岐路に立つ中韓国交正常化30年

世界,日本,雑記

Vol.3-8.23-952  岐路に立つ中韓国交正常化30年

2022.08.23

中国との国交正常化は日本がトップバッターだった。

◎1972年に日本(今年で50年の節目を迎える)
◎1979年 米国(日本から7年後)
◎1992年 韓国(日本から20年後)

中国との国交正常化は、裏を返せば台湾との断交を意味する。

従って台湾と国交を長く維持していたのが韓国ということになる。
日本も米国も台湾を一つの中国として認めなければ国交正常化はできなかった。その意味で、韓国はより長く台湾を大事にしたことになる。

韓国と中国国交正常化30年は、台湾断交30年を意味し、日中平和条約50年記念は、台湾と断交して50年ということになる。歴史の光と影である。

当時、台湾韓国大使館に勤務していた職員の曺氏によれば、台湾には「分断国家の韓国は自分たちと似た境遇にあるため、中国と国交正常化しても、台湾との外交関係を維持してくれるのではないか」という期待感があったという。しかし、曺氏は「韓国には、二つの中国を認めるほどの力はなかった。ただ、断交の過程でもう少し(台湾に)丁寧な配慮があるべきだった」と述懐する。

国際関係の変化を受け、韓国も路線を変更し社会主義国や非同盟諸国などとの関係を深めていく中でも、台湾との関係は特別だった。

30年経ち、周辺環境は変わった。南北関係は緊張が続いている。中韓の経済関係は拡大したが、中国が米軍のTHAADの韓国配備を巡り、韓国に経済的な圧力をかけるなど、日米韓の協力関係を牽制しているのが現状である。

曺氏は「中国は韓国の重要なパートナーですが、力による現状の変更やルールに基づく国際秩序を変えようとする動きは認められない。韓国としては、韓米同盟を基礎に、中国との戦略対話を広げ、日本とも協力して、中国の動きに共同で対応する必要がある」と語る。

韓国では5月、保守系の尹錫悦政権が誕生した。5月21日に発表された米韓首脳共同声明では「台湾海峡の平和と安定の重要性」などが、昨年の米韓首脳会談に続いて盛り込まれた。インド太平洋地域の平和と繁栄も強調された。

曺氏は韓国が台湾海峡の平和と安定に関心を持つ理由について
「韓国は日本と同じ貿易立国。台湾海峡は様々な物資の輸送路として非常に重要なため、在韓米軍の戦略的柔軟性を認めている。中国は朝鮮半島の平和と安定や、北朝鮮核問題の対話による解決を求めてきた。中国も台湾問題を対話で平和的に解決すべきだと、私たちは主張すべきです」という。

“ 北朝鮮と対話による解決を求めるなら、台湾とも対話による解決を望む ” 曺氏の話は理にかなっている。

曺氏は「既存の国際秩序が深刻な挑戦を受けている今、韓国と日本は同じ船に乗っているともいえる。国際秩序の恩恵を最も受けてきた国として、責任をもって地域の秩序を維持していく責任がある」と話す。そのうえで、
①日韓関係の完全な正常化
②日米韓安保協力の強化
③日中韓協力の活性化――の三つが必要だと説く。

①②はわかるが③は内容次第だ。

「中国との外交を通じた信頼関係の構築は安全保障に役立つ。韓日が共に中国との交流や対話を通じ、3国間の信頼関係を築くべきでしょう」というが、具体的にどのような方法を考えているのか、一つ間違えば日米韓に亀裂が入る可能性がある。

曺氏の意図はわかるが、米国との関係をどう維持していくかだ。

8月9日、中韓外相会議があった。
王毅外相は5つの考えを提起した
①外部の干渉を受けず独自性を堅持
②お互いの重大な懸念に配慮
③サプライチェーンの安定を守る
④お互い内政に干渉しない
⑤多国間主義を堅持

その中でも中国はサプライチェーンとTHAAD配備を重視した。半導体はトランプの時にファーウェイで苦い経験があるからだ。

中国は「韓国が自らの現実と長期的な利益から問題について考えさえすれば、中国との巨大な協力空間がある」と経済的利益の恩恵をちらつかせた。

一方韓国は文在寅政権で約束した
①THAADの追加配備をしない
②米国のミサイル防衛網に加わらない
③日米韓の安保協力を軍事同盟に発展させない
を説明した。

ところが中国はTHAADの運用制限まで加えてきた。
これには韓国も反発せざるを得ない。
自国の内政には干渉するなといいつつ、他国の安保主権は侵害してもいいのか」と反発した。

中国の特徴は
①メンツを大事にする
②相手が弱みを見せると強行に出る

韓国にとって民主主義は守りたいが、中国大陸の経済は魅力、しかし防衛は米国なしでは考えられない。苦しいが何を第一に考えるかだ。

韓国も戦争被害者である。北は共産主義に支配、南は民主主義に支配された不運な歴史を背負う。周囲を独裁国家に囲まれ、唯一安保協力にある日本は軍事力のない名前だけの協力者。その上、過去に支配された思い出したくもない過去がある。何とも悩ましい韓国の立場を考えればすねてもみたい気持ちもわからないではない。

しかし今は、国家最大の岐路にある。中国の属国になるのか、覚悟を決め民主主義陣営に残るのか、そのためには今こそ、日韓関係の正常化、日米韓の強固な関係を築き上げる時である。

ふらふらしている場合ではない。韓国の未来像を定めブレないことだ。

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