蝉の一生

雑記

Vol.1-8.19-218  蝉の一生
2020.08.19

今年は例年になく梅雨明けが遅かった。
やっと明けたのが8月に入ってからだ。

あ~やっと夏が来たかと思ったのが、蝉が勢いよく鳴き出してからだ。アブラゼミのミ~ン、ミ~ンというけたたましい鳴き声は、暑さをさらに押し上げる効果がある。この暑さに負けずよくぞ頑張るものだ。凄まじい。

コロナで始まった今年、何事も異常である。夏空がやっと戻ったとの喜びもつかの間、連日の異常な暑さは警報が出るほどの高温である。
各地で40度を超える気温が記録された。何と静岡県浜松で41.1℃を記録した。

この暑さにも負けず蝉は相変わらず高温ソプラノで天高く泣き続ける健気さである。
実は2、3日の前のことだ。車を動かそうとしたら、車の下に蝉が仰向けに死んでいるではないか。「短い一生」を終えたのかな、ちょっとセンチな気分に浸りながら、箒で掻き出そうとした時だ。

バタバタバタと羽をバタつかせたかと思ったら勢いよく飛び立ったのだ。何だ!生きていたのかと一瞬びっくりした。ところが少し飛んでまた落下した。よく見ると羽が一部かけているではないか。満身創痍になりながらも最後の力を振り絞り、何とか生きようと飛び立つ姿には悲壮感が漂う。

蝉の一生は短いと聞く。
確かに地上に出てからのセミは短いものは1週間、長くても1か月程度でこの世に別れを告げる。

この地上にいる時に精一杯の声で鳴きながら、彼女にラブコールを送る。めでたく結婚が成就すると、木の幹に卵をうみつけるという。その卵が孵化するのは翌年の梅雨どきである。

孵化した幼虫は土の中へ潜っていく。セミの一生の大半は土の中で過ごすらしい。
なんとその長さは3~17年にもおよぶ。成虫になるまでの時間と言えど、昆虫にしてはあまりにも長い。ちょっと驚きである。

青春時代は土の中。地上に出てからの白熱の恋はあまりにも短い。
たった1週間の “ 灼熱の恋 ” に命のすべてをかけるのだ。燃えて燃えて燃え尽きるまでの激しい恋。やっとの思いで子孫を残し死を迎える。

ある意味、なんと幸せな生涯であろう。子育ての苦労も、夫婦喧嘩も経験することなく恋にすべてをかけ、天寿を全うするというのだ。

天敵には、人間、カラス、猫、鳥、肉食の蜂・蟻などさまざまな天敵がいるとはいえ1週間はあまりにも短い。
土の中での3年以上の長い生活を合わせると、まあまあの人生である。しかし成人(成虫)になって社会(地上)に出るというのに、子孫繁栄のためだけというのは切ない。ただ、蝉の世界では人生最大で最高の舞台。最後の大仕事(子孫繁栄)をやりとげるという重大な使命を負っている。

オスにのみ与えられたあの “ けたたましい鳴き声 ” は、必死の愛の誘いである。子孫繁栄の責任を果たすのはまさに命がけだ。

あの鳴き声で果たして恋を成就できるだろうかと思うと、1週間はかなり短い。そんなことを思いながら聞くと、また別の趣をもってせまってくる。

そんな蝉のことを知ってからのウォーキング。道路のあちこちで蝉の「死」をみることが多くなった。ちょっと触って見たりすると、また飛び立つ蝉もいる。

それぞれの一生、皆、懸命に生きている。人間も含めたすべての動物にいえることだ。
人生の残酷にも耐え、幸せの喜びも感じ、地球上の生命の循環の中で皆、それぞれに必死である。