ウクライナ リポート

世界,日本,雑記

Vol.3-12.8-1059  ウクライナ リポート

2022.12.08

ロシア西部リャザニ州のジャギレボ空軍基地と南西部サラトフ州のエンゲリス空軍基地で5日朝、爆発が起き、燃料タンク車などが炎上した。

驚きである。ロシアが侵略後、戦闘はウクライナ国内に限っていると思っていた。いよいよロシア国内まで入ったかと、認識を新たにした。

今後、ウクライナがロシア国内の軍事施設などへの攻撃を増やし、ロシアが「報復」攻撃を激化させる可能性はある。

そんな新たな戦況を迎える中、「ウクライナ東部拠点ルポ」(大内清記者による現地ルポ)の記事があった。

ウクライナ軍に中古車両を提供するなど側面支援するNGO「フルキト」のメンバーに密着したルポルタージュだ。

<きっと兵士の役に立てる>

軍の物資集積の拠点都市、クラマトルスクに3日夜入った。約650km離れた首都キーウを出発してから、15時間半。気温は0度を大きく下回る。

「前線の部隊に使ってもらうための車を運ぶのが、今回のミッションだ」

中央省庁に勤務するかたわら、仲間とともにこの団体を設立。SNSで活動内容を告知すると、多くの部隊から依頼が舞い込んだ。これまでに約30台の車を激戦地の南部へルソン州やザポロジエ州など各地に届けてきた。

今回はノルウェーなどから調達した中古のピックアップトラック4台に、替えのタイヤや、前線で不足しがちな甘味類、フルーツなどを積み込んだ。悪路も多い現地までの道のりをブラドさんらメンバーが自分たちで運転し、車と物資を依頼主である部隊に引き渡した後、列車でキーウまで戻るというオペレーションだ。

いずれのトラックもひどく燃費が悪いが、メンバーのアナトリさんは「こんなオンボロでも、きっと兵士の役に立てる」と力を込める。

1123日の電力インフラのへの大規模なミサイル攻撃では、6日間にわたってブラックアウトが続いた。市内各所には装甲車や兵員が配置され戦時下の緊張が漂う。

にもかかわらず、「最近人が戻ってくるようになった」と住民はいう。危険が去ったからではない。本格的な冬を迎え、クラマトルスクに残している自宅の暖房費がかさみ、避難先でのアパートなどとの二重負担に耐えられなくなっているのだ。

NGOフルキトのリーダー、ブラドさんら車列が、街灯もついてない真っ暗な東部クラマトルスクに着いた後、向かったのは、各地から集まる支援の調整役を担うセルゲイ・オニシェンカさん宅だ。

暖かい室内では、セルゲイさんの妻、カテリーナさんと長女のソフィアさんや、その友人らがテーブルにいっぱいの食事を用意してくれていた。すぐに酒盛りが始まった。

「戦闘地域が近いのに、と驚いた? こうやって楽しむこともロシアと戦うことなのよ」とカテリーナさんは言う。「意気消沈してプーチンを助けるわけにはいかないわ」

「バーニャ(蒸し風呂)を用意しておいたぞ。さあ服を脱げ」
腰巻1枚でびっしょりと汗をかき、再び酒盛り。戦闘や人道支援の状況、国際社会の動き、プーチン政権への非難など、話題はつきない。
「勝利のために!」日付が変わっても乾杯が繰り返された。

翌日、依頼主である部隊へ車両を無事引き渡すと、ブラドさんたちは安堵の表情を浮かべた。兵士のサーシャさんによると、車両は今後、前線で医療部隊の移動になどに活用されるという。
『俺たちは、まだまだ戦える』と日本人に伝えてくれ」サーシャさんの声は力強い。

「きれいな場所があるの。ぜひ見て行って」。キーウ行きの列車を待つ間、カテリーナさんやソフィア(14)さんが散歩に連れ出してくれた。

市街地の真ん中を流れる川沿いの公園だ。美しく整備されているが、ほかに人の姿はなかった。

ソフィアさんは、凍結した園内の池でアイススケートの真似をして遊んでいる。記者に同世代の娘がいることを知ると、「これを」とウクライナ国旗と同じ青と黄色のビーズでできた指輪をプレゼントしてくれた。

ソフィアさんの学校では、35人ほどいたクラスメートのほとんどが市外へ避難し、授業はオンラインのみ。

学校にも通えない生活がいつまで続くのか。・・・

遠くから空襲警報のサイレンがかすかに聞こえる

まさに戦場からのルポルタージュである。

14歳の少女まで、健気に戦争を共に戦っている心情が伝わるリポートである。侵略されて10カ月、いつになれば平穏な日々がやってくるのか、先が見えない戦いこそ辛く苦しいものはない。だけど彼らは決して弱音を吐かないし、『楽しむこともロシアと戦うこと』と明るく、元気で健気である。

日本に避難されているウクライナの方々もこの記事を読んで元気づけられたらいいなあと思う。

10か月前とは明らかに違うウクライナへの関心度。我々は冬を迎え厳しい生活の中でも明るさを忘れず、平和と自由を勝ち取るために、大統領から14歳の少女までが、今も懸命に戦っていることを忘れてはならない。

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