風評は無知がつくり出す

日本,雑記

Vol.1-10.20-280   風評は無知がつくり出す
2020.10.20

福島第一原発で汚染水浄化後に残る放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分に関し、政府が海洋放出を決定する方針を固めた。

地元民にとって頭の痛い問題である。
高濃度の放射性物質に汚染した水が1日180トン発生している。東電は専用装置で主要な放射性物質を取り除いた処理水として、敷地内のタンク1000基に約123万トンを保管している。

処理水の保管タンクが令和4年夏には満杯になる。残り2年である。海洋放出には、それなりの設備工事、原子力委員会の審査等を含めると2年の月日を要す。もう、待ったなしなのである。

汚染水は放射性物質を取り除いて、保管タンクに保管しているが、水とよく似た性質をもったトリチウムだけが取り除けないため、現在タンクに保管しているのである。

このトリチウムを含んだ水を海洋放出には当然の如く漁業関係者は反対である。今も風評被害に悩まされている。ここへきてさらに海洋放出などといえば、やっと先が見えてきた矢先の汚染水問題は谷底に落とされるに等しい感情であろう。

今も、韓国、中国は水産物において全面輸入停止、その他東南アジア諸国も証明書添付などの厳しい輸入規制が敷かれている。

ところでこのトリチウムという物質である。

<経済産業省>
『トリチウムは、宇宙空間から地球へ常に降りそそいでいる「宇宙線」と呼ばれる放射線と、地球上の大気がまじわることで、自然に発生します。そのため、酸素と結びついた「トリチウム水」のかたちで川や海などに存在しています。

 雨水や水道水、大気中の水蒸気にも含まれている。

 また、人の体内の水分量と、日本の水道水や大気中に存在するトリチウムの量から試算すると、水道水などを通じてトリチウムを摂取することで、人体内にも数10ベクレルほどのトリチウムが存在していると言えます』とある。

ヒトの体内には常に数十ベクレルのトリチウムが存在するという。
生物の体内に取り込まれた物質が排出されず、食物連鎖で上位の生物に食べられることを繰り返すと、その物質は濃縮される。この「生物濃縮」を不安視する声もあり、風評につながりかねないが、科学的には、トリチウムは短期間で体外に排出されるため生物濃縮は起きないとされている。

自分の体の中にもトリチウムはあるのだ。濃度にかかわらずトリチウムは危険だと話が誇張され、一般の人たちの恐怖心をやみくもにあおっている。放出しても心配ない。

<河田東海夫・元原子力発電環境整備機構理事>
『韓国はこれまでに累積で6,000テラベクレルを超えるトリチウムを放出してきた。
福島第一原発に貯留されている現在のトリチウム総量は1000テラベクレルなので、韓国の月城原子力発電所の累積放出量はその約6倍にあたる。しかもその放出先は日本海である。

カナダの例を借りると、オンタリオ州にあるブルース原子力発電所では年間600~700テラベクレルのトリチウムを放出している。

カナダ原子力規制委員会の報告によれば、それによる近隣住民の年間被ばくは0.0015ミリシーベルト程度に過ぎない。日本人の自然界からの年間被ばくの2.1ミリシーベルトと比べ、まったく問題にならないレベルであり、健康影響など、心配するほうが損をする。』とまで言い切っている。

トリチウム放出による年間被ばくは数字上では全く問題にならないレベルである。ところが放射線と聞いただけで思考停止となる。私たちは冷静にならなくてはならない。福島だけでなく、東北全域において、放射線により人体に影響がある食物など出荷されていない。しかるべき検査を受けたものばかりだ。全く心配ない。

当初はスーパーなども『福島コーナー』などが設けられていたと記憶する。海洋放出による風評被害を失くさなくてはならない。政府主導で全国のスーパーに『ガンバレ福島応援コーナー』を設け、買いやすくしていただきたい。

ジイなどは福島産を率先して買いたい。悲しいかな日本人でありながら同胞を風評だけで苦しめている。そんなことがあっていいのか。ジイのような高齢者は生きてるだけで迷惑をかける方が多くなった。福島産を買うことで貢献できるのであれば最上の喜びである。

2年後、コロナ禍が終息しても、各スーパーで政府支援の「Let’s buy フクシマさん(産)」キャンペーンだけは新たにスタートしていただきたい。

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Posted by 秀木石