不可解な台湾与党の大敗

世界,日本,雑記

Vol.3-11.28-1049  不可解な台湾与党の大敗

2022.11.28

26日、台湾で統一地方選挙が行われた。

即日開票の結果、最重要とされた台北市長選で、蔡英文総統が率いる与党の陳時中氏が敗北、さらに、北部の桃園市長選でも敗北を宣言。その他でも2市長選で敗北。大敗となった。

何故だ、ペロシ議長訪問であれだけ中国に威圧的に軍事演習で脅され、中国統一の意思をあからさまに見せられてなお、親中である国民党に肩入れするその意図?台湾国民が真に欲しているものがわからなくなった。

香港の悪夢、共産党の独裁、ゼロコロナ政策、それでも中国の何に惹かれるのか?やはり世界第二位の経済か。

中国共産党の恐怖よりも、物価高や景気低迷を脱し豊かな経済が欲しいということか。

この選挙戦で、蔡英文総統は民主主義の価値を重視する姿勢を前面に掲げて、議員間交流、欧米や日本との関係の重要性示し、恫喝する中国といかに対峙するか、台湾人民が求める民主主義の重要性ではなかったのか。

国民が親中派の国民党を選んだとすれば、台湾国家は「中国の圧力に屈した」との印象を国際社会に与える可能性がある。

ある民進党幹部は
「欧米や日本は台湾を応援するために中国と対抗する構えを見せている。だが、台湾の有権者が選挙で親中派を選んだと受け止められて、国際社会の台湾支援の輪が小さくなることが心配だ」と語ったが、その通りの心配を危惧する。

今回の党公認候補者の選定にあたって「党内の対立を避けるため」台北市や桃園市などの主要都市で慣例の予備選挙を行わず、自らの主導で各地の候補者を蔡氏が選んだ。そのこともあってか大敗の責任をとって早々に辞任を表明した。

読売新聞オンラインによれば

「台湾統一地方選の結果を受け、中台統一を目指す中国の習近平政権と蔡英文政権とのせめぎ合いの焦点は、2024年の台湾総統選に移る。中国は米国の台湾問題への介入を強くけん制しつつ、政権奪還を目指す最大野党国民党を側面支援することで、与党民進党に揺さぶりをかけていく可能性が高い。

中台関係筋は「どの政党が政権を握っても、強国・強軍路線を進めて統一を迫るのが基本方針だ」と語る。ただ、対中関係の改善を主張する国民党が政権を握れば、平和統一に向けた協議を持ちかけやすい。少なくとも、総統選と同時に実施される見通しの立法院選挙で多数派に返り咲けば、民進党が政権を維持しても「ねじれ」状態となり、現行の対中政策の継続が困難となる可能性がある。

中国国営新華社通信は26日夜、蔡氏の党主席辞任表明を論評抜きで伝えた。中国は、蔡政権の敗北の主因は対中政策の誤りにあると主張する宣伝工作に乗り出すとみられる。台湾産農産物の対中輸出規制の解除などをちらつかせつつ、民間交流などで国民党に対する一定の融和ムードも演出していくとの観測もある。

ただ、20年の総統選では、2年前の統一地方選で民進党が大敗していながら、習国家主席が台湾で拒否感が強い「一国二制度」の導入方針を示したことと、香港での反政府抗議運動拡大が台湾住民の警戒を呼び、蔡氏の再選の追い風になった経緯がある。国民党への露骨な肩入れは逆効果となりかねず、習政権は「統一工作は慎重に行う」とみられる。

日米との連携を強めて中国に対抗してきた民進党政権が弱体化すれば、アジア太平洋地域のパワーバランスに影響しかねない。

米中間選挙で、下院で多数派を確保した共和党から議長が選出されれば、訪台に踏み切る可能性が取り沙汰されている。そうなれば、中国は今年8月と同様に軍事的緊張を高める対抗措置をとり、台湾住民の警戒感をさらに強める結果となりかねない。中国政府関係者は『結局は米国の動向がカギを握る』と述べ、米国の台湾介入への対処こそが最大の問題だと強調する。」

中国沿岸部に位置する台湾・馬祖列島に昨年、海砂採取船など中国の民間船舶が大挙押し寄せ、環境破壊というにふさわしいほど、海砂をごっそり持ち帰ったという。南竿島の浜辺で民宿を営む林建中さんは昨年夏、悪夢のような光景を見た。

「たった2日で、目の前の砂浜が消えた」

原因は自分の目で確認できた。多数の中国海砂採取船が沖合で操業していた。10月、事態は更に悪化した。数百隻の大船団が馬祖に来たのだ。島民らは「見渡す限り、海が中国船で埋まっていた。怖かった」と口をそろえる。

海の生態系が根こそぎ荒らされた。林さんは「去年、浜ではエビ1匹取れなかった。もう漁も釣りもだめだ」と肩を落とす。2月の旧正月頃に海砂採取船はほぼ消え、砂も徐々に戻ってきたが、その厚みは以前の同じ時期に比べると、1メートル以上減ったという。

このような中国と本当に統一を望んでいるのか。民主主義よりやはりお金、経済的に結びつくことによる豊かな生活には勝てないということか。

台湾国民の心が一つにならないとすれば先行きは不透明だ。

中国による浸食がアメーバのように進んでいるような気がする。

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