尖閣諸島国有化10年
Vol.3-9.14-974 尖閣諸島国有化10年
2022.09.14
『9.11』は何かにつけ印象深い日と符号する。
平成24年9月11日は尖閣諸島が国有化された日だ。
国有化後、尖閣周辺海域では様々なことが起った。特に中国の動きは強まる一方である。
<尖閣の動き>
明治28年 尖閣諸島の沖縄県編入を閣議決定
昭和44年 国連機関が石油資源埋蔵の可能性を指摘
昭和46年 中国・台湾が「領有権」について独自の主張を開始
平成08年09月 中国海洋調査船が領海侵入
平成08年10月 香港・台湾の活動家らが乗船した41隻が領海侵入。4人が魚釣島上陸
平成16年03月 中国の活動家ら乗船の1隻が領海侵入。7人が魚釣島上陸
平成22年09月 中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突事件発生
平成24年09月11日 尖閣国有化
平成25年07月 中国海警局発足。中国海警局4隻が領海侵入
平成27年12月 機関砲を搭載した中国海警船1隻が領海侵入
平成30年07月 中国海警局が人民武装警察部隊に編入
令和03年02月 武器使用権限を明確化した海警法施行
令和04年07月 中国海警局の船の連続侵入が64時間17分と過去最長
令和04年09月11日 尖閣国有化10年
平成24年9月尖閣国有化後、周辺海域では中国公船の航行が常態化している。海上保安庁は28年4月に「尖閣専従体制」を整え、前線基地の石垣保安部に大型の巡視船10隻と那覇海上保安部にヘリコプター搭載型巡視船2隻を配置した。
平成28年8月5日午後1時半ごろである、尖閣周辺にその数300もの中国漁船が大挙として押し寄せてきたことがあった。
「断固として島には上がらせるな。漁船との間合いは取れ。業務の正当性を証明する映像記録を怠るな」現場指揮官は全巡視船に指示を飛ばしたという。
にらみ合いが1週間。こう着状態が破られたのはギリシャ船籍から寄せられた救難信号だった。
海保が航空機と巡視船が急派した。
事件は、操業中の中国漁船と貨物船が衝突、漁船は間もなく沈没。中国海警の動きの鈍さに中国インターネットが反応「肝心なときに中国の公船はどこに行った」と批判が殺到した。一歩も引かない海保に折れる形で退去し事なきを得た。
ただ、最近も領海侵入し、海警が日本漁船を執拗に追尾するなどの挑発はエスカレートしている。
このような危険な事態に、玉城デニー知事からの悲鳴は聞こえて来ない。聞こええ来るのは “ 辺野古移設反対 ” の声だけだ。
東海大教授・山田吉彦氏は「有事が発生した場合、軍事的任務に就くことを禁じる海上保安庁法25条により海保が手出しできない可能性がある」とし、改正を訴える。
いずれにしても、地元魚師が好漁場に自由に行けない状態が10年以上も続き、それに日本が対応し切れていないのが問題である。
中国の海警はもともと日本の海上保安庁に相当する組織だった。だが、2018年7月、軍の最高指揮機関、中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察に編入され「準軍事組織」化が進んでいる。
海警は現在、1千トンを超す大型巡視船の保有数で海上法執行機関として「世界最大」を誇るという。
28年10月に保安署から250人規模の保安部に昇格した宮古島は中国漁船の監視拠点となったが、この海警と対応しなければならない。大変なことである。
ここ10年の中国海警の膨張は恐ろしいほどだ。2012年の時点で海上保安庁を下回っていた中国の大型巡視船の数は2014年に逆転。わずか4年後の2016年には海保のほぼ2倍となる急拡大を遂げ、現在もその勢力を維持している。
中国は尖閣周辺の海域は、領有権が定まらない海域として、日本と「暗黙の了解」があったと勝手に主張している。そのようにしてあたかも領有権問題が存在するかのように世論形成するいつもの手である。
「暗黙の了解」を勝手に破ったのは日本であるが故に中国の行動は「やむ得ない」という口実である。
海警は昨年2月施行の海警法で外国公船に対する武器使用を定めるなど「第2海軍」化を加速させ、尖閣だけでなく、南シナ海での活動も活発化させている。
中国側は過去10年で体制を大きく拡充「海上民兵―海警―海軍」の3層が連携するシナリオである。
もはや、海保だけでは対処しきれない。自衛隊と連携強化を早期に図る必要がある。
岸田政権は防衛費をGDP2%を念頭に防衛費を大幅増額する構えだが、尖閣周辺の警戒・監視を怠らず躊躇なく強化していただきたい。
思い出すのは亡き石原都知事の時代、「東京が尖閣諸島を守る」として購入計画を表明した時だ。さすが石原都知事と思い出したが、寄付金があったいう間に14億が集まった。そのほとんどが残っている。是非、尖閣に自衛隊の駐屯地、もしくは緊急時、船舶の停泊できる場所の整備や通信基地など何らかの国の施設をつくっていただきたい。
“ 中国を刺激してはならない ” この異常な自粛が尖閣防衛の手足を縛ってきた。中国がこの弱気日本の足元を見透かし、まるで未確定の領域と言わんばかりに先月、日本のEEZ内にミサイルを撃ち込んだことを思い出すべきだ。
わが国がウクライナや台湾のように自分の国はまずは自分で守る。当たり前のことを行動で起こすべきだ。あやふやな態度が、“ ひょっとしたら尖閣諸島の領有権はまだ話し合いができるのでは?” こんな思いを抱かせること自体が問題化する原因である。
最大の敵はロシアではなく中国である。軍事・経済共に日本より遥か上にいる。その脅威を改めて認識し国交50年、戦後の妙な負い目を捨て冷徹な外交戦略をもって臨んでいただきたい。
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