あっぱれ!Mr.Mt KEN NOGUCHI

世界,日本,雑記

Vol.4-9.5-1136    あっぱれ!Mr.Mt KEN NOGUCHI

2023-09-05

こんな柔軟な視点を誰が持ち得ただろうか。

自民党が参議院から出馬をお願いしたのかわかろうというものだ。

中日スポーツに掲載された野口健氏のコラム記事だ。

「登山家の野口健さんが4日、自身のX(旧ツイッター)を更新。福島第1原発の処理水海洋放出開始後、日本の水産物輸入を全面的に停止したことに「中国の英断だ 尊重したい」と皮肉った。

野口さんは
「中国は人民の健康を守る為に日本から海産物を買わないと宣言されたと」と書きだし、「『人民の健康を守る』と言うのは理由であるならば『中国の漁船は日本近海で漁業はしない』との理解でよろしいですね。『日本からは買わないが、自分たちは日本近海から魚をとる』では論理的矛盾が生じ、大義名分が崩れる」と指摘。

さらに
今後、数十年に渡り中国漁船が日本近海にやってこなくなれば、これは海洋資源を守る上でとても重要なこと」と” 副産物 ” を挙げ、「中国漁船は大軍団でやってきての乱獲。サンゴまで被害に。また、尖閣諸島周辺で中国漁船の接近によりその度に出向かなければならなかった海保の負担軽減にも繋がる」とコメント。

「中国の英断だと尊重したい」と皮肉を込めて書き込んだ。・・・という記事である。

素晴らしいの一言!!これを “ あっぱれ!! ” と言わずして何と言おう。

国会議員がこのような柔軟な発想を持っていたなら、例えばこんなコメントも発信できたのではないか。

(中国が表明した日本からの水産物の輸入停止について)
「了解しました。我が国は世界の合意のもとで設立された『IAEA(国際原子力機関)』が科学的根拠を基に発出した、『全く問題ない』とした判断は、最も信頼できる世界標準である。我が国はその判断を基に、世界各国に理解を求め承認をいただきました。

唯一『中国と北朝鮮』だけが、世界の示した科学的根拠にNOを示しました。その声に世界は驚くどころか、無反応。おかしなことに日本のメディアだけが連日騒ぎ立てる不思議な現象が起きました。これは戦後から今日に続く、日本メディアの中国への謝罪を込めた思いやりによるものでしょう。

日本としましては世界が示した科学的判断を尊重し、粛々と処理水の放出を行います。今回、中国がとられた『日本産水産物の輸入停止』は、御国自身の漁業も『汚染された日本近海での漁業は行わない』との表明と理解しました。御国の判断は尊重させていただきます。日本としては今後も真摯に透明性をもって定期的に水質検査実施し世界に向け発信してまいります。

中国は独自の判断として実に賢明な決定をされました。さらに『汚染された日本近海での漁業を中止する』ことを世界に向け発信することで、中国民はもとより中国から水産物を輸入されていた国々は安堵されることでしょう。

今後も、御国の安全性に対する強い意志と行動を尊重し更に中国が “ 世界の安全への道しるべ ” となられんとことを祈ります。」<外務大臣発>

この程度の発信をやっていただきたいのもだ。

この事態でも明らかになったが、あらゆる面において対中国からの脱却が急務である。中国の嫌がらせは、過去の取引の信頼関係などを忖度するような柔軟性は皆無である。嫌なことがあれば話し合いよりまず行動で示してきた。今回の処理水による敏感かつ瞬時による対応も、国内問題を抱える中国にとって、国民の目を外に向けさせるには絶好のチャンスと判断したのであろう。ここぞとの対応は ” 独裁・共産党 ” だからこそできる早業である。

近年を振り返ってみても、記憶に残る中国の横暴は世界が理解できるものではない。

◆2010年 中国漁船の領海侵犯による衝突事件に端を発した報復 ⇒ レアアース対日輸出事実上の禁止
◆2020年 中国コロナによるサプライチェーン分断 ⇒ 自動車部品、電子部品の途絶
◆2020年 豪州がコロナ発生源調査を提案したことへの報復 ⇒ 豪州から牛肉輸入停止、大麦80%の報復関税
◆2021年 台湾の反中国政権の態度が気に入らない ⇒ 台湾からのパイナップル輸入中止
◆2023年 日本の処理水放出 ⇒ ①水産物の輸入停止 ②ガリウム・ゲルマニウムの輸出規制強化

