信教の自由
Vol.3-11.14-1035 信教の自由
2022.11.14
信教の自由、難しい問題である。
今、国会では旧統一教会での被害者救済に向けた新法の成立に向け議論がされている。
言うまでもなく、この問題の発端は安倍元首相を狙撃した山上容疑者が発した「旧統一教会へ多額の献金をしたのが我が家庭の崩壊の原因だ」とし、「旧統一教会への恨み」を、関係あるとみた安倍元首相に向けたのである。
1954年に韓国で文鮮明によって創立された世界基督教統一神霊協会はキリスト教を基盤とした新興宗教である。
1980年代以降は霊感商法や多額の献金が社会問題化した。本来はこの宗教から逸脱した霊感商法による被害者を出すような団体でなければ、信教の自由を前提にしたこの世で、とりたてて問題にはならなかったと思われる。
野党やメディアは、その政治的主張が保守陣営と共通するものがあるとし、自民党議員との癒着を問題視している。
関東学院大教授・富岡幸一郎氏によれば、
① 旧統一教会と国会議員との接点が問題視されるのは、同団体が霊感商法などで少なからぬ被害者を出すなど社会的に問題の組織であったこと。
② 接触自体が日本国憲法の政教分離原則に抵触するのではないかという疑いがある
という2点を指摘した。
日本国憲法20条は、「信教の自由は、何人にたいしてもこれを保障する」と信教の自由を保障すると」同時に、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教活動もしてはならない」と定めている。しかし、戦後の日本においてはこれが国民に過度に浸透してきた。という。
確かに、公的機関が建物を建てる時に「地鎮祭」などを行うと、「政教分離に反する」と、声を上げる一部の勢力がいる。日本の生活に密着したいわば慣例のようなものにまで、「政教分離」を持ち込み非難する。政争の具にしてしまった感がある。
日本の生活に浸透した行事には数多くそれに類するものがある。正月に初詣にいくこともそう、祭りなどはすべてにおいて神社がからむ。それを宗教行事という見当違いの政治家がいるのには困ったもんだ。
その原因をたどれば、戦後のGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）による日本弱体化政策に行きつく。
神道指令が戦前の日本の国家体制、天皇を中心とする国家神道を解体するために「政教分離」政策を強制した。併せて「大東亜戦争」という呼び名、「八紘一宇」よいう用語も超国家主義的として使用を禁止した。
現行憲法がこの占領政策の延長線上で作成され、20条の「政教分離」もそこに位置づけられたのだ。
政治と宗教の関わりあいの一切を政教分離の原理で問題視しようとする今の風潮は、いまだ脱却されない「戦後レジーム」そのものである。
GHQが洗脳するために導入した「政教分離」を野党をはじめ多くのマスコミが、“ 政争の具 ” として利用する。GHQの日本弱体化政策を未だ実行し続けているという “ 洗脳バカを絵に描いた ” ような愚かな日本がいまだ存在する
富岡氏によれば
「おおよそ、国家はその歴史において宗教的な性格を帯びているものであり、もし政教分離を『国家はいかなる場合も特定の宗教と関わってはならない』とすれば、それ自体によって、個人の信教の自由は侵犯の危機にさらされる」というがその通りだ。
「戦後の日本は個人の自由意志と生存を何よりも重んじ、『自由』『平等』『平和』といった概念を議論の余地のない正義としてきた」
「しかし、その一方で自由とは、時に社会に牙をむくものだということも事実である。例えば『言論の自由』も行き過ぎれば暴力となることは最近のインターネット問題を挙げるまでもなく、自明のことである」
「信教の自由は、思想、良心の自由とともにいかなる場合も保障されねばならない。また、何人からも信仰という心の自由を奪うことはできない」と富岡氏は考えている。
「人間の力をこえた超越的な価値、その『神』に被縛されることで人は初めて十全に『欲したり努力したりする』ことができるのであり、そのような『自由』こそ信仰の核心であるというものだ」
富岡氏の言葉は難しい表現となっているが、超越的な価値が仮に「神」だとすれば、その神を信仰することによって、小さな自分を自覚し、素直な心で努力に前向きになれるということではないか。
『信教の自由』の前に “ 神 ” は万とある。旧統一教会問題で発覚した、宗教を隠れ蓑にした “ 霊感商法 ” などはもってのほかだが、何もかもごっちゃまぜにせず、切り離さなくてはならない。
高倉健の歌に入っていた台詞を思い出す。
『人が心に思うことは、誰もとめられない』
確かに思うことは自由である。しかし相手も同じ自由の中に生きていることを忘れてはならない。
