英訳・万葉集の悲しみ

Vol.1-11.14-305   英訳・万葉集の悲しみ
2020.11.14

ピーター・J・マクミラン氏。

この名前をご存知の方はおられるだろうか。

<経歴>
※ 1959年、アイルランド生まれ。
※ 杏林大学外国語学部・国際協力研究科客員教授。
※ 専門は詩・翻訳・現代美術。
※ 日本在住歴20年以上にわたる。
  『英詩訳・百人一首―香り立つやまとごころ』で、
   2008年度日本翻訳文化特別賞
※ 日米友好基金日本文学翻訳賞受賞
※ 杏林大学 外国語学部・国際協力研究科 教授(1988年 – )
  大学院、大学において、美術、創作文(詩など)、
  百人一首の英訳などの講義
※ 1996年から1998年の2年間、
  日本文部省より研究資金援助を受ける
※ 2008年、"One Hundred Poets, One Poem Each"
  (英訳・小倉百人一首)をコロンビア大学出版会より出版
※ 英訳・小倉百人一首は、2008年度
  ドナルド・キーン日本文化センター日本文学翻訳特別賞、
※ 2008年度日本翻訳家協会第44回日本翻訳文化特別賞を受賞
※ 2009年3月、"One Hundred Poets, One Poem Each"
  の日本語版「英訳詩・百人一首 香りたつやまとごころ」
  が集英社新書として刊行された。

ざっと経歴を見ただけでどれほど日本に貢献されているかが分かる。
ドナルド・キーン氏はほとんどの日本人はよくご存知か、聞いたことのある名前であろうと思うが、誠に申し訳ない、ピーター・J・マクミラン氏、ジジイは初めて聞く名前であった。

マクミラン氏のおっしゃる通り、万葉集は令和の年号で一躍脚光を浴びることになったが、その日本古来の文学を日本人でなく、アイルランド出身の外国人が英語に翻訳し、世界に紹介しようと言うのだから感謝の言葉以外にない。

日本人ですら万葉集を原語で読むことは困難である。
そもそも「万葉集」は、奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集である。万葉集の和歌は万葉仮名も含むがすべて漢字で書かれている。

外国人がこの万葉集を読み解いて、なお且つ英訳しようというのだ。至難極まりないとジイなどは思う。

マクミラン氏はすでに、「百人一首」「伊勢物語」を英訳されている達人ではある。とはいえ、日本語の微妙なニュアンス、歌と言う限られた文字数の中で一つの単語を比喩的に複雑な心象風景を語ることもある。その深層を読み解き英語にすることはかなり難しい作業と察する。

この記事が紹介された掲載の紹介文には
◆例えば、ある和歌では、「しほ」(潮)という言葉に「四宝」という漢字が当てられており、潮の粒が宝石のように光輝く光景が表現されている。これを単に「tide」(潮)と訳すだけでなく、「glittering」(輝いている)を補うことで、作者の心を正確に伝えることができる。とある。

マクミラン氏は翻訳の動機について、ある国の駐日大使から、「日本文学が素晴らしものであれば、世界でもっと注目されているはずではないか」と指摘されたことに触れている。そのときに思いついた問題点の一つが、優れた翻訳の少ないことだった。・・・と述懐している。

しかし、これって日本の学者(日本学術会議)などが “日本を世界に” との思いで、日本人自身が情熱的に取り組むべき問題ではないのか。

日本の宝を持ち腐れにする日本の有識者や学者たち、このピーター・J・マクミラン氏、のような日本愛に満ちた学者が一人もいないのには驚くより悲しい限りだ。

日本文学を愛して日本に帰化したドナルド・キーン氏にしても外国人である。

私たちはいかに日本を愛していないか。特に戦後の「自虐史観」は今も生き続けている。愛国心を語れば “右翼” のレッテルを貼られ、昔からある言葉には差別用語だと戦前を抹殺され、戦後生まれのアニメしか日本文化を謳歌出来ない日本になってしまった。

煌めくような古典文学に見向きをしない日本に、わずかな良心的外国人によって何とか日の目を見ようとする悲しい現実。

地球なんて爆発してしまえ、なんて思う時がある。もう一度地球が再生されてもう一度その真っさらな日本に生きてみたいと思う。

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日本,雑記

Posted by 秀木石