなかろうが、自分がすることは変わらないと言う気持ちはある」「世界中の人に興味をもってもらい、知ってもらうきっかけに(五輪)は絶対になる。いい方向につなげていけたら」と、ブレイクダンスの世界デビューに熱い期待を抱く。
ブレイクダンスには独特の文化がある。各自が愛称となるダンサーネームを名乗る。彼は「ShigekiX(シゲキックス)」だそうである。
彼のこだわりのダンス、ミュージカリティを大事にする “ ブレイクダンス ” とは・・・早く見たいものだ。今20歳、ブレイクダンスの未来を創造しながら生きるBボーイである。
再来年のパリオリンピックが楽しみになった。
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