発熱した核武装論

世界,日本,雑記

Vol.3-10.26-1016  発熱した核武装論

2022.10.26

日本で核武装議論でもすれば、蜂の巣をつつくような騒ぎになるのは火を見るより明らかである。

しかし、韓国内の核議論及び、米国の民間専門家が日本の核武装を奨励する論文を書くなど俄かに “ 核議論 ” が騒がしくなってきた。

隣国ロシア、中国はいわずもがな核大国である。北朝鮮は日本を「核兵器による攻撃対象」に定めている。

北朝鮮は1993年と2003年にはNPTから脱退を表明している。2006年、2009年、2013年、2016年2017年に核実験を実施した。

どの程度の核爆弾を持っているか不明だが、弾道ミサイルに搭載可能なウラン爆縮型原子爆弾の設計図が核の闇市場か、パキスタンから直接北朝鮮に入っている可能性は高いという。

その核を搭載するミサイルはすでに米本土に届くまでになった。どれだけ核の小型化に成功しているか不明だが、今年に入り頻繁にミサイル実験をやっているところをみると、核実験をやる可能性は近いのではないか。

韓国の核武装論が活発化し出したのは、その北朝鮮の挑発である。

米国の戦術核を配備する案だけではない。自前の核保有まで議論が進むのは世論の後押しがあるからだ。

自国の核保有に賛成する韓国人は前年比9.5ポイント上昇し、69.6%になった。一方日本はといえば14.6%、かなり国民の核意識に開きがある。

米国と同盟を結ぶ韓国が核保有となれば、米国の核を再配備するということになるが、核保有における韓国民の理解の高さから、韓国独自の核保有を促す声があることも事実である。

ただ、核保有となれば高いハードルがある。
米露など5ヵ国以外の保有を禁じた核拡散防止条約脱退とともに、国際社会の強力な制裁を受けるのは必至である。

それにも増して強い反発が予想されるのが中国だ。韓国の核保有は、台湾、日本へ波及する恐怖はただことではないはずだ。

1週間後に迫った米国の中間選挙。もし、共和党が勝利し、2年後トランプ氏が大統領に返り咲くようなことがあれば、同盟国の核保有のハードルは劇的に減少するという見方もある。

国連安保理が機能不全に陥った現在、改めて “ 新・世界秩序 ” なるものが模索される可能性は高い。その意味において核の取り扱いについて再構築の議論は避けて通れないのではないか。

米国の学界で、日本の核武装を奨励する議論が出ているそうだ。

イリノイ大学政治学部教授のソンファン・チェ氏の「ナショナル・インタレスト」に発表された論文によれば、

東アジアえで中国と北朝鮮という2つの敵性国家がともに核兵器の脅威を高める現状では、米国が拡大核抑止の責務の一部を同盟相手の日本と韓国に託すために両国の核兵器保有を奨励すべき時がきた」と提唱した。

日本が、唯一の被爆国というレッテルがなければ、これほどの核アレルギーはなかったであろう。しかし周辺国の核の脅威はあまりにも高い。抑止力としての議論まで封殺するとすれば、不実なる人間としてのそしりを免れないのではないか。

ロシア・ショイグ国防相の「ウクライナが汚い爆弾を準備している」と発言した。明らかに、ロシアが「汚い爆弾を使うぞ」との脅しである。

ウクライナのクレバ外相は「わが国は汚い爆弾を保有していない。ロシアの主張は危険だ」というように、ロシアが核を使うための予防線であり、正当防衛の口実づくりである。

最後の手段をほのめかすとは、いよいよ、ロシアの内情は危機的状況にあると推測せねばならない。もう打つ手がなくなったプーチンの暴発を押さえるために、欧米陣営は核武装論を敢えて持ち出したのではないかとも思える。

核議論、「火の無い所に煙は立たない」の格言通り、火種が核への導火線とならないことを祈るばかりだ。

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