羽生結弦の芸術

スポーツ 日本 雑記

Vol.1-12.28-349  羽生結弦の芸術
2020.12.28

見るものを魅了する、圧巻の演技だった。

2020フィギアスケート全日本選手権で異次元の滑りを見せ完全優勝を果たした。

ちょっと前、ユネスコの「無形文化財」登録の話があったが、正に華麗なる「無形文化財」の域に達した感がある。

完璧な演技とはこういうものだという見本のようなスケーティングだった。

羽生選手はリンクに入る時は必ず氷に手を触れ、リンクに挨拶を交わす。もちろん演技が終わってリンクを出るときも一礼するというルーティンがあるが、今回、特に印象深かったのはリンクに入る時から出るまでのすべてが、まるで、歌舞伎役者が舞台で演じるがごとく「羽生結弦の演武」だった。

演じられたのは「天と地と」、上杉謙信を題材にとったものだが、音楽も内容もまるで大河ドラマのように、スケートをはいた謙信が氷上で演武をしている錯覚におちいるほど引き込まれた。

あれだけ完璧に滑れたのであれば、終わった瞬間、派手なガッツポーズが出ても決しておかしくない場面である。しかし、舞台はまだ続いていると言わんばかりに演技の余韻を表情で表現しゆっくりフィナーレを演じていた。

まるで完璧な演技を前提とし、主演・羽生結弦「天と地と」のスケート芸術が大会のシメとして予定されていたように羽生選手に凝縮された大会だった。

他の選手とは別格である。スケートを超えたスケーターというか芸術家の域に達したのではないか。

演技を終えた後のインタビューが凄かった。
「練習してきたことを客観視しながらやりきれた」
「サルコーとトゥループは長年一緒にやってくれてるジャンプなので自信を持ってやれた」とまるで二つのジャンプは自分の分身で、彼ら(2つのジャンプ)に人格があるような言い方は羽生選手独特の表現だが、そこには2つのジャンプが一心同体となるまでの血の滲むような格闘の日々があったことを想起させた。暗に感謝をこめた表現に人間としての成熟を感じる。

この「天と地と」を選んだ理由に、「誰かの心に感情が灯るきっかけにしたい」と話していたという。

「僕自身、競技することは好きだし、戦うということの中から楽しみ方や集中する刺激がたまらない。ただ、戦いの中には苦しみという苦悩もある、また自分が1位になることは2位、3位になる犠牲の上に成りたっているということを感じながらやっていた。それは謙信公の戦いに対しての価値観に影響されている。この世の中戦わなきゃいけない事が沢山あるが、みなさんの中に戦いに向かっていく芯のようなものが見えたらよかったなと思います」

今の世の中、「戦い」と言うとすぐに戦争に結び付け、軍靴の音が聞こえるなどど、戦いに特別なテイストを刷り込んできた野党。この羽生選手のインタビュー、耳をほじっくて聴けといいたい。

アナウンサーが来年の世界選手権に向けて気持ちを聞いた
「まず、やれればなんですが」と前置きし「とにかく何よりも世界に平穏が戻ることが率直な思いです」と締めくくった。
なんという冷静で大人のことばであろうか。

何年か前、高校野球の開会式の宣誓が、「正々堂々と戦うことを誓います」と言っていたものをある時期から「正々堂々と、競技することを誓います」に変わった。左翼系の幹部の影響だと思うが、何という気の抜けた宣誓だと思ったが、高野連にこの羽生結弦の爪の垢でも飲ませてやりたい。

この全日本選手権での圧勝、当然の如く賛辞の嵐である。

◆実況解説者も
「三味線や琴など和風のテイストが入った『天と地と』の曲に合わせて、貫禄の滑りを見せた。すべて完ぺきなジャンプ。音楽に合った優雅でしなやかなスケーティング。「文句のつけようがない、全て完璧な演技」と絶賛。

◆欧州衛星放送局『EUROSPORT』で名解説者として鳴らすイタリア人、マッシミリアーノ・アンベシ氏は次のように賛辞を贈った。
「まさしく傑作だった! 朝の練習で初めて『Heaven and Earth(天と地と)』を聴き、どんな演目かと楽しみにしていたが、素晴らしいとしか言いようがない。4つの4回転を含めてすべてのジャンプがパーフェクト。全体を通して空気のように軽やかに舞ったユヅル・ハニュウは、“ 明確な道 ” を切り開いたのである。どのエレメントも正確に、自信を持ってやり遂げた。この傑作を観たすべての人びとに、幸福な感情をもたらしたのだ」

◆06年四大陸選手権銀メダリストの中野友加里さん
「文句なしの優勝だった。音色とスケーティング動作が合っていて、音楽の細部まで拾っていた。一人だけ異次元の戦い。歴史に残る名演技だった。王者の強さを見せつけられた」とうなった。

◆ツイッター上のファンからは
「すごいものを観た」「納得の1位です。ノーミスでバケモンだ」「異次元だったな」「さすがの一言」「羽生くんの演技やっぱすげぇかっこいい」「とにかくすごいとしか言いようがない」「レベチすぎ……」「暗いニュースが多いけど、久々にスカッとしたな」「圧巻すぎるな」などと多数のコメント

日本人を感じさせる唯一のアスリートかもしれない。

“ 羽生結弦 ” 凄いやつだ。