この現状をみれば、隣国にいるメリットはない。しかしながら隣国であるが故に経済的、文化的結びつきは地政学上も切っても切れない縁で結びついてきた。

下記に示した経産省のデータからも中国との関係の縮小はそう簡単ではない。
◇貿易総額 ①中国 4,086 シェア11.6% ②アメリカ 3,754 シェア10.6%
◇輸  入 ①中国 2,427 シェア13.7% ②アメリカ 1,501 シェア 8.5%
◇輸  出 ①アメリカ 2,254 シェア12.8% ②中国 1,659 シェア 9.4%
(2017年 単位:10億ドル)

政治体制の違い、イデオロギーの違い、民族の違いを乗り越える前提として最低限のルールがなければ異質が同じ星の上で同居するのは困難である。

その前提が崩れるとすれば、緊急避難時の態勢を早急に整えなくてはならない。

政府は今回の事態を踏まえ、大打撃を受ける業者、業種への緊急支援を行うよう方向性を示したが、将来のあるべき姿も含めて、早急に経済安全保障の構築しなくてはならない。言うまでもなく輸出先の見直しと新規開拓、輸入物品の自国生産への切り替え、貿易相手国として信頼できる国であるかの見極めである。

自衛の動きは日本だけではない。近年の中国の動きに強い警戒感を持つ国がある。中国が力を入れる “ 一帯一路政策  ”、中国の発表によれば加盟国は125ヵ国というが欧州では16ヵ国、G7では唯一イタリアだけである。そのイタリアが離脱の計画を示しているのだ。

その理由は、一帯一路調印後、貿易額は増えたが中国からの輸入は劇的に増加したのに対し、イタリアからの輸出はわずかに増えたのみ。事業の中心は中国企業が主導しメリットはほとんどないという。

さらにイタリア・メロニー首相の考えが決定的になったのは、中国共産党による香港デモの抑圧、武漢発の新型コロナウイルス拡散、ウクライナを侵略するロシアへの中国の加担などへの嫌悪感だ。

この秋、一帯一路は10周年の節目を迎えるそうだが、「一帯一路フォーラム」の開催に、反中感情の高まりで、招待客で唯一の出席の意向を示しているのがプーチン大統領一人だという。この状態では恐ろしくて誰も出席しないのではないか。

とてつもなく大きなテーブルに向かい合って座っているのは習近平主席とプーチン大統領二人だけ。後ろには “ 一帯一路10周年記念フォーラム ” の垂れ幕。今世紀最大の『ブラックユーモア』として米タイム誌の表紙を飾るのは間違いない。

不動産バブルがはじけ?経済は最悪、世界的金融危機に発展する可能性すらある。わずかにあった香港の自由の灯りは中国共産党の弾圧でもろくも消え去り、鎮痛な闇の中にある。

中国は建国以来の危機ではないか。世界への横暴な振る舞い、その最たるものが領土拡張主義である。昨夜のニュースで、中国独自の世界地図が公表され、南シナ海などの公海が中国の領土となっている。これにはアセアン諸国も反発した。

国内では抑圧、弾圧、規制、汚職、貧困、人権弾圧などこの世に存在する悪のすべてを抱きかかえるように不満がマグマのように渦巻いている。まさに国内での爆発は時間の問題のようにも思える。

一昨日は、NHKクローズアップ現代で『中国言論統制 若者たちの闘い』を特集していたが、多くの若者が中国の弾圧に耐えきれず世界各国に逃れている。それでも危険を冒しながら中国愛に燃え、自由をとり戻そうと発言をしている。家族が拘束されるという残虐な手にも敢然と立ち向かう。それだけではない、世界中に無法に設置された52の国に102の闇に隠れた “ 中国警察 ” によって常に監視の目が光る。

スパイ法の改正により、密告は奨励されている。監視の目は同僚かもしれないという厳しい日々に直面しながらも新宿の駅前でデモを行い中国の現状を訴える。時々携帯電話に脅しのメールが入る。他国にいてこの状況である。

中国の善良なる市民のために日本は何らかの援助ができないものか、チベットやモンゴルからの脱出者も含め政治避難者の多くは日本の声を期待している。

平和に慣れきった日本人にその危険に晒されている諸国の事情を肌感覚で捉えることは難しい。満面の笑みを浮かべて中国詣でする日本の政治家をみていると危機感が薄れるのは当然である。

今さらながらだが、自国の防衛に無頓着だった78年の歳月は日本人から独立国としての魂を消し去り、独立国としての意味すら理解できなくなった。

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