中国 通貨危機と食料不足

世界,日本,雑記

Vol.3-9.1-961  中国 通貨危機と食料不足

2022.09.01

中国の通貨、人民元の対ドル相場下落が止まらない。直接の原因は外国の投資家の中国債券売りと資本逃避であり、金融危機に発展しなければいいが。

中国債権と元相場のトレンドは今年2月以降、同時並行して下がり続けている。

◆通貨危機、その流れを追ってみると、

① 今年2月、ロシア軍が国境を越えウクライナへ侵略を開始した。日米殴は直ちに金融を中心とした対露制裁を発動した

② 米国は中国が対露支援するなら二次制裁を適用すると通告した。さらに、FRBが利上げに転じ、5、6、7月と大幅に追加利上げを実施

③ 対中2次制裁の恐れと米中の金利差の拡大はいずれも、外国からの債権、株式を含む対中証券投資のリスクを高め、投資の引き揚げを誘った

④ 外国人の投資家は投資収益を考慮した合理的判断によるが、中国の大口投資家も政府による資本規制の隙間を見つけて海外に資産を移している。非合法の資本流出、資本逃避である。

そこに加え、住宅バブル崩壊リスクの高まりが追い打ちをかける。

2021年初め以来続く、住宅相場下落や不動産開発投資の低迷に対し、財政・金融面で対策がとられていない。人民銀行は外貨準備の増加に応じて元資金を追加発行するが、外準は大きく減り続けているため、中国の通貨制度では対応ができない。

以上が通貨危機への流れだ。

◆もう一つの悩みが、食料安全保障。

台湾有事が噂される昨今だが、中国には戦争に踏み切れない特殊事情がある。というのが、米歴史学者・E・ルトワック氏だ。

中国は数年前から「食料安全保障」に取り組み始めた。

有事の際に国際制裁で海路での輸入が止まった場合に備え、家畜や家禽のエサとして不可欠な大豆を少しでも陸路で確保しようとしている。

中国は食料制裁に非常にもろい。ここに中国が大国ではないと言う理由があると、ルトワック氏はいう。

大国の定義とは何か。

大国とは戦争に関わる全ての行為を自力でまかなうことのできる国だ。食料の自給で深刻な弱点がある中国は大国とは呼べない。

こうなった原因の一つに、1990年以降、経済発展で沿岸部の農地や耕作可能な土地を大規模な工業地帯として開発してきた。2000年代に入り、こうした政策が重大な誤りだと気がついたが、減った農地をそう簡単に元に戻すことなどできるわけがない。

◆さらには海洋国家への道だ。多数の艦船や地対艦ミサイルを整備したが、海洋国家になるためには船の寄港や修理、補給などを受け入れる同盟国が必要だが太平洋にその同盟国はない。

そこに気がついた中国は最近、太平洋島嶼国進出を企てている。

太平洋島嶼国の自由と独立、ひいては「自由で開かれたインド太平洋」を守るためには、日米豪が連携し、強い姿勢と行動をとる必要がある。中国の弱点を押さえ、覇権国家を狙う無法中国の思うままにしてはならない。

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