Y論文

世界,日本,雑記

Vol.1-7.11-179  Y論文
2020.07.11

アメリカの外交誌「アメリカン・インタレスト」にY論文という、匿名での論文が注目を集めているそうだ。

しかし、アメリカの確固たる雑誌が、匿名での論文がOKであることに驚いた。
「Y論文」は「YA」というイニシャルで書かれている。
ただ匿名とはいえ、論文の表題が「対中対決戦略の効用」ということもあって、同誌は、執筆者を日本政府当局者と明示しているそうだ。

なるほど、政府当局者ということになれば、具体的に名前を出すことは、熱い日米関係に悪い影響があってはいけないと考えたのかもしれない。

この論文の書かれた視点は、今秋行われるアメリカ大統領選挙において、トランプ再選は是か非か。あるいはバイデン民主党の当選が、日本の国益にかなうのかどうかということだ。

YA氏は、現中国の近隣諸国を脅迫するような19世紀型国家に対して、トランプ以前の楽観的な関与政策に戻るべきでないという。
ということは、いろいろ問題はあるが、強権的国家に対してはまだ、トランプの方が、ましだと言っているのだ。

確かに、2016年7月、オランダハーグの仲裁裁判所が南シナ海を独り占めにする中国の「九段戦」論にクロ裁定を下すと、中国は「紙くず」と拒否した。

果たして、自由民主主義を基盤にする先進国が、ハーグの仲裁裁判所の裁定に対して「紙くず」と言い放ち、無視などできる国があるだろうか。

オランダのハーグ仲裁裁判所が下した裁定がいい加減なものであったとは思えない。

この中国の傲慢な対応で、世界は中国を無法者扱いにし、国際秩序から排除したかと言えばそうではない。

新型コロナウイルスに置いて世界が気づいたように、中国なしでは動かない経済の仕組みに改めて驚愕した。しかし、それ以前にすでに中国が世界経済の中に網の目のように張り巡らした物流、及び世界の工場としての役割が大きくなりすぎ、簡単には軌道修正できないまでの膨張に、一種の恐怖感をすでに感じていたのではないか。

中国の世界制覇戦略は着々と進行しているのである。

「メドインチャイナ」は「サプライチェーン」につながり、武漢ウイルスに寸断されたことにより、中国集中の危険性を現実問題として世界は知ったのである。

一国でどうにも対応できるものではない。

また、日米だけが結束しても日本の対中政策がたよりない。

そうなると、自由主義陣営VS共産国家という構図で対応しないと太刀打ちできない。

自由陣営の動きを察知してか、すぐにジャブを入れてきた。

武漢ウイルスの現地調査を唱えただけで、オーストラリアは中国から大麦や牛肉の輸入制限という報復を受けた。

同じような報復は、ノルウェー、モンゴル、カナダ、韓国、日本は連日の尖閣諸島周辺の領海侵犯という威嚇を受けている。

これらに対応するには、EU+インド、オーストラリア、東南アジア諸国を抱き込み、インド太平洋戦略を立てるなど、包囲網と団結を武器にしなければならない。

ただ、トランプ大統領の保護主義的動きと、WTO脱退など、EU諸国が受け入れられない諸政策が足かせになっている。自由陣営が今一結束できない懸念材料だ。

そこに付けこみ、金に物を言わせる中国外交は黒人暴動さえ武器に変え、アメリカに揺さぶりをかけている。

中国に躊躇など一切ない。
あの、香港の国際条約さえ簡単に反故にする国である。
世界にばらまかれた13億の中国人脈はあらゆる手を打ってくる。
過去の民主党のような曖昧な外交政策より実行はお粗末でも、着実に実行されるトランプにY論文は利ありとみたようだ。

目の前に大金をぶら下げられればつい目がくらむ。
いくら「中華帝国主義」と「民主主義」の価値観との闘いだとしても、世界を引っ張るアメリカが、世界の警察官を放棄したように、牽引する役割としての認識が希薄である。

それは、冷戦で崩れた、自由陣営と共産帝国主義というハッキリした対立構図の崩壊にあるのではないか。

ビジネスマン・トランプ大統領は世界秩序より、自国第一主義の大社長であって、世界規模の哲学には興味なし、というところが、アメリカエリート層に受け入れられない要因であろう。

Y論文は当面、中国の横暴に対応するには、少なくとも、バイデンではなくトランプではないかという二者択一の中での緊急事態宣言ではないか。

YA氏が日本人であるならば、過去の日米首脳の中でもとりわけ安倍首相とトランプ大統領との仲を、暴露本を出したジョン・ボルトン前大統領補佐官が最良と評した現状と、無縁ではなかろう。

自由主義陣営の結束を図るうえで、安倍首相がトランプ大統領とEU及び中東との接着剤的役割を担えるとしたら最高である。

Y論文はそんな期待も込めているような気がする。

いずれにしても、新型コロナウイルスから始まった中国の横暴を、緩やかな対応で済ませようと思ったら大間違いである。

未だ、発展途上国として優遇を受けることの屈辱より、100年先の地球強奪に狙いを定める中国の利益の前では逆に大きなメリットと捉えていると思われる。

恐ろしき国家・中国共産党。ロシアと共同戦線を張ることは世界地図を俯瞰すれば必然だろう。
この厄介な2国との対峙は相当の戦略と覚悟が必要である。
その意味において、当面どころの話ではない。超長期における自由陣営の結束は「G30」ほどの規模での包括的組織固めを早期に行う必要があるとジイは考える。

世界第二位の経済規模を誇る、¨ 発展途上国 ¨「中国」が、アメリカを従え、世界のリーダーとなる日は悪夢である。

目覚めよ!自由民主主義陣営!!

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