英3人目の女性首相

世界,日本,雑記

Vol.3-9.9-969  英3人目の女性首相

2022.09.09

女性首相として3人目になるトラス氏、第2のサッチャーか、“ カメレオン ” との異名をとる一風変わった首相が誕生した。

カメレオン?どうもトラス氏の政治経歴の中での変節歴によるものらしい。

トラス氏は1975年生まれの47歳。両親は左派の支持者でサッチャー政権に批判的だった。その影響から学生時代は「君主制の廃止」を訴える左派から出発している。

その後、シンクタンクに勤務していた頃に新自由主義に目覚め「サッチャリズム」を信奉、両親の反発を受けながらも保守党の下院議員に当選する。

議員になってからも当初はEU残留を支持していた。しかし、その後、離脱派へ転向を表明する。

こんな過去の経緯から “ カメレオン ” の異名を持つのである。

このように過去の彼女の経歴からも政治姿勢に対する評価は割れている。政治信念を疑問視する向きもあれば、「国内外の政治状況が日々急速に変貌する中、トラス氏のような柔軟性が必要だ」という意見もある。

どちらにしても、「鉄の精神」と呼ばれたサッチャー首相とは大分毛色が違うようだ。確かに人相を見る限り、今までにないタイプに見える。

強硬な発言から、一見頑固一徹に見えるが、過去の変節からも状況に柔軟に対応することに躊躇しない決断力がある。現段階では未知数の人物、評価が定着するまで少々時間がかかりそうだ。

ただ、中国に対しては過去「中国脅威論」を言い立てており、英中関係がかなり緊張するとの見方がある。対ロシアに対しても強行で米国と共にロシア軍を撃退するための協力を惜しまない姿勢は確かなようだ。

ところで、対日本に対してはどうか。外務省幹部は「誰が首相になっても強固な日英関係は変わらない」と強調する。林芳正外相もトラス氏とは5月にも会談しており、トラス氏の関係はスムーズにいくと歓迎している。

確かに英国とは明治・大正・戦時中の日英同盟、小泉八雲の日本帰化、自動車も同じ右ハンドル、皇太子の英国留学等々何かと英国には親近感がある。昨年は最新鋭空母「クイーンエリザベス」と自衛隊が共同訓練を行った。F2戦闘機の後継機も日英で共同開発をする方向で調整が進んでいる。さらに英国がTPPへの加盟を申請。福島の食品輸入規制も撤廃するなど関係は良好である。

今後は、対露、対中でも連携が強化されれば、日英は日米同様自由主義陣営の中核となり得る。どうか、トラス氏の異名とするカメレオン色は封印していただきたい。

心配は、英国内の10%に及ぶインフレである。エネルギーを中心とする物価高などが、英国の経済を長期低迷に追い込むことがないか心配である。

経済の悪化から、ウクライナ支援やインド太平洋戦略の見直しをせざるを得ない状況に追い込まれてしまうことである。トラス氏の良くも悪くも柔軟な対応は時と場合による。カメレオン行動には警戒が必要である。

「サッチャーとはまるで異なる指導者」との評があるが、その意見は正しいと思われる。

景気悪化が引き金となり、中国・習近平の甘い恫喝と “ 14億の黄金 ” に目がくらむことだけは無いように祈るばかりだ。

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