政治家の評価

世界,日本,雑記

Vol.4-1.6-1088    政治家の評価

2023.01.06

昨年、暗殺された安倍元首相。亡くなって半年が過ぎた。

政治家の評価というものは何年も経過した後に評価が定まるというが、安倍元首相に関して言えば、これほど海外で評価が高く、日本での評価が分かれるのも珍しいのではないか。

昨年末、二人の知識人の安倍元首相関連記事があったので紹介したいが、共に高く評価する外国人と日本人である。

先ず、麗澤大学准教授・ジェイソン・モーガン氏である。

◆ 米「タイム」誌は、2022年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」にウクライナのゼレンスキー大統領」と「ウクライナの精神」を選んだ。

ゼレンスキー氏は今年を象徴するうえで当然だが、もし今年1年ではなく、「パーソン・オブ・ザ・センチュリー(100年の人)」を選ぶとしたら、私は迷わず安倍晋三元首相を選択するだろう。

・・・一世紀の規模で考慮しないと、安倍氏の意義が見えない。彼は21世紀の最も重要な人で、彼を「100年の人」にノミネートしたいと考えている。

・・・ゼレンスキー大統領は、ロシアによる侵略に対し、自国を守ろうとした。目の前に展開する戦争に立ち向かい、戦いをリードすることはヒーローの行動だ。ヒーローは歴史の舞台で輝く存在だ。しかし、いくら勇気のある男だと高く評価しても、彼が立っている歴史の舞台は、すでにそこにあったわけだ。

しかし、戦争がくることさえ信じてくれない平和ボケの国民の目を覚まして、「ファシスト」「軍国主義者」「歴史修正主義者」などのレッテルを貼られても覚悟をもって、国を強くし守るという大義を果たそうとした安倍氏は、地政学的な先見性ある人であったし、戦略の才を評価せざるを得ない。

複雑な世界の動きを解読して未来の瀬戸際に備えて万全な準備をすることは、ステーツマン、偉大なる為政者そのものだ。

戦後の呪縛を解き、戦後体制を終わらせようとした安倍氏は歴史の舞台で輝いたのはもちろん、歴史の舞台をも変革したといえる。

平和憲法と呼ばれる「日本国憲法」は現実に、世界でもっとも危険な文章である。
なぜなら、
① 日々に強みを増している中国
② ミサイル発射や核兵器開発を加速する北朝鮮
③ 反日病に慢性的に侵され日本の領土を不法に占領している韓国
④ 現在進行形で他国を占領しているロシア ー に直面している日本が「平和憲法」の支配下にあって丸腰になっているからだ

日本の「平和憲法」が侵略や大戦争を招きかねないし、日本国民をはじめ東アジア、全世界の人々を危うさに晒しているだけだ。「火遊び」そのものだ。

安倍元首相は
① 防衛費をGDP2%まで引き上げるよう呼びかけた
②『戦略的な曖昧さ』をやめて『台湾有事は日本有事だ』とはっきり言った
③ 日米豪印のクアッドの連携など、自由で開かれたインド太平洋の戦略を主唱し、全体主義に奔走した中国を囲んで抑えようとした
④ 命をかけて国を守る方々を「軍隊」と呼べるよう、戦後の呪縛である憲法を改正しようとした
⑤ そして、アメリカをほめたてながら米軍の腕力に依存するという戦後の負の遺産を少しずつ解消しようとした

彼が挑戦していた仕事は、たったの1年で評価できるはずがなかった。

全力を尽くし戦争を防ぐために必死に戦い、殉職した安倍ビジョンは、この先の日本を見通したもので、やはり安倍晋三は「100年の人」だったと思う。

もうひとりが産経新聞論説委員・阿比留瑠比氏の安倍評である。

◆「安倍氏は、日本や私たちの地域で、また世界中で事態を良い方向に変えてくれた。私たちはその生涯を祝福しなければならない。彼の人生は、それほどの成果をもたらすものだった」と、オーストラリアのアルバニージー首相の追悼演説を引き合いにその功績をたたえた。

米国の中国観と対中政策の転換を促し、歴史的に米国と距離をおいていたインドを引き込んで日米豪印4ヵ国の枠組み「クアッド」をつくった。

対中姿勢が甘かった欧州諸国を説得してその認識を徐々に改めさせ、英国とは準同盟関係を築いて中国の台頭と脅威に備えた。まさに、生まれついての戦略家だったといえる。

内政面でも安倍氏の経済政策「アベノミクス」で雇用と景気を回復させ、歴史認識を巡るゆがんだ言論空間や教育の是正でも、59年ぶりの教育基本法改正をはじめ過去にない成果を上げた。

中学3年生の時に発症した難病、潰瘍性大腸炎に長年苦しんできたためか、誰に対しても気配りを忘れない人物でもあった。
「女性やお年寄り、障害を持つ人にハードルのない自由な社会を作っていきたい。難病に悩む人がたくさんいる。そういう人々が仕事をしながら病気と付き合っていける暮らしやすい社会、何度でもチャンスがある社会を作りたい」

国際社会の冷厳な現実に対応しながらも、安倍氏が本当に目指したのは、こんな優しい国だった。

以上、これが、たった二人、それも安倍氏を高く評価する側からの政治家・安倍晋三の評価である。

はたして1年後は、5年後は、10年後、さらには100年後の評価たるやどのように変遷するのか、残念ながらジイには見るすべがない。

ただ、世界を俯瞰できる政治家であったことと、稀に見る真の愛国者であったことは間違いない。

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