「核」防衛議論から逃げるな

世界,日本,雑記

Vol.3-10.30-1020  「核」防衛議論から逃げるな

2022.10.30

現実味を帯びてきた核使用への懸念。

「米、対中露に核抑止力強化」「核ミサイル演習で威圧」「日米韓豪で核抑止対話」「核『使う兵器』化 ウクライナの教訓」

新聞を開けば『核』という文字を目にしない日はない。それほどに「核」にまつわる危険が特に日本の隣国を中心に現実に進行している。

国際政治学者・細谷雄一氏は、
ロシアと北朝鮮、中国の核兵器を巡る新たな動向は国際秩序に革命的な変化をもたらしている。『使えない兵器』だった核が『使う兵器』と認識されるようになり、その使用が現実問題として迫っている。日本はその変化を前提に、対処を検討せねばならない」

<ロシア>
ロシアは通常兵器による攻撃に対しても『国家の存在が危険にさらされる』場合の核使用を認めている。劣勢に立たされる中、4州(略奪したウクライナ4州)を『国土』とみなし、核兵器を使う可能性は著しく高まった。核は核の報復を招き、自らも壊滅的打撃を受ける恐れから『使えない兵器』とされてきた。だが10年ほど前から『使う兵器』と位置付けいてきた。
ラブロフ外相は同月2日、『第三次世界大戦が起れば、破滅的は核戦争になるだろう』と述べた。米国がウクライナ戦争に直接介入すれば、ロシアの核使用に帰結すると脅した。

<北朝鮮>
北朝鮮は前例のない頻度でミサイルを発射し、再び核実験を強行する構えだ。過去には核の先制使用を宣言したが、9月に採択した法令では通常兵器による攻撃が迫っている場合などにも核を使うとし、日韓など米国の『核の傘』の下にある非核国も使用対象とした。

<中国>
中国でも先制不使用の政策を修正する動きが出ている。習近平国家主席は22日までの共産党大会の政治報告で、米国への対抗を念頭に『強大な戦略抑止力の体系を構築する』と掲げた。

このような状況を鑑み米国は核態勢の見直しをした。
※ 核兵器使用を敵の核攻撃阻止や反撃に限るとの宣言は抑止力を損なう危険から断念
※ 米国や同盟国の重大な利益を守る「極限の状況」に置かれた場合のみ核の使用を考慮
※ 同盟国への「核の傘」を強化

世界は「核兵器なき世界」に近づくとの見方があった。しかし、米国自身もウクライナ戦争に端を発した、ロシア、中国、北朝鮮の動きから、核は抑止力としての機能を失くしたと認識するに至った。

米海軍制服組トップは中国による台湾進攻が今年中か来年中に起きる可能性を指摘、同じようにブリンケン米国務長官も「中国はずっと早い時期の統一を追求する決断をした」と述べた。

中国は「武力行使の放棄は約束しない。祖国の完全統一は必ず実現しなければならないし、必ず実現できる」と言い放った習近平総書記。脇を自らの親衛隊で固めた今、内外の危険な問題が表面化する前に、「台湾統一」という大きな問題を成功させることによって、国内の不満分子を押さえ、一気に求心力を高めようというのではないか。

以上のような動きから韓国は、核武装を含む安全保障議論が活発化、米戦術核兵器を国内に再配備する案と自前の核保有議論まで出た。

翻って日本の国会は、連日旧統一教会と政治家の問題ばかりが議論されている。何という能天気なことか。

26日浜田防衛相はシェルターの整備検討に入ったことに言及した。遅きに失した感はあるが、やっと防衛の具体的対策に乗り出したか。

阿比留瑠比・産経論説委員によれば、
「NATOのうち5ヵ国は米国と核共有している。ドイツやイタリアは仮にロシアから核攻撃されて報復する場合、米国に任せるのではなく、自国のパイロットが、自国機に搭乗してロシアに核を落としに行く」という。

「日本の拡大抑止は、米国が落としに行くことを想定している。それが本当に成り立つのか?」と疑問を呈した。

日本の議論は、核共有の前で止まり一向に進まない。
「国民の生命、財産、自由を守る」と、何かと言えば政治家は口にする。口にするのは簡単である。具体的議論、特に核関連になると尻込みする。タブーを設けずに議論しないでどうするのだ。

旧統一教会問題も重要である、しかし日本が無くなってからではどうしようもない。「国民の生命、財産、自由を守ると」というなら、戦後最大の安全保障が危険に晒されている今こそ、核の扱いを含めた防衛議論を徹底してやるべきではないのか。

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