成功率30%に挑む JAXA月面着陸
Vol.3-8.29-958 成功率30%に挑む JAXA月面着陸
2022.08.29
今日29日、米フロリダ州NASAから、月面着陸を目指して日本の超小型探査機「オモテナシ」が打ち上げられる。
NASAが進める国際月探査「アルテミス計画」の一環で、NASAが今から7年前の2015年に新型ロケットに相乗りする超小型衛星を募集したのがきっかけである。それに日本のJAXAチームが応募し今回の打ち上げにつながった。
当初、与えられた開発期間は1年半。2週間程度でコンセプト案をまとめて提出。翌年には提案が採用され、宇宙機応用工学研究系教授・橋本樹明リーダーと他4人の研究チームが立ち上がった。
NASAが指定してきたのは “ 超小型衛星 ” 、探査機サイズは6Uサイズ(11×24×37cm)、重量は約13kgと小包ほどの大きさになる。
開発は困難を極めたが、橋本教授はNASAからの挑戦状のように受け取ったという。
通常は、重力のある月への探査機の着陸は、減速制御が不十分であれば地表に激突する。このため過去に開発された月着陸機は大型のエンジンやセンサーを搭載し、重量は100kgを超える。
JAXAが開発したのは、重量はわずか12.6kg、世界最小の月着陸機である。とりあえず第一関門をクリアした。
橋本教授は
「ロケットから切り離された後、放射線環境を測定しながら月に向かいます。月に着陸するには減速しなければなりませんが、13kgの探査機を減速させるだけの燃料は持っていけません。そこで、着陸に必要のない部分は切り離してしまうことにしました。月面に着陸する「表面プローブ」は、わずか0.7kgです。それでも着陸時の速度は秒速50m、1万G(地球上の重力の1万倍)もの衝撃がかかります。着陸というより衝突と言った方がいいかもしれません。衝撃は、エアバッグとクラッシャブル材で吸収します。着陸時の衝撃データを地球に送信してミッション終了です。」
と、説明されたが、ここにたどり着くまでのご苦労は大変だったようだ。
“ おもてなし ” は固体ロケットや通信機などを搭載し、打ち上げから約4時間後にロケットから分離され、後は月を目指して一人旅である。日本から遠隔で軌道制御を行い、9月4日には月面に到着する予定だ。
月面着陸後、地球に電波を送信できればミッション終了。成功すれば、旧ソ連、米国、中国に続く4カ国目の月面着陸となる。
宇宙開発は、例の如く中国が猛追している。
2013年・・・無人月探査機「嫦娥3号」で月面着陸成功
2019年・・・「嫦娥4号」で月裏側への着陸成功
2020年・・・土壌サンプル回収に成功
日本も頑張っている。今回のオモテナシの後、今年度中に打ち上げ予定のJAXAの月探査機「スリム」は、月面の狙った場所に降りるピンポイント着陸の技術実証を目指すそうだ。宇宙ベンチャーのアイスペースも今年11月以降の打ち上げを目指している。
知らないところで着々と技術力をつけている会社がある。頼もしいではないか。
ともあれ、先ずは “ オモテナシ ” のミッション成功を祈りたい。
